四季の山を歩き、思い、創造する。
凌 手記
シノギング旅烏 ~身延から角打の沢と本遠寺を繞る~
甲斐は四方津の回より早一年。。
新たなシノギングの提案、二泊以上補給有りの「シノギング旅烏」を実践すべく、我々が向かったのは同山梨は身延の地。
梅雨明け猛暑日の予定。初の沢を絡めて、この辺り日蓮宗総本山となり、暑さを修験が如く凌ぐ旅烏となる。さて、全容は如何に。
駅舎で軽く身支度を整えると、とぼとぼと歩き始める。初日は沢を絡めた道となる。
駅より東は”角打”という地名となる。その字面を見るだけでワクワクしてしまう我々だが、読み方は”ツノウチ”となる。
町を抜ける通りすがら、歴史を感じる情景がチラホラ。
この公民館、きっと吞兵衛が絶えないのかな笑
最初の難所といっても過言では無い、日差し照る舗装路。既に汗だくになりながら、着実に沢への道を詰めて行く。
大きな高速道路の高架下を潜ると、我々を拒むかの様に鬱蒼と廃る沢沿いの林道が始まる。今回の沢はアテズッポウ。地形図では中流確実に地形は緩くなるが、最初下流部が沢色濃く、難所が予想される。吉と出るか凶と出るか。。
林道を暫くタドルと入れそうなポイントに差し掛かる。様子見るためにも入渓。また少しだけタドルと、急峻狭くで流れの強い箇所へぶつかる。ここの遡行は無理だ。辺りを見渡すと、対岸に先の林道の続きが見える。
そちら側へりよじ登り見返す。林道が崩落した跡だったようだ。不穏な空気が流れるも、何とかまだ希望は繋げられた。
暫くタドルと林道は終点へ。恐る恐る沢筋を覗くと、そこには断崖絶壁の堰堤が拡がっていた。どうやら凶を引いてしまったようだ。
見渡してもこの堰堤を巻けそうな道は見いだせず、再度地形図と睨めっこ。沢をタドル事は諦め、この沢筋左岸寄りの尾根をタドリ、緩くなる中流辺りで再び沢筋へ下りてみるルートへ変更。
気を取り直し、来た道を戻る。
もしかすると最後の沢歩きになるかもしれず、この後の暑さにも備え、噛みしめながら暫しの沢を堪能する。
波乱の幕開けだ。林道へ戻り、尾根側の入れそうなポイントを見極めながら遡る。
少し緩くなっている渓筋があり、植生様子的にも行けそうと判断し、地獄の尾根歩き開始。
本日猛暑なので、急がず焦らず一歩一歩着実に詰めて行く。
明瞭な尾根へ出る。変に荒れたりしておらず一安心。
一息ついてから尾根をタドル。
地獄は地獄だが、少し上がると風が抜け始め、幾分涼みながら歩け助かる。
ふと目の前に巨岩が現れヒヤッとする。際を見極めて上手く巻く。
次第に沢の音が近づいてくる。まだ渓相までははっきり見えない。
沢にもっとも近づき、傾斜も緩くなる微かな尾根渓筋から少しずつ下降し始める。
問題なく沢へ繋げられそうだ。何か人工的に拓かれたような地形を感じる。
と思ったら、朽ちた炭焼き跡を発見。しかしこんな奥地辺鄙な所に存在していたのかと感嘆。
沢が見えて来た。う~む、どうだ??
