恒例のお正月企画、【○○年の○冊】です。
読了は128冊。
以下は読んだ順です。
◎柳澤健『2016年の週刊文春』光文社 2020
柳澤健、鉄板です。
◎萩尾望都『一度きりの大泉の話』河出書房新社 2021
竹宮恵子との関係をめぐる、かなりドロドロしたお話でした。竹宮惠子『少年の名はジルベール』小学館 2016が出たので、話さずにはおれなかったということです。
◎新川帆立『競争の番人』講談社 2022
ドラマ化されたので御存じの方も多いかと思います。新川帆立は『倒産続きの彼女』、『剣持麗子のワンナイト推理』、『先祖探偵』等、作品を量産していますが、安定した面白さがあります。
◎直島翔『転がる検事に苔むさず』小学館 2021
爽やかな読後感。キャラが立ってました。続編の『恋する検事はわきまえない』も良し。
◎月村了衛『脱北航路』幻冬舎 2022
緊迫したクライマックスでは不覚にも涙しそうになりました。
◎安壇美緒『ラブカは静かに弓を持つ』集英社 2022
ヤマハとJASRACの裁判を題材にした小説でしたが、音楽教室に潜入した主人公が丁寧に描かれており、むしろ心温まる物語に。
◎篠田節子『仮想儀礼』(上)(下) 新潮社 2008
生活に困って新興宗教を立ち上げた主人公の物語。でも、様々な登場人物の中で一番ピュアだったのが彼ではなかったでしょうか。
◎樋田毅『彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人事件の永遠』文藝春秋 2021
作者の実体験に基づくノンフィクション。革○ル派の不気味な恐ろしさが伝わってきます。
◎池上彰・佐藤優『漂流 日本左翼史 理想なき左派の混迷 1972-2022』講談社 (講談社現代新書) 2022
三部作完結。内容が自分と同時代的になってきました。他にも伴野準一『全学連と全共闘』平凡社(平凡社新書) 2010、中北浩爾『日本共産党-「革命」を夢見た100年』中央公論新社(中公新書) 2022を読みました。
◎綾崎隼『ぼくらに嘘がひとつだけ』文藝春秋 2022
棋士をめざす主人公2人の一途さに心打たれます。
◎一雫ライオン『二人の嘘』幻冬舎 2021
純愛小説。
◎本郷 和人『歴史学者という病 』講談社(講談社現代新書) 2022
歴史学とはどのような学問なのか。興味深く読むことができました。
【NEXT12】(順不同)
○牧村康正『ヤクザと過激派が棲む街』講談社 2020
山谷でのヤクザと過激派(新左翼)の抗争を描いています。新左翼活動家の様々な人間像に魅かれます。
○橋本長道『覇王の譜』新潮社(新潮文庫) 2022
こちらも主人公が将棋に打ち込む一途な姿が印象的でした。
○内田樹『そのうちなんとかなるだろう』マガジンハウス 2019
内田樹の半生記。ちなみに立川談志の場合は、『人生、成り行き―談志一代記』(新潮文庫) 2010。
○魚住昭『出版と権力 講談社と野間家の一一〇年』講談社 2021
講談社創業者の野間清治の強烈な個性には圧倒されます。
○逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房 2021
今さらワタクシが何も言うことはない話題の書。
○誉田哲也『フェイクフィクション』集英社 2021
警察、ヤクザ、元プロキックボクサー、新興宗教が絡むエンターテインメント。
○中川右介『国家と音楽家』集英社(集英社文庫) 2022
もしショスタコーヴィチがソ連に生まれていなかったらどうなっていたんでしょう。
○前田啓介『昭和の参謀』講談社(講談社現代新書) 2022
生き残った参謀たちの戦後の生活にスポットを当てた異色の本でした。
○古谷経衡『敗軍の名将 インパール・沖縄・特攻』幻冬舎(幻冬舎新書) 2021
著者は軍事関係の専門家ではないかもしれませんが、実際にインパールに足を運んでいるところに説得力があります。
○石井徹也『新宿末廣亭うら、喫茶「楽屋」』アスペクト 2013
やはり、芸談は面白い。
○杉江松恋『浪曲は蘇る:玉川福太郎と伝統話芸の栄枯盛衰』原書房 2022
浪曲を聴きたくなりました(時々は聴いています)。
○北村紗衣『批評の教室 チョウのように読み、ハチのように書く』筑摩書房(ちくま新書) 2021
「ここでひとつ強調しておきたいのは比評をする時の解釈には正解はないが間違いはある、ということです。よく解釈なんて自由だから間違いなんかない、と思っている人がいますが、これは大間違いです。間違った解釈というのはとくにフィクション内事実の認定に関するものを中心に、結構あります。」(北村紗衣『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』pp.12-13)ということです。
【番外】
●スーツ『神と呼ばれる鉄道YouTuber スーツの素顔』三才ブックス 2020
スーツ氏のYouTubeには特に興味はひかれませんでしたが、こちらの本は大変面白うございました。
●佐藤優『池田大作研究 世界宗教への道を追う』朝日新聞出版 2020
プロテスタント神学の研究者である佐藤優がその立場から池田大作と創価学会を分析した本かと思いきや、どう見ても提灯本にしか思えませんでした。一種の奇書か。
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