ΓΝΩΘΙ ΣΑΥΤΟΝ-購書&購盤日記-

本やCDを買う日々の記録です。ツイッター:http://twitter.com/sr_azev

《読書》仲正昌樹『Nの肖像-統一教会で過ごした日々の記憶-』双風舎

2010-04-13 06:10:05 | 読書
●〔118〕仲正昌樹『Nの肖像-統一教会で過ごした日々の記憶-』双風舎 2009(2009.12.13読了)

○内容紹介
現代思想や哲学に関する多くの著書で知られる仲正昌樹(金沢大学教授)は、東大入学と同時に、統一教会に入信した。信仰の深さを証明するために、入信後は布教や物売りにはげみ、合同結婚式にも参加。原理研究会では左翼と闘い、統一教会系の新聞である「世界日報」では第一線の記者として活躍した。そして、入信から11年半後、仲正は自力で脱会する。誰もが疑問に思うことがある。現役で東大に入った著者が、なぜ学問を放棄して宗教に走ったのか。統一教会では、どんな暮らしをしていたのか。そして、どうやって脱会したのか。いま第一線で活躍する政治哲学者の仲正が、これまで語らなかった数奇な半生をつづりつつ、みずからの宗教体験を深くかえりみる。

 興味深く読むことができました。
 結論から言うと、やっぱり著者は変わった人だということです。

○広島県出身
 私が通った広島県立呉三津田高校は、けっしてエリート進学校ではなかった。以前は、東大に年間一〇人くらい送りだす進学校だったが、七六年に広島県は総合選抜という入試制度を採用して、それ以降、同校のレベルは落ちたようだ。
 総合選抜というのは、呉市だったら、呉市内にある三つの普通科高校を同じものと見なして受験させ、合格者のなかから、志望校ごとの抽選で選ぶシステムである。当時の三津田高校は、広島大学への合格者は多く出していたが、私が東大に入るまでの二年間は、東大の合格者がいなかったと記憶している。
 当時の広島県内では、広島大学付属高校と修道高校、そして広島学院高校が、東大や京大などに多くの合格者を出す進学校と認知されていた。私がそれらの高校を選んだ場合、入試自体は問題なかったかもしれない。しかし、体育と音楽、そして技術・家庭の成績があまりにも悪かった。そうなると、入試で受かっても内申で落とされることになったと思う。
 そんな理由があって、入れそうなところで一番高いレベルの呉三津田高校に進学することになった。同校は、総合選抜以前は有力な進学校だったので、その勢いが残っていた。また、私の家から一番近くなので、志望してみたところ、うまくクジに当たった。(pp.43~44)


○まとめ
 もう一度、自分に問いただしてみよう。統一教会で過ごした一一年半は、私にとって何だったのだろうか。
 よいこともあった。悪いこともあった。楽しいこともあった。つらいこともあった。一一年半の宗教体験を、単純な言葉で言いあらわすことはできない。
 いずれにしても、そこで得た多くの体験は、私の記憶にいまも残っており、私の思考に影響を与えている。
 いまさら統一教会を賞讃したり擁護する気にはなれないし、おそらく二度ともどることはないと思うが、とくに強く糾弾する必然性も感じない。
 他人に迷惑をかけない範囲で、宗教を信じたい人は信じればいいし、辞めたくなった人は適当な時期に辞めればいい、と思う。
 ただ、それだけのことなのである。(p.254)

 上記は本書の最後の部分です。無責任な、と怒りだす人がいるかもしれません。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。