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《読書》立川志らく『らくご小僧』新潮社

2006-02-12 08:01:58 | 読書

●〔3〕立川志らく『らくご小僧』新潮社 2004
(2006.01.18読了)
 市民図書館で借りました。自伝的作品で、落語家になるまでの物語でした。落語家になってからの話を期待していたので少しガッカリですが、スイスイと面白く読めました。落語、映画、文章と、立川志らくは才気あふれるマルチ人間(死語)ですね。

 立川志らくは、はじめは金原亭馬生に入門しようとするのですが、馬生が死んでしまいます。その葬儀に参列した後、ふらりと池袋演芸場に立ち寄ります。
 談志が高座に登場したのは八時半頃でした。(中略)
 その夜はいつまでたっても古典落語に入りません。マクラだけ。それもお客の期待している毒舌漫談ではなく、ただただ馬生の思い出話を語っていたのです。客席から、笑いはほとんど起きません。
 -馬生師匠はいい芸人だった。
 -十八番のない人だったね。
 -頭のいい人だった。
 談志は、このようなことを淡々と喋っていたのです。
 痺れをきらした客の一人が野次を飛ばしました。
「談志、落語やれ!」
 談志はうつむき、暫くするとなんとも悲しそうな表情を浮かべて、
「今夜は落語をやりたくないんだよ。勘弁してくれ」
 とお客に詫びたのです。
 私は落雷に打たれたような衝撃を受けました。
 なんて優しい人なんだろう! この人は真の芸術家!(中略)
 私は、この人についていこうと決心していました。(pp.216~217)

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