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この冬最後のシノギング

厳冬期には深い雪を求め、かつできるだけ誰にも会わなそうなマイナーエリアまで足を延ばすのだが、自宅から見える丹沢山系の様子を見るとそんなに遠出をしなくても雪がありそうなので、比較的近くてそれでいて誰にも会わなそうなエリアに出かけたのは2月下旬のこと。3月になれば凌の雪山シーズンは終わるのでこれがこの冬最後のシノギング。

JR中央本線のK駅には私と、今回も同行してくれるY氏だけが下車(笑)紅葉の時期には多くのハイカーでにぎわうこの駅も冬の終わりは静かでよろしい。下道を小一時間歩くと目星をつけていた取り付きに到着。ご親切に階段があるので使わせていただく。

こう見えてカッチカチの地面(笑)ほとんど日が当たらない西向きの尾根の末端はツンドラのように凍り付いている。

丸腰でこの壁を登るのは危険なので凌ピッケルとチェーンスパイクで武装。チェーンスパイクは何とか効いているようだが凌ピッケルのピックが食い込まないのでバランスを取りながら登るしかない。150mほどの凍土の壁に小一時間を費やしてしまった。やれやれだ。

細い尾根に乗ると傾斜は緩んで送電鉄塔越しに南側の視界が開けた。

天気予報が春の陽気になると言っていた通り花がムズムズするような陽気で、ひたすら東に向かう尾根を辿る右半身はポカポカと暑いくらいだ。

尾根はときどき広がったり痩せたり、そして緩急を繰り返して標高を上げて行く。

日向と日影の差がはっきり。

南北に長い主尾根に突き上げるこの辺りの支尾根は大木や露岩でふさがれていたり、切れ落ちた悪場があったりして難儀することが多い。こんなところを凌ぐとき、高所恐怖症の私はおののいて自分の足が思い通りに動かなくなってしまうので、精一杯自分を落ち着かせてできるだけ慎重にこれらの難所を凌ぐしかない。

足の震えが収まらないまま細い尾根の緩急を凌ぐ。

1,300m圏に入ると尾根は比較的広くなり、振り返ると遠くに南アルプスが横たわる。

支尾根の詰めの急傾斜を凌いで行くとやがて露岩が散在し始めたのでその間をすり抜けるように登る。

露岩帯の先は小さい広場になっていてここで主尾根に出たことになる。昼過ぎには着いちゃうかも、などとニヤニヤ話していたが意外に難儀して、ヤマバッグにぶら下げたカシオは15:00を過ぎようとしていた。

それでもだいぶ日が伸びたので明るいうちに設営を済ませることができた。雪原のように広い尾根も気持ちがいいが箱庭のようにこじんまりとした空間もいいものだ。

ツリーストラップ、タープのライン、リッジラインが重なったごちゃごちゃ感は悪くない。スリップノットとトラッカーズヒッチでやりくりする。便利なパーツを外してしまえば必要なロープワークがわかってくるし、こちらの方が自由度が高いことに気が付くだろう。

チェーンスパイクよありがとう! これが無かったら取り付きでリタイアするしかなかった(笑)

設営は終わったがもうひと仕事。ざらざらで異物の混じった表層の雪を剥がして、その下の綺麗な雪を火にかけて解かすことに夢中になっていると、夕日はいつの間にか富士山の横に沈んでいた。

薄暮の中、西の町にちらちらとあかりが灯りはじめる。

大都市圏を控える東の空は暗くなっても何となく明るい。

ようやく水を確保できたのでぬる燗タイムだ。水分を失った身体に酒が染みわたる。う、うまい・・・。

雪山にはいさぎよくブリケットを持参する。少々重いが愛用のpicogrill 85に12個を詰め込んで、それとは別に用意した12個のブリケットを少しずつ足せば、寝るまでしっかり暖を取れるし寝てからしばらくはあたたかい。

ぽつり、ぽつりと、Y氏と言葉を交わしていたが早くも眠くなってきたので、モグ350とハンモックビビィTyvekのセットにもぐり込む。

冬型の気圧配置に戻ると天気予報が言っていた通り、夜中にタープが緩んで遊ぶ音に目が覚めると、西風がごうごうとうなっていた。明け方には気温が思っていたよりも下がっていて、もう少しでマイナス10℃になるところだったが、いつものハンモックシステムのおかげでよく眠ることができた。

朝飯は持参した保険の薪をぜいたくに燃やし、残り汁で木綿豆腐を温め青ネギをどっさり乗せる。その脇でコーヒーの湯を沸かし、その脇で凍り付いたぬる燗用水を解かす。自助式スリーバーナーはとっても便利。

昨日の疲労が残るガチガチの身体をほぐしながら撤収を終わらせて絶景の箱庭を後にする。

こんな景色の中を歩けるなんて幸せだな~。

継続テスト中のトリガーミトンタイプのオーバーグローブ(7月中旬入荷予定)は、凌ピッケルも扱えるし、水を作るときの雪をコッヘルに詰めるときにも便利なのでシノギングには欠かせない。

鹿の足跡しかない尾根を地図読みをしながら歩く。「ここは西に西に行ってこっちに入り込まないように」と地形図を見て十分に気を付けていただつもりだったのに、まんまと行ってはいけない方に吸い寄せられていた(笑)

幸い、このままこの尾根を下ってもトラバースしてリカバリーできるのでこのまま進むことにする。たとえ間違えても修正できればいいのだと自分に甘い俺。

リカバリールートは破線ルートになっているようでしっかりとした踏み跡があり、面白さは半減したが気持ちのいいルートを時折り汗を拭いながら進む。

向こうにはかつての超シノギングで下った長い尾根が見えるが、今回はあそこまで登り返そうなどと言う気合はなく、早くビールを呑みたい気持ちでいっぱいだ。

疲れていても鉄塔を見ると元気が出る!

リカバリーが済んで本来のルートに戻りO峠からの尾根道を下る。なんでしょうな、この気持ちのいい道は。

早いことビールにありつきたくて、我々にしてはオーバーペースで麓の町に辿りついた。

ぐびぐび、ずるずる、ぐびぐび、あーうまい(笑)

この冬最後のシノギングをこうして無事に終えたのであった。

 

今回の装備

行動中

フユボウシ

凌マスク(絶賛販売中)

カルフワタオル

ハンテン combat wool(試作品)

マタギ 伊太利(試作品)

Tecnowool Long Tee(試作品)

シモナギ

カルフワタイツ

NEW クナイ(絶賛販売中)

凌ピッケル(補充生産中)

ヤマバッグ XP(試作品)

タモツウルオス XP(試作品)

EXPED LIGHTNING 45L

 

停滞中

ヨヒヤミ

クイックハラマキ

アグラスカート

EXPED CAMP BOOTIE

モグ350(絶賛販売中)

ハンモックビビィ Tyvek(絶賛販売中)

EXPED SOLO TARP

シノギチャブダイ+三脚取付具(絶賛販売中)

ヌノバケツ250mm(絶賛販売中)

ヌノバケツ 4 liters XP(試作品)

 

 

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