馬頭琴日記

交通事故療養中に還暦を迎えた馬頭琴奏者が、馬頭琴に関する知識を書き遺します

松脂の基礎知識

2017-11-22 13:28:44 | 馬頭琴の基礎知識
チベットのお寺に、音の出ない馬頭琴があった。ある日本人が訪れて、弾いてみたら、松脂が塗られていないことに気付いた。手持ちの松脂を弓に塗ったら、普通に音が出た。お寺の関係者は、奇跡が起こったと狂喜乱舞した・・・そうな。

弦楽器と弓の間を取り持つ「松脂」、その選択にバイオリン等の奏者は神経を使っていますが、馬頭琴では軽んじられている場合が少なくありません。20年弱の馬頭琴生活で、紛失と落下による粉砕を除けば、使い切った松脂というのは皆無。自分に合った松脂を、選択してください。

馬頭琴を購入すると、多分このような中国製の松脂が、付属しています。おそらく二胡の松脂の流用だと思われますが、品質的に問題のある松脂も多い。簡単に言えば、弦の引っ掛かりが悪い。


では、弦楽器ショップに並ぶ松脂の、どれを選択すべきか。けっこう難問です。下の写真以外にも、随分と色々な松脂で試行錯誤を繰り返した。結論から言うと、モンゴル国の馬頭琴には「柔らかめ」、内モンゴルの馬頭琴には「硬め」を推奨します。

左は日本の弓メーカーの「アルシェ」、真ん中「ラーセン」、右上「カールソン」ベース用、右下「リーベンツェラー2」

私の内モンゴルの馬頭琴の師匠:ブルグッド氏は、「ベルナルデル」を推奨しています。琥珀色が美しい松脂で、癖の無さで、多くのバイオリン奏者が支持します。私も紛失するまで使用していました。


私のモンゴル国の馬頭琴の師匠:バトエルデネ氏は、「ミラン」のダーク、通称「クロネコ」を推奨しています。こちらも西洋弦楽器奏者の間では、ポピュラーな松脂です。私も一時、使用してみました。


現在使用しているのは、「リーベンツェラー」の4番。このメーカーには「1〜4番」があって、「硬い〜柔らかい」仕様。冬場の乾燥した時期には、大変良い松脂ですが、夏場は要注意。べたつく感じが嫌な方もいるだろうし、保管の仕方が悪いと・・・溶けます。

使い始めの右の状態から、かなり使い込んだ左の状態でも、まだまだ数年間は、使用可能です。

左は15年以上使用したもの、右は5年程度使用したもの

松脂の扱いで注意すること、1番目は落下させて割らない事。このような割れ方なら、ライターの炎で炙って溶かし、再接着が可能です。粉々になると、溶かして再生するという話も耳にしますが、品質的には駄目でしょう。

毛を替えたばかりの弓には、かなり力を入れて塗らないと、付きません。バイオリン等では弓のスティックを持って塗りますが、馬頭琴の場合は、演奏する状態の弓の持ち方で、しっかりと薬指に力を入れます。

使い始めの松脂は、表面をサンドペーパーで荒らしてやると、付きやすくなります。

弦を交換した時だけ、弦の弓が当たる部分に、松脂を直接塗ります。毎回これをしている方を見かけますが、松脂過多で、ジャリジャリとしたノイズが発生します。

練習後は、馬頭琴の弦の弓の当たる部分の下の表板、弓のスティックの毛側に付いた、松脂を拭き取ります。松脂が付着したままだと、湿気を吸って楽器を痛めます。

松脂の付いた弓の毛を、布などに触れさせてはいけません。埃等が付着すると、松脂が汚れて、弦の引っ掛かりが、悪くなります。外で練習するのも、土埃が付くので、お勧めしません。



薄鉛色の雲が空を覆った曇り空、気温は2−13℃で、今季最低を更新。今夜から明日の午前中にかけて、雨が降るらしい。昨日の注射の効果か?首と右肩が、比較的スムーズに回る。いけない、注射の跡の絆創膏を貼りっぱなしで、痒くなってきた。(81−127)
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