先週の雨の影響もあってか、少し流れは強い。ただ、沢沿い地形は狙い通り良さそう。
そうとなれば、少々早いが本日の別荘地選定へ入る。所々苔生しており、良い景観。
地形図的に緩い所の末端、沢二股に分かれるところまで隈なく確認。この先は地形図通り、別荘地は期待できそうにない。
という事で、一番最初に目星を付けた手前こちらでチェックイン。
時間はたっぷりある。ささっと別荘構築して昼寝でもしたいな。
脱ぐもの脱いで、物干しもしっかりと、
本日の別荘完成。
ちょいグロで閲覧注意だが、結構足元にはヒルちゃんがまとわりついていた。。双方幸いがっつり噛まれている事はなかったが、完全にこいつの対策は抜けていた。塩とアルコールで応急処置。
その部分を除けば、沢筋からも適度に離れ、苔生す景観と適度な日差しが入る良い場所だ。
本日の精神的な労もねぎらうように、少し遅めの昼寝を一時間ほど。
薪も切り出し整えて、
タープも展開し、今宵に備える。
いやしかし、夏でもふっくら素足を包んでくれる凌スリッパが快適。リラックスリカバリー効果も期待出来る。
お互い我慢しきれず、まずはプシュッと一杯。こちらもしかし、保冷剤工夫する事で八時間後でも冷えたビールが飲める、冷たいヌノバケツが最高である。
次第に日も暮れていき、ひぐらしのなく頃に。
ヨヒヤミに包まれると晩酌開始。
シノギング旅烏が特別という訳でもないが、その質を高めてくれる重要な要素として”食”が含まれる。取り分け晩飯は簡素で質素にならなよう、少し調理し拘る事で、より満たされるでしょう。我々の場合は、更にそこにお酒が入る事で仕上がる。
焚火を適当に嗜み静寂に包まれながら、今宵も更けていく。
明くる朝。
薄暗い沢筋の爽やかな夜明け。
そして朝日が差し込む。
本日は概ね来た道を戻り、再度身延の地へ下り補給をする。そして今回、駅近で商店もそこそこあるので、新たな試みを画策。。
どちらにしてもいつも通りの朝活にて朝食も済ます。
身支度を整えて、撤収開始。起床をゆっくりにしたので、ここまでの一連は淀みなく。
一夜後の笑ってはいけない奴。45度、B面。
いざ、出立。最後になるであろう沢筋を目に焼き付ける。
のっけからの急登。一気に汗が吹き出し、覚醒する。
昨日の巨岩を反対側から巻く。人一人納まれそうな不気味な削り穴が、、
本日も尾根上、適度に風が抜け心地良い。まだ午前中気温上がりきる前だが、これが有ると無いのとで大違い。
尾根の末端行けるところまで辿ってみるも、地形図の通り高速道路手前で寸断されていた。フェンス沿いにどちらか渓よりに下りられるかもしれないが少し怪しい。。
潔く昨日上がってきた渓辺りへ戻り、そこから下りる事にする。昨日の感覚的に下りでは心配な部分もあるので、お助け紐用意しておく。
登り時より道筋不明瞭でツヅラヲリで下りるも、案の定グズグズで危なそうな所あったので、ワンピッチお助け紐下降で凌ぐ。
無事帰還。この辺りでヒルにやられた可能性もあるので、そそくさと林道を後にする。
先の高速道路脇は最終のり面でこの斜面高さ。大事を取っていて良かった。
そして日差し照る集落を彷徨い、
駅周辺へ舞い戻る。しかし暑いなぁ。
駅舎まで戻り、水分補給しつつ作戦会議。そして、我々が画策した新たな試みへ、
食堂での昼食腹ごしらえ。
補給ポイントで食事処があり、ちょうどお昼時に通過できるのであれば、休憩、栄養補給も兼ねて普通に食事を摂ってしまえという考え。取り分け夏時期は体力消耗も激しいので、こちらの補給この後の行動にも影響するはず。その土地土地の食も楽しめ、作戦会議もでき、一石三鳥くらいになる。
しっかり英気を養い、補給の旅へ出る。まずは駅前の酒屋さんで日本酒を手に入れ笑
町唯一の商店で本日の献立を考えながら買い出し。
いや~今回とんでもないネタが二品ほどゲット出来た。詳細は後程。
保冷用のかち割り氷も入手し、冷たいヌノバケツも存分に活用出来る。
今回お世話になった補給商店は、「やおくに」さん。こじんまりしているが、生鮮ものから過不足なく揃っている。唯一、酒類は扱い無し(これは酒屋さんやこの後の土産屋さんで入手可能)。そして日曜定休日にご注意を!
