悪現（あくうつつ）

眠りの中の夢にいる間だけが

しあわせな気分を浴びる束の間



現実を真っ直ぐに見るのが

見えない幽体より何よりも恐くて

一層煙になれたらどんなに良いだろう



どこか遠くの知らない街で

新しい自分の演者になっても

なにひとつ変わらないだろう

今いる場所でさえ

何一つ生み出していないのだから



夢と現実が反対になったら

どんなに良いだろう

悪夢も見るけれど

悪夢よりも哀しい現実に

また明日も帰る

悩みごと

誰かの嘘に傷ついたり

陰口に怯えたり

恋が実らず落ち込んだり

何かに悩んだり



真意なんて

本人にもわからない事も多いのに

わかるはずのないこと



見えないものを

一生懸命見ようとしたって


空気や空の果て

未来や神秘的な事象が

見えないように

どんなに頑張ったって

見えない



どうにもならないことに

心奪われないで

自分磨きや

自分ができることを

すればいい


同じ悩むんだったら

自分は何ができるかだとか

自分に何が必要かだとか

自分中心に悩めばいい

オレンジの満月

一面に何もない空は

オレンジの満月の

その存在感を強調する



地上からも

月面の黄土色がわかるような

錯覚に魅せられる



満月をずっと観てると

醤油煎餅のような色形に見えたり

まるで空の布地の

パッチワークのように見えたり

幻惑的な魅力に吸い寄せられる