満月通信

「満月(バドル)」とは「美しくて目立つこと」心(カリブ)も美しくなるような交流の場になるといいですね。

ラマダーン_断食の効用とニスフ・シャアバーン前夜(ライラト=ル=バラー)

2011-07-15 | ハルカ
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم


ラマダーンの意味



これまで死後に起こることを学んできて、前回は、いよいよ私達の行いが、秤にかけられたところで終わりました。行った善行と、悪行を、天秤の秤にかけ、どちらが多いか?それによって、自分の永遠の行き先が決まることを学びました。クルアーンでアッラーはこう仰っています。

【その日あなた方は、(審判のために)皆さらけ出され、何一つとして隠しおおせないであろう。それで右手にその記録所を渡される者は言う。「ここに(来て)あなた方は私の記録書を読みなさい。いずれ私が、清算に合うことが、本当にわかっていました。」こうして彼は至福な生活に浸り、高い(丘の)園の中で、様々な果実が手近にある。「あなた方は、過ぎ去った日に行った(善行の)ために、満悦して食べ、かつ、飲みなさい。」(と言われよう。)だが、左手にその記録書を渡される者は言う。「ああ、私の記録書が渡されなかったならば。私は自分の清算がどんなものであるかを知らなかった。ああ、死が私の終末であったならば(よかったのに)。」 】クルアーン真実章18節から27節 日訳721p


この世には、病気や、災難や、うまく行かないことや、辛いことが、沢山沢山あります。時には疲れてしまって、生きているのが辛くなることさえあるかもしれません。それはどうしてでしょうか?前回勉強しました。覚えていますか?どうしてか?なぜなら、私達が試験中だからです。試験を受けているときには、解けない問題があってあせったり、どきどきしたり、悩んだり、パニックになったり、試験に合格するために、必死になり大変なのが普通です。私達は、試験会場であるこの世で、いろいろな災難にあうのは、言ってみれば当然のことなのです。私達を何とかして天国に入れてくださろうと、試験をしてくださっているのですから、自分が試験中なことを忘れないようにすべきですが、私達は、この人生が試験中だということをすぐに忘れてしまいます。そんな私達を心配して、何とかして天国に入れるようにお優しいアッラーが定めてくださったのが、年に一度のラマダーン月の断食です。この月は、天国の大バーゲンです。すべての義務の行いは70倍にカウントされます。あの世で厳密に測られる、私達の善行の秤の上に、この月は、ど~~んっと普段の70倍の善行が追加されます、インシャアッラー。

今月の31日か8月1日から、ラマダーン月に入ります。あと2週間ちょっとです、インシャアッラー。ラマダーン月は、私達のことをアッラーが本当に愛してくださって、私達のことを思って定めてくださったもので、天国の大バーゲンである上に、一年のうち一ヶ月間の体と心の治療コースでもあります。

至高なるアッラーは、雌牛章の中でおっしゃられています:【信仰する者たちよ、あなたがたに斎戒が課された。それは、あなたがたの前の民にも課せられたものである。おそらくあなたがたは(主を)畏れるだろう】(クルアーン雌牛章183節)

 預言者(صلى الله عليه و سلم)のお言葉に:《斎戒すれば、健康になる》とあります。

クルアーンの中で語られる斎戒というものは、偉大なる創造主の命令である宗教儀礼の一つであるため従うべきだということと、科学が私たちに示してくれる事実を、儀礼が定められた理由であるとしてはいけないということです。なぜなら、科学はどんなによい方向に進んでも、アッラーの全ての叡智を網羅することに不可能だからです。しかし、科学が斎戒について発見する事実を、アッラーが人間のために課した義務によって、得られる効果として語ることは、間違いではありません。


断食の体への効用


断食は、段階的にもたらされる栄養と、生活の規則で、人間の心身に深い影響を与えます。そしてそれは多くの病の治療法でもあります。おそらく、消化器は断食の効果を一番強く受ける部分でしょう。ここで、人間の消化機能についてお話します。口、唾液、胃、肝臓、それらの体液など全てが、一口の食べ物の消化に関わってきます。血液は肝臓に栄養を送り、肝臓はそれをろ過し、余分なものを貯蓄します。そして詳細に、体が必要としている分の栄養を与えます。消化運動はこれで終わらず、さらに栄養は、毛細血管によって体の隅々に送られます。

