「明治から現在まで続く世襲家系図」によれば、(私が勝手に付けた呼び名)「祖霊ナイン」(生年順)とその代表的な産駒(子孫、但し姻族や養子縁組による繋がった親族を含む。)は以下のとおり。
(さすがにイニシャルというわけにはいかないので、実名を記載する。)
① 西郷隆盛(薩摩藩士の子)・・・鳩山由紀夫
② 大久保利通(薩摩藩士の子)・・・橋本龍太郎、麻生太郎、安倍晋三
③ 広澤真臣(長州閥のトップ)・・・池田勇人、鳩山由紀夫
④ 岩崎彌太郎(土佐藩の郷士)・・・鳩山由紀夫
⑤ 徳川慶喜(徳川イエ出身の最後の将軍)・・・平沼赳夫、細川護煕、麻生太郎
⑥ 山尾庸三(長州藩の重臣の子、長州ファイブの一人)・・・池田勇人、鳩山由紀夫
⑦ 後藤象二郎(土佐藩士の子)・・・鈴木善幸、宮澤喜一、岸田文雄
⑧ 伊藤博文(長州藩士、松下村塾出身)・・・安倍晋三
「安倍晋三元首相のルーツ」が分かりやすい。
⑨ 桂太郎(長州藩士)・・・安倍晋三
ちなみに、長州閥と薩摩閥は,明治の頃から婚姻や養子縁組によって拡大を図ってきたが、このやり方は最近まで続いていたようである。
「山口県は初代の伊藤博文以降、これまでに全国最多の8人の首相を輩出。8人の通算の首相在任期間は2019年11月20日時点で1万5268日となり、初代の伊藤が就任した日からの4万8911日のうちの31.2%を占める。"首相の座"占有率では、山口県が東京を圧倒する。」
「時代はやがて大正、昭和となり平成となった現代ではもはや旧国名や藩名を云われても若い世代はピンとこない人が多くなりました。そうなると、「長州閥」「薩摩閥」なんていうものは古色蒼然と…と、思いきや、上記の系図のとおり現在の政治の中心にいる安倍首相や麻生太郎氏はまさに長州藩、薩摩藩の末裔です。
そして、その親戚関係にはご覧のとおり歴代総理大臣の名前が多数みられます。先ほど、安倍首相と麻生太郎氏の親戚関係の中で「いとこの奥様の…って、意外と遠い関係」という旨を書きましたが、実はこの配偶者(婚姻)こそが有力家同士を結び付けている訳です。」
こうした事実を見る限り、
「藩閥政治は護憲三派内閣(加藤高明内閣)の成立とともに終焉をむかえた」とか、
「藩閥は山縣有朋の死によって衰退・消滅した」
などという記述は、将来の日本史の教科書では訂正される可能性があるだろう。
つまり、「藩閥」v.s.「政党」という大正期に見られた対立状況は、実は表層のものに過ぎず、数十年を経て、「藩」が内包する”イエ”の原理が、「政党」の中にも浸透してきたのかもしれない。
現在の政界の状況を、例えば原敬が見たとすれば、
「なんだ、ハンバツがハバツに置き換わっただけじゃないか!いや、ハンバツが復活してるじゃないか!」
と怒りを露わにするかもしれない。
かくして、派閥の連合体である「政党」も”イエ”化したのだと思われる。
但し、「政党」は、派閥の領袖などを中心として、”イエ”を組成する構成員を内包しているが、全体としてみた時は、「藩」のような純然たる”イエ”とも違う。
なぜなら、トップの地位は世襲されず、レース(選挙)で決せられるからである。
なので、この種の集団を、”疑似イエ”と呼ぶことにしたい。