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《読書》柳広司『ジョーカー・ゲーム』角川書店

2008-12-02 10:42:42 | 読書
●〔119〕柳広司『ジョーカー・ゲーム』角川書店 2008(2008.11.15読了)

○内容紹介
結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校“D機関”。「スパイとは“見えない存在”であること」「殺人及び自死は最悪の選択肢」。これが、結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く「魔王」―結城中佐は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を挙げ、陸軍内の敵をも出し抜いてゆく。東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる最高にスタイリッシュなスパイ・ミステリー。

 えらく評判がいいようですが(「このミス」2位、 「読売新聞・本屋さんへ行こう!」 など)、私にはイマイチ。もっと綿密に書き込んで欲しかったし、キャラも立ってませんでした。

 登場人物がスパイとして働く動機が、以下で述べられていましたが、あまり説得力を感じませんでした。
 佐久間は、証拠を捜して家の中を動き回る偽の憲兵たちを目で追いながら、苦い思いでその時の会話を思い出していた。
 (こいつらがスパイとして働くのは、名誉や、愛国心のためですらないのだ)
 そう考えると、心の底から嫌悪感が湧き上がってくる。
 だが、そんなことが本当に可能なのだろうか? 一生誰も愛さず、何ものも信じないで生きてゆくなどということが。
 この連中を動かしているものは、結局のところ、
 ――自分ならこの程度のことは出来なければならない。
 という恐ろしいほどの自負心だけなのだ。
 佐久間が知る限り、そんな風に生きていけるのは人でなしだけだった。(p.29)



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