まるで冷蔵庫の中やタンスの中を
探すかのように
いるはずがないって
わかっている場所でも
思わず探してしまう
同じ色の車
同じくらいの髪の長さ
もしかして
もしかしてって
ついつい探してしまうんだ
頭の中にはずっといるのにね
目の前にいない君
過去も今も近くにいないけれど
未来には近くにいるのかどうか
予想図の中を隅から隅まで捜しまわる
太陽が昇ったときも沈んだときも
起きているときも
夢の中も
ずっと追い求めている
まるでかくれんぼしているかのように
見つからない君
この両手はいつか
手を繋ぐ為に空けてある
ひとこと一言に
一喜一憂
まるで私は少年に戻った気分だ
笑顔が心地良くて
話し声も心地よくて
まるで私は母を求める幼児のようだ
独り善がりの
心配を繰り返して
まるで私は音沙汰のない子を待つ親のようだ
私が私を失っているかもしれないね
私らしさを見せれるように
大人にならなきゃだね
青年期を最後に私は親父に近寄ることは無かった。幼少期の嫌な記憶が常によぎったからだ。
お酒好きで、ギャンブル好きな親父だった。小さい頃はよく、パチンコ屋、飲み屋に連れてかれた。私は小さいから無論楽しめる場所ではなかった。寧ろ居心地の悪い場所だった。パチンコのお金がなくなると、家の生活費をおふくろからよく奪い取っていたのも記憶がある。その頃はひと月何千としかならないような、内職をおふくろがしていたのも覚えている。箸やら灰皿なんかもおふくろに投げつけていた親父の姿も焼き付いている。
そんな親父が親父自身の誕生日に旅立った。あまりにも突然やった。
忌々しい記憶が先行する親父ではあったが、いつか許せる日が来るだろうって思っていた。そんな日が来たら会いに行こうって思っていたのに、何十年会うこともなく、成人になって一緒にお酒を酌み交わした記憶もないまま、無くなった。
ずっと寄ることも無かった親父が暮らしていた家に、葬儀の準備や片付けの為久しぶりに来た。ほとんどが昔のままだ。私が知らない物品は少ししかない。けれど死に化粧した親父の顔は私の記憶している顔ではなかった。
親父の死に悲しむことはないだろうって思っていたのに。なぜだろう、こんなに悲しくなるのは。嫌な記憶が先立つけれども、暖かな記憶が少しはあるからだろうか。
親父のいない親父の家。呼びかけたとしても帰ってくる返事はない。今は箱に入ったまま決して動く事のない親父が、線香の向こう側にいるけれど、やっぱり私の知っている親父はもういないのだ。
ずっと許せずにいたはずなのに、今はもう全てを許しているよ。
道に数多永劫の時を
不動に佇む岩よ
どうか教えて
願いを叶える手段を
空を自由に滑空して
高みから観察している鳥よ
どうか教えて
望みを叶える方法を
他人に他人の痛みは
わかることはない
例え同じ痛みを経験していたとしても
痛みの感じ方や痛みの大小の差異
決して同じではない
だから真剣そうに聞いてくれたとしても
所詮他人事
ならば決して嘘のない
自然界のモノよ
どうか教えて
次の一手をどうしたらいいのかを
消えかけていた不滅の炎に
また火が灯る
ああまだ芯は残っていたんだ
あとどれだけ燃え続けれるのだろうか
若さゆえの我武者羅や無謀は
もうない
不安の風呂敷に覆われた灯火
寒さの震えを抑える為の
まるで暖炉だ
永久に燃える不滅の灯火へ
本当になったらいいのにな
私の今まで
そして今
前世において
何かしらの大罪者なのか
報われる事がない
周りを見渡しても
誰しもが大概持っている幸が
私は抱えることも
握ることもできずに
ただ独り
努力が足りないのか
否人並みにはしているよ
望みが高すぎるのか
否許容範囲は広い方だ
今までそして今
致命的な失態はない
やはり
前世の大罪者なのだろうか