2日にわけて開かれた財政問題での町民説明会の模様については、先日来の記事で紹介してきましたが、今日の市民タイムスにはその総括記事が掲載されました。取材にあたった記者がこの説明会をどう受け止めたのかが読み取れます。
町の対応は、理事者の引責報酬削減は打ち出したものの、財政危機の原因と現状をどう見ているのかという問題でも、今後財政再建をどう進めるのかという問題でも、町民を納得させる方針は打ち出せていないわけで、他の自治体の状況を見ている記者の目からも池田町の状況が、相当に深刻な状態と受け止められていることがわかります。
この記事でも指摘されていた通り、社会資本総合整備事業の推移をつぶさに調べてみると、町長の説明は「事実と異なる」のです。記者は「再精査の内容こそ検証する必要がある」と書いていましたが、私は「財政白書2020別冊」において、詳細に事業を検証し、町の何が問題であったのかを明らかにしました。
まず、町の財政逼迫がなぜおこったのかについての町長の説明から見てみましょう。
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町の事業はすべて総合計画に位置づけられている。総合計画に組み込まれた段階で、今度は、いつどれくらいの規模でやるのかという実施計画をくんでいく。この段階では予算規模というのが概略の予算であり、これが財政とどう関連していくのか、なかなか読み切れないところがある。このために、いざやってみたら相当費用がかかってしまったという状況を招いて、それを財政調整基金で補って行かざるを得ないことになった。
今回大型事業の社会資本総合整備事業を行ったが、この事業についても当初計画予算と最終的な事業(費)とでは約5億円の差がでた。このことを考えると財政と関連付けることが難しい部分はあるが、検証してみると、これ(財政との関連付け)をしっかりやっていかないと、たとえば変更があった場合に、それがどれだけ財政と関連してくるのかの検証を行っていかなければならなかった。事業を進める点でも、それが財政状況とどう関連するのかというころを検証しなければいけなかった。これが大きな反省点として浮かび上がってきている。
今後はあらゆる事業の導入に当たって、それが将来的に財政にどのような影響を与えていくのか、つねに照合しながら予算を精査していくことが必要になってくる。
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この中には、いくつも事実に反する「言い逃れ」が紛れ込んでいます。
第1。「実施計画が概略だから財政とどう関連するのか読み切れない」という部分。
もしそうだとすれば、これは理事者としての行政能力がないことを告白しているだけです。年間予算を立てる際に、それがどれだけ経常経費や投資的経費を圧迫するのかを把握しないで行政にあたってきたとすれば、こうした事態を招いても不思議はありません。
第2.「いざやってみたら相当費用がかかってしまった」。
これもウソ。費用がかかることは当然予測できることであり、その時点で計画を縮小するか中止する決断をするだけのことです。要は決断ができなかったというだけの問題。
第3。「社総交では計画額と実施額とで5億円の差が出た」という点。
下の検証ファイルを見てもらえると分かりますが、構想を立てて国に申請した額は13億5千万円。甕町政のもとで最終的に実施した額は20億3千万円。5億円の差が出たというのは何を根拠にしているのでしょうか。
第4。社総交では何度も何度もシミュレーションを行い、そのたびに財政に影響を与えないと言い続けてきたのです。なぜ、計画段階でそう言えたのかといえば、予算措置がそれなりにできていたからです。それを大きく上回る規模にしたために、一般財源と起債に頼ることになってしまいました。規模は大きくなっても、社総交それだけでは、公債費には大きな負担をかけることにはなっても、財政全般に過大な影響を与えることはまだなかったのです。従って、社総交をもって、財政と関連付けられなかったと称するのは2重に間違った認識です。
社総交を総括するとすれば、規模が膨れたという額の問題だけではなく、なぜそのようなことが起こったのか問題なのであって。シミュレーションができなかった例としてあげるのは全くもって不適切です。(下のファイルは約6M、PDF)