最後に事前に下見をしていたこちら「永谷屋」さんで、ビールを入手。これにて補給は完了。
再度のパッキングを済ませ、再出立。大橋を渡って西の対岸へ。
二日目は完全に尾根歩き。そして猛暑もあるので、行程短くを意識し、途中良い所があればそのままチェックインしてしまう算段。あの辺り尾根始点から入る。
尾根麓から害獣柵を入ると荒れた林道が延びる。
暫く辿ったが、尾根始点辺りはこの林道斜面で寸断されており、素直に上がれそうにない。鉄塔あったから巡視路もあるはずだが、、最初の害獣柵の隣に一段上がる階段があり、そこが正解だったか?
ここも素直に戻ると、正にそこから巡視路ぽい道が延びていた。よしよし。
間違いなさそうだ。
送電線鉄塔へ到着。お猿さん家族がキーキーと奥へ逃げて行く。
「南無妙法蓮華経」と掘られた石碑を横に、その道の証。
昨日とは打って変わって風の抜けない尾根歩き。険しい箇所は無いが、着実に体力が削られていく。。楽園はどこだ?
地形図ではこの先少し拓けた白場となるが、、如何に。
そこにはちょうど二、三張り出来そうな適地が拡がっていた。植生も申し分ない。本日も少し早めだがこちらでチェックインとする。
さっさと別荘を構築すると、
早々にゴロンとお昼寝。長丁場となるシノギング旅烏ではこれも身体を休める重要な行為。
後も同じルーチン。せっせと薪を蓄え、
タープとハンモック回りも整えて、今宵に備える。
まだヨヒヤミまで時間あるが、我慢できずと開封。。今宵の目玉第一弾、まぐろブツ!山で刺身が食べられるとは。
味と満足度はこの顔を見ていただければ容易く想像できよう。
ようやく日も暮れ出し、焚火を始める。
今宵の目玉第二弾、浜名湖産ウナギの蒲焼き!ちょうど本日土用の丑の日也!
まさかこんな上等なウナギが山の中で食べられるとは。双方しっかり熾火でじっくり焼き直し、
美味しく頂戴した。感無量...
今宵は満足度が高すぎる。やはり食は大切だ。しみじみ噛みしめながら、焚火と晩酌を嗜み、
今宵も更けていく。
明くる朝。。
ゆっくりの起床。既にじんわりと暑さを感じる。。
早々に朝活を済ませて、
ちょいとぐーたら。最終日山行はかなり短い行程で、最後はお寺集落を巡って〆となる。
何だかんだの三日間、早かったなぁ。見上げた木漏れ日を噛みしめながら、ひしひしと。そして最後の撤収を済ませる。
二夜後の笑ってはいけない奴。A面、B面。
昨日来た道をタドリ下りる。幸いお猿さんの被害はなかったが、ヒルが少々、、この辺りは尾根上でもでると町の方々が言っていた通り。
結界を抜けて、
麓へ到着するとまずはヒルチェック。やっぱり何匹かいらした。。
小さな集落を抜け、〆の本遠寺を目指す。暑さはあるが終わりが見え、気持ちは爽やか。
最後の最後で少し旅情感も味わう。
本堂到着。幕末の火災で、この本堂と鐘楼堂のみが現存しているよう。立派な作りであった。
そして爽やかな気分のまま、凌らしからぬ爽やかな道へ。
富士川ほとりの河川敷をトボトボと歩き、駅舎を目指す。ちょうど臨んだ二つの山域も見渡せ、良い締めくくり。
こうして我々の夏のシノギング旅烏は幕を下ろす。
久しぶりのシノギング旅烏。
狙い通りにいかなかった所もあるが、それもこれも旅烏。旅から旅へと渡り凌ぐ。食を含めて新たな可能性を感じさせる良い回となった。
シノギング旅烏とは、二泊以上の行程で、必ず補給をはさむというシノギングの新たなスタイル。
さて、次はどんな旅烏ができるかな。
#シノギング旅烏 #旅烏

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