 このように食事という行為は、一口飲み込むだけで終わるのでなく、実はそこからが、始まりです。全ての体内の器官を動かす、この一口の食事。私たちのうち誰でも、身体的、精神的、思考的運動を怠けることがあっても、1日中、口の中に入れる食べ物を消化する胃を動かさない人はいないでしょう。ですから、消化器は、他の器官に比べて、一番多く働いているといえます。そこで、確たる規則で体を、特に消化器を一ヶ月の間休めることが出来たら、私たちは、否定に値しない多くの効果を得ることが出来ます。

①体内にある重い脂肪を分解。脂肪は増えると難しい病気を引き起こします。空腹は、肥満を解決し、脂肪を溶かす一番良い自然な方法です。
②溜まった不要物、毒物を排出。
③体の各部位を休ませる。
④血管に脂肪が入る量を少なくし、血管を、脂肪の付着から保護する。
⑤空腹は、斎戒後、体に反発感を与える。食欲、代謝、新鮮な気持ちが起こる。

預言者(صلى الله عليه و سلم)が私たちに示してくださったマナーを遵守した斎戒が実現した場合に、空腹という治療法の効果が一番良く現れます。欧州では幾種かの病の治療の際、断食という治療法に興味を示しました。バルセロスというスイスの医者は言っています「空腹という治療法は、薬を使うことよりも効果がある」。ヘルバという医者は、数日間患者に食べ物を禁じた後、軽い栄養食を与えていました。

 重要な2点について。
 第一:断食は、ある特定の人々や、断食を全うできない人々に害を及ぼすことや、悪い影響を与えることがあります。この場合、断食を避けることは懸命で、アッラーは、彼らのために断食の義務を免除しています。【病にあるか、旅行中の者は後で(断食しなかった分の)埋め合わせをすること】(クルアーン雌牛章184節)そういう人は、断食を禁じられています。

 第二:断食の理想的な効果を得るためには、断食のマナーに正しく従うことが大切です。スフール(断食開始前に取る食事)を遅らせること、フトゥール(断食を解く食事)を早くすること、食べ物の浪費を避けることです。

イスラームにおける断食は、24時間食べないのではなく、朝ごはんを夜明け前にとり、夕飯を日の入りと共に取ります。ですから、実質、食事を抜かすのは、昼食だけです。昼食を一食抜かすだけのことで、人間の体に、これらの偉大な効果が得られるのです。


断食の精神面での効用


1.何かを行うときに、アッラーの御満足しか求めない気持ちを育てる。
イスラームにおける様々な崇拝行為の中で、断食だけが、他人には外から見えず、自分とその主であるアッラーの間のみで行われる。断食を遂行するさいに、それを破らない様に自分を監視するのは、自分の心と、アッラーの御満足を得たいという願いしかない。預言者様(صلى الله عليه و سلم)は言われました。《至高なるアッラーはこういわれました:アーダムの子孫(訳注:人間)の行いは、断食を除いては、全て彼自身のためである。本当にそれ(訳注:断食)は私のためである、そして私がそれに対して褒賞を与えるのである・・・》

2.空腹により、傲慢さがなくなり、悪事を行いたい欲求が減少する。
傲慢や高慢さは、アッラーのことを忘れておごる原因になるが、その気持ちを砕く最も良いものは、空腹である。又断食は神経系を静める働きがある。

力や欲求のエネルギー源は、食べ物であるので、それを減少させる或いは断食する事は、全ての欲望と力を弱めることになり、断食する人が欲望を抑制しイスラームの教えを守るのに役立つ。又、空腹に加えて、断食をする人が、常にアッラーに見られていると意識すること、自分は至高なるアッラーのための崇拝行為をしているのだという自覚も、欲望抑制に役立つ。

3.頭をすっきりさせる。
なぜなら、大量の食物と飲物は、体をだるくさせ、思考を鈍らせ、眠りを誘うからである。断食のし始めは、神経の興奮を伴うかもしれないが、追ってそれは弱まる。

4.意思を強くし、我慢強くなり、少量の食物に耐えられるようになり、習慣を改めることができる。
イスラームの断食を行うものは、起床、就寝、食事、仕事、休憩などの時間を変えなければならなくなるので、日常の習慣とは異なったことを行うことになるからである。こういった事は、断食以外の時期に自分で変えようと思っても難しい。又、断食を行うものは、空腹感とのどの渇きに耐えるが、忍耐とは、個人や共同体が目的を達成するためになくてはならない要素である。アッラーの使徒(صلى الله عليه و سلم)はこう言われた。《断食は忍耐の半分です。》又こうも言われた。《忍耐は信仰の半分です。》

5.共同体に一体感を生み出す。
貧富の差に関わらず、全員が一緒に、空腹感やのどの渇きのつらさに耐えるので、(訳注:貧困者のつらさが身にしみるため、又社会に一体感が生まれるため)後に貧困層撲滅に力が入るからである。古いことわざに、-満腹の人は空腹と空腹の人たちのことを忘れる-とある。

以上のことから、ラマダーンの断食は、たくさんの心と体の病から身を守る一年に一回の予防コースであり、又いくつかの病気を直す治療コースでもある。また断食をしている中庸なまじめなムスリムを、成人病から防ぐ働きもある。なぜならば、そのほとんどは、体の部位を一生の間使いすぎることにより生じるからである。以上のことから、アッラーの使徒(صلى الله عليه و سلم)の言葉の正しさがわかる。彼(صلى الله عليه و سلم)はこういわれた。《断食をして健康になりなさい》

―イスラームの断食は、治療医学と言うよりは、予防医学と言える。又病人は、クルアーンの一節【病気にかかっているもの、または旅路にあるものは、後の日に、同じ日数を(斎戒する)。】(雌牛章185節)にあるように、ラマダーンの断食をしないことができる。


【ラマダーンの徳】




①過去の罪の許し。預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は言われました。 《ラマダーンの間、アッラーの報酬を願って、心を込めて礼拝に立った者は、以前に犯したどんな罪も赦される。》(アル・ブハーリー他6本で認められたアブー・フライラのハディース)
つまり、タラーウィーフという特別な夜の礼拝がラマダーン中はありますが、イシャーの後に行われる2ラカーづつのする礼拝で、8ラカーか20ラカーするのがスンナです。よくモスクに行かないとタラーウィーフの礼拝はできないと思っている人がいますが、そんなことはなくて、特に女性は、夜に外出する事でよくないことがあれば、家で自分ひとりでも、だんな様と一緒にでも、タラウィーフの礼拝をすることができます。ただニーヤを「アッラーを称えて、タラーウィーフの礼拝をします。」とし、ファジュルの礼拝のように、2ラカートづつやるだけです。それを8ラカートすれば、スンナのタラーウィーフの礼拝を預言者さま(صلى الله عليه و سلم)がされたように、したことになります。

②地獄の炎からの防御。ラマダーン月の30日の間、斎戒ができれば、ラマダーンの後も、自分自身を悪いものから守るよう心がける癖がつきますので、それによって、私たちは自分自身を地獄の炎から守ることが出来ます。

③善行が、普段の70倍に計算される
( 義務の行為が普段の70倍の報酬に計算され、義務以外の善行は、義務の行為をしたのと同じ報酬がつきます。
これは、すごいです。例えば、義務の善行のひとつのザカート(義務の喜捨)だと、ラマダーン以外の月に3,000円ザカートを払うと、アッラーの許は善行には10倍の報酬がつきますから、3万円として記録されますが、ラマダーン月は、10倍×70倍で、700倍の報酬になり、3000円のザカートがアッラーの許では21万円分の報酬になる!!ということです。この月に払っていないザカートがあったら払っておかないと損です。)いつもついついファジュルの礼拝を逃してしまう、としたら、ラマダーン月は義務の礼拝の報酬も70倍ですから、普段するよりも700日分の報酬が手に入りますから、ぜひ、ラマダーン月だけでも、義務の礼拝を時間内にできるように、頑張ってみましょう。一回が700日分の報酬がつくとなれば、ちょっと眠くても、疲れていても、頑張ってやってみる価値は十分あります。

④ドゥアーが聞き入れられる。斎戒が定められたクルアーンの節を見てみると、雌牛章185節、186節
【(185)ラマダーンの月こそは人類の導きとしてまた導きと識別の明証としてクルアーンが下された月である。それであなた方のうち、この月に家にいるものは、この月中、斎戒しなければならない。この後の節にすぐ、(186)われのしもべたちが、われについてあなたに問うとき、われは本当に僕たちの近くにいる。かれがわれに祈るときはその嘆願の祈りに答える。】
ラマダーンが定められた節の後に、ドゥアーの節がすぐ来ています。
これには意味があります。ラマダーン月は、ドゥアーが叶う月だからです。
まず、断食をしている人のドゥアーは、彼が断食を解くまで、叶う、というのと、イフタールのときにするドゥアーは叶えられる、というのがあり、毎日断食をするラマダーンは、毎日がドゥアーがかなう時間の宝庫です。極めつけは、千ヶ月よりもよライラトゥ=ル=カドゥルの夜で、この夜には、特別な祝福があります。
アッラーーは、私たちがドゥアーを心からすれば、必ず答えてくださるとクルアーンではっきり言われています。 雌牛章1866節
【(186)われのしもべたちが、われについてあなたに問うとき、われは本当に僕たちの近くにいる。かれがわれに祈るときはその嘆願の祈りに答える。】
すべてのこの世のものは、アッラーの手の中に、あることと確信することです。人を金持ちにするのも、アッラー、頭をよくするのも、アッラー、きれいにするのも、アッラー、アッラーは私たちの心の中まですべてをご存知で、アッラーはすべてをご覧になっており、アッラーは私たちの行いを全て清算なさる。全てのものは、アッラーの許にあり、彼が「あれ」とおっしゃれば、全てのものは存在するのだ、無から全てをお創りになったのだということに確信を持ちましょう。
私たちは、そのアッラーに、何でも頼むことができます。欲しいもの、お金のことでもどんな小さなことでも何でも構いません。何でも頼みましょう。

⑤ライラトゥ=ル=カドゥル(クルアーンがアッラーの許からこの世に下った夜、 
千月よりも良いといわれる)ラマダーン月最後の10日間にこの一夜はあります。

⑥アッラーが、僕(しもべ)達が断食しているのを、お喜びになり、お側にいる天使たちに自慢なさいます。
ドゥアーの叶うラマダーン月に、お互いにドゥアーをしあいましょう。ラマダーンが終わって、イードには皆で笑顔で祝福できるように、ここに来ている人全てのために、日本の、世界のムスリム達のために、たくさんドゥアーをし合いましょう。


シャアバーン月について~ニスフシャアバーンの前夜



シャアバーン月の15日目「ニスフシャアバーン」は、今年は今度の土曜日か日曜日がその日にあたり、スンナの断食をするといい日で、そのニスフシャアバーンの前夜(つまり、7月15日(金曜)の夜(マグリブ)から、明朝のファジュルに入る前までの時間か、16日(土)の夜からファジュルまで。)には、大きな徳があり、ドゥアーが叶う5夜のうちの一つでもあります。(この夜以外の4夜は、シャアバーンの15日の前夜、金曜日の前夜、2つのイードのそれぞれの前夜)弱いハディースによる。

《ニスフシャアバーンの前夜にあったなら、その夜は祈りに立ち、昼は断食をしなさい。実に至高なるアッラーは、太陽が落ちると、地上の空に降りてきて、誰か、許しを乞う者はいませんか?私が許しましょう。誰か、恩恵を求める者はいませんか?私が与えましょう。誰か災難に遭っている者はいませんか?私が救いましょう。誰かこれこれの者は、誰かこれこれの者は、と仰り、それはファジュルになるまで続きます。》 イブンマージャの伝承
≪アッラーは、その夜(シャアバーン15日前夜)に、すべてのムスリムを許します。ただ、占い師や魔法使い、お互いに嫌い合う者、酒に酔っている者、両親に背いている者を除いては。≫
この夜は、アッラーの特別、大判振る舞いの夜で、すべてのムスリムが許されますが、もし、嫌い合っている相手がいる場合、または自分か、ご主人の両親に親不孝をしたままの場合には、その夜のアッラーの寛大なお許しから、自分だけが除外されてしまいます。すべてのムスリムが許されるその夜に、どんなにお願いをしてドゥアーをしても、自分だけは、対象外になってしまうのです。こんな損なことはありません。
まとめ:ラマダーンまでに、以下の3つのことをしましょう。
1、ムハーサバトゥ=ン=ナフス。自分で自分を秤にかける
2、アッタウバとイスティグファール。アッラーへ悔悟する事とアッラーのお許しを求める事。
3、アル=アジーマ。変わるための断固たる意志

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام


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