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3月26日「第一回シノギング講習 基礎編」の様子

2022年、新たな試みとして開催させていただくシノギングイベント、

「シノギング講習~凌を知る」

その記念すべき第1回目は、3月4月の月例シノギング枠を前半の基礎編と、後半の実践編へ分けてお送りする。まずは今回その基礎編となる。

とても申し込みしづらいであろう細かな募集要項の中、ご応募いただき、晴れて選抜となったポストシノラー達が駅に集結す。

さて駅前は人が多く落ち着かない。いつもの人気の少ない広場へ移動し、簡単なご挨拶。

勿論皆さん、がっつりなシノギングイベントへのご参加は今回が初めて。この前半の基礎編は、とにかくシノギングに必要なノウハウを時間を掛けて教え紐解く回となっている。

早速コンパスの使い方を伝授。東西南北は大丈夫でしょう。では北西を向いて下さ~い。

OK。では南南東を向いて下さ~い。

おやおや怪しい方がいるぞ笑 その後数回繰り返しオールクリア。

そう、シノギングではこのコンパスが差す方角さえ理解できていれば問題なく、その方位も最大16方位まで分かれば問題ない。磁北線に合わせて~整置して~という作業はそうそう行う事はなく、基本にして一番大事なのは”方角が分かる”という事である。この後、実際の山域に入る事で、その意味もより実感してもらえるだろう。

その前にもう1ステップ。山へ入る前だが、この長く西から東へ延びる道が、大きな国道にT字でぶつかっている。この象徴的な場所は果たして地図上のどこにあたるでしょうか?

答えは明白で、駅からすぐの場所でそんな地図表記されている箇所はここしかない。そう、山の中でもこのような、分かりやすい象徴的なポイント(最たる例として送電線とクロスしている点など)を目星つけ、捕捉しておき、そのポイントポイントでしっかりコンパスを使った現在地の確認をすれば良いのである。

地図読みではこの細かな現在地確認というのも大事で、コンパスで方角を理解し進めるのも、この現在地確認延いては自分が今地図上のどこにいるのかを把握出来ている事が前提となる。

そして時には地形図だけでは紐解けない情報を、”外”から実際に観察する事で、得るのも手段である。例えば、地形図上の広葉樹針葉樹のマークというのは実はいい加減なもので、見晴らしの良い所から実際に観察確認するのが当然一番確実な方法となる。付随して、あの木が生えていればそこに道がある等の知識を紐付ければ、道の探し方見つけ方も広がり、なぜあそこだけこんなに広葉樹が広がっているのか等の、好奇心からくる道の選択肢も増える。

中々山に入れないが、これらも地図読み・シノギングにおける知恵となるため、時間を惜しみなく費やし伝える。

ようやくノヤマに分け入るが、まずA地点の稜線までは森勝氏先導によりご案内。

その道中、普通の登山道だが、パッと見て気になる所で逐一立ち止まりご説明。あの反対に飛びている尾根は薪炭林で気持ち良さそう~や、この植物はこういう植生で~等、、グループ且つイベントという事もあり、意図的に多く時間を割いたが、このようなミチクサをしながら歩き登るのは乙なもので、少なくともコースタイムに囚われて下しか見ずに登るようなスタイルよりはよっぽど有意義である。結果的にも無理な登り方をしないので、体力も温存でき、効率的に登る事が出来る。何と素敵な事だろう。

程なくして稜線へ出る。ここでまず大事な始点となる現在地の確認と認識をしてもらう。勿論色ペンでマーキングと時間の記載も忘れずに。

そして麓でもお話した、分かりやすいポイントを探し事前に捕捉しておく。そのポイントの選定に色々と意見交換してもらう。我々から補足にて伝えた点は1つ。●個目のピークを目指す、といった数えで捕捉するような選び方はするべからず!(その意味も実際歩き始めて直ぐ理解していただけたが)

この辺りは少し経験則も必要になってくるが、とにかく特徴的なポイントか、様々な状態が複合的に絡んだポイント(つまり特徴的なポイントだが...)を探し出す事。見つけたらばそのポイントへチョンとマークしておく。地図読みとはこの繰り返しで目的地を目指し、そして下山するのである。

ここでもじっくり時間を使い、捕捉出来た所で、恒例の野放しスタイル。参加者先導でのシノギングのスタート。

実際はどのようなポイント捕捉をしていたかは参加者のみぞ知る。単純に支尾根が重なっている所はいくらでもあるので、もっと広い視野で捉え、落とし込むのがミソである。

第1ポイントは、特徴的なヤツ(捕捉点A)を眼下に捉え、そこを追い辿る事でクリア。同時にそこまでの時間も計っておき、このくらいの距離はこくらいの時間で進める、というちょっとした指標を算出しておく。これもシノギングには欠かせない確認事項だ。そのポイントでウンチク話を盛り込みつつ、また次のポイントを捕捉する。次は「グウォーンする辺り」が目標ポイントで、それが合言葉と化す(笑)

しっかりとしたフミアトのある所謂登山道を進んでいるが、この道がしっかりしているルートでの地図読みというのが、実は一番厄介である。シンプルな地形図からの情報を遮るようなに道が存在しており、生半可な確認ポイントでは見落とし通り過ぎてしまう。そもそもこんな道標もあるような登山道で、逐一地図読みしながら進む事など稀有なのだが、あえてそこで地図読みする事は、大きな経験値へ繋げられる。そしてそれら地形や特徴も細かく把握できるので、その山域への造詣も深められるというオマケもついてくる。実は一般的な登山道は地図読み練習にも最適なのである。

そうした登山道がある弊害も乗り越えつつ、しっかりグウォーン地点に到達。皆さん少しずつ地図読みのそれを理解されてきたご様子。現在地の確認と、その次のポイントの捕捉にも拍車が掛かり、申し分もなし。ついでにこの先の支尾根には別荘地があるよ、というプチ情報も盛り込んでおく。気になる方は、今後の宿題として是非またシノギングにきて確認してね。

実は我々も歩いていて気になった場所があれば、地図にマーク等残しておき、また確認に訪れるということもしばしば有る。

次のポイントはいよいよ一番分かりやすい、送電線がクロスしている点。そしてそこから稜線へ別れを告げ、支尾根へ入る。まぁ最初からこの支尾根へのポイントを理解していれば、この送電線を目指すだけでOKな訳で、これまでの捕捉は不要なのだが笑 このチェックポイントは着実にマークしていくのが地図読み延いてはシノギングの楽しみの1つである。

ちなみにこちらがグウォーンする場所。我々にしかわからないであろう笑

送電線あった!と思いきやフェイクの廃鉄塔。ただその前のT字で折れた地点で実際の送電線は確認済なので、もうすぐであろう。

そしてしっかり現れた送電線とちょうど稜線上に立つ鉄塔。誰が通っても分かるポイント。ここを起点に、総じて南へ進んでいた方角を北西へ移し、支尾根へ乗る。少し鉄塔に隠れる形でフミアトも延びていたが、ある道には惑わされず、しっかりコンパスを信じて進む。暫くは下り調子となり、何となくメインの登山道から外れた感が分かる道のつき方。

そして再び姿を現す廃鉄塔。これらを辿ってみるだけでも面白いシノギングが出来そうである。

後ろの方で、「あった!」という森勝氏の声。そろそろと我々に近づいてくると、パッと見せるは火口に最適な樹脂がぎっしり詰まったファットウッドだ。流れでファットウッドの見分け方探し方講習に入るも、その特徴は非常にシビアでかなり感覚的な所が大きい。。強いて言うならば流木のようなみための太目の幹の倒木。脂の詰まり具合は様々だが慣れればそれすらも見分けられるようになる??

第1の目的地(B地点)としてた場所に到着。皆捕捉もしっかりできていた。そこはちょっとしたハンモックポイントでもあったが、なんと先に探していた上質そうなファットウッドの木があるではないか。すかさずノコギリで切り確認してみる...

すると...

じゃじゃーん!とこれは後の休憩時に割いてチップ化したものだが、見よこの脂の乗り具合。私だったら鮭とばと間違えて炙ってしまう程だ笑

一盛り上がりした所で、このB地点にてロープワーク・タープ張り講習。大小、長い短い、様々なロープたちを広げる。

口酸っぱくしていつも伝えているが、何々ヒッチ~や何々ノットと言ったややこしい結びロープワークを覚えるより、先ずはシンプルな”片結び”を覚えるべし!その基本の片結びを視点を変えて組み合わせる事で、所謂違う結びロープワークへ進化させる事が出来る。そしてその簡潔な結びだけでアウトドアのロープワークは大体完結出来てしまうもの。

二結び、スリップノット、トラッカーズヒッチ、フィッシャーマンズノット等々、これらは全て片結びの応用変形型で構成されている。難しく考えずに簡潔に基本に忠実になる事。この考え方は凌にも通ずるものがある。

そして、とにかく反復して結びを活用、使うこと。

これはノヤマの実践でも勿論の事、

家でのちょっとした時間で実践するのも効果的だ。

そしてこれらロープワークを遺憾なく発揮するタープ張り講習へ移る。お馴染みのEXPED SoloTarpをピンと屋根として張ってもらう。これら細かなノウハウを知りたい方は、是非また開催するであろう次回シノギング講習に参加してもらいたい。

少しの知識とコツで、こんなにピシャっと綺麗に張れる。張った後の事もしっかり考えて場所を選定するのもミソ。道具は使いこなしてナンボの物で、使いこなさなければ道具にも失礼であり、そこに美学を求めているのも凌。

綺麗に張れた1つタープ屋根の下で、お昼休憩。Solo Tarpも広く張れば2~3人は余裕でカバーできる屋根となる。

昼食後は勿論森勝氏によるナイフ談義。種類ごとの比較や、ちょっとしたナイフの使用方法も伝授。休む暇を与えない笑

サクッと講習も兼ねた休憩を終えると、お待ちかね、今度はC地点へ向けてのコンパス直進にて渓下り一登りしてもらう。

先にも伝えた通り、整置や、コンパス直進は、シノギングにおける実際のノヤマではほとんど活用する事はないが、その知識や経験値を決して持つなという事ではない。やはり一度体験経験しているか否かでも、その後の知見広がり方も変わってくる。日本の山域では実践的ではないが、経験値として、時にこれらの練習を盛り込み闊歩する事も必要である。

という事で、C地点を捕捉し、そこに向けた角度を出し、プレートコンパスの回転リングを合わせ...という一連の工程を踏み、いざストレートウォーク、スタート!

この時ばかりは自分を信じず、コンパスのみを信じるべし!

だがしかし、嫌~な斜面にぶつかる。もちろん突っ込んでも良いのだが、下りの急斜面はリスクが高く、何より直感的にも「嫌だな」という気持ちが優先される。この頃になると皆さんの連携意思疎通も出来ており、しっかり話し合いの場が設けられていたのが印象