Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

昭和をダメにした人たち

2021年05月03日 06時30分29秒 | Weblog
昭和史 1926-1945 半藤 一利 著
 「すでに申しましたように、この人たちは本来、大元帥命令なくして戦争をはじめた重罪人で、陸軍刑法に従えば死刑のはずなんです。それどころか本庄軍司令官は侍従武官長として天皇の側近となり、男爵となる。石原莞爾は連隊長としていったん外に出ますが、間もなく参謀本部作戦部長となり、論功行賞でむしろ出世の道を歩みました。字義通り、「勝てば官軍」というわけです。
 昭和がダメになったのは、この瞬間だというのが、私の思いであります。
」(p81)

 「この人たち」というのは関東軍の連中を指しているが、半藤氏は、マスコミや世論の支持があった点を指摘することも忘れていない。
 結局のところ、昭和をダメにしたのは、関東軍の連中だけではないということである。
 少し時代をさかのぼると、このことがよく分かる。
 日本の”近代化”が抱える問題に早くから気付いていた漱石は、「それから」の中に平岡常次郎を登場させ、「大陸に渡る」人物のメンタリティを暗に批判している。
 もっと分かりやすいのが「私の個人主義」で、ここでは、「権力」と「金力」で他人を支配して生きる人たちという風に表現されている。
 何のことはない、これは、江戸時代(あるいはそれ以前)の武士(あるいは貴族)・商人階層の後釜であり、漱石に従えば、「昭和をダメにした」人たちの起源は、既に江戸時代に芽生えていたということになるだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする