踏み台

今立っているその場所は

多くの恩人を踏み台に登った道の先

立ち止まることなく

振り返ることなく

駆けてきた

高い場所に登るのも

離れた場所に渡るにも

恩人を踏み台にして

たどり着いた道

恩に報いる幸せを摑めずに

しょうもない生き方を

ずっと続けている

せめて自身は誰かの踏み台に

なってただろうか

うつつの夢

耳を澄ませてみても

水が跳ねるように心地良い

君の声が聴こえない

二つの耳にもうあの声は届かないの



じっと周りを見廻しても

満開の桜のように華やかな

君の輝く姿が見つからない

二つの瞳にもうあの笑顔は映せないの



あれから月日は流れているけれど

未だに途切れない君への想い

しのぶれど

うたかたの現（うつつ）

目醒める刻（とき）を自ら与わず