「東京バレエ団のダンサーたちが創作に取り組む The Tokyo Ballet Choreographic Project(コレオグ ラフィック・プロジェクト)。「振付家・ダンサー双方の創造力・表現力を刺激し、アーティストとしてのモ チベーションを高めてもらいたい」という、芸術監督 斎藤友佳理の強い想いから、 2017年にスタートしました。
コレオグラフィック・プロジェクトでは振付けはもちろん、衣裳や照明などのプロデュースもすべて東京バレエ団のダンサーが手掛けます。今回のChoreographic Project 2025では、皆さまの応援を追い風に、多くの新たなダンサーたちが振付創作への一歩目を踏み出します。より近くでご覧いただけるよう、客席レイアウトも刷新。どうぞお楽しみに!」
「振付家・ダンサー双方の創造力・表現力を刺激し、アーティストとしてのモ チベーションを高めてもらいたい」というところは、音楽の世界で言えば、作曲家と演奏家の双方を兼ねることと似ており、要するに「二刀流」である。
ちなみに、元ロイヤル・バレエ団のダンサーで超一流の振付家であったケネス・マクミランは、深刻な舞台恐怖症のためダンサーを引退し、振付に専念するようになったらしい。
さて、今回の演目は、若い方の振付は、二人組での「友情」、「共存」(愛)や「もう一人の/内なる自分」といったテーマが多くみられた。
唯一の例外は、山下寿理さん振付の"teenage dream" で、孤独の中での幸福を感じさせるが、中堅(?):岡崎隼也さん振付の"Waltz" が孤独の果ての自滅を感じさせるのとは対照的である。
ヴェテラン:木村和夫さんの"「カプースチン組曲」よりトッカティーナ"は、ジャズ調の音楽に合わせてチュチュを装着した女性ダンサーが踊りまくるという、違和感を狙ったと思われる作品。
個人的に最も強い印象を抱いたのは、ブラウリオ・アルバレスさん振付の"おばあちゃんとおじいちゃんの夢の世界"。
当初のタイトルは"ジジババ"だったのだが、上のように変更された。
変更の理由はすぐに分かる。
舞台上には、仲良くお茶を飲むおばあちゃんとおじいちゃんが登場する。
二人は相当な高齢で、腰が曲がったまま、高齢者特有のおぼつかない手足で何とかダンスを踊るが、そのうち、音楽に乗せてアクロバティックなコリオを演じるようになる。
”ジジババ”というタイトルがまずいのは、言うまでもなくポリコレ的な問題を生じるからだが、この作品を観て、私は、ヨーロッパにおける脱”ヒト”化の理由の一端が分かったように感じた。
高齢者や身体障がい者などの動きをダンスで表現することは、欧米ではポリコレ的にタブーとなってしまったのだろう。
それゆえ、ヨーロッパの最先端の振付家は、動物や虫、半神などの動きを模したコリオを盛んに作っているのではないだろうか?
ところが、日本では、まだ高齢者の動きはポリコレ的にギリギリ許容され得るということなのかもしれない。
なので、赤ちゃんの動きも、おそらく許容範囲内なのではないか?
・・・などと考えていたら、こんな動画を見つけた(【金スマ】生まれたての阿部寛【ドラゴン桜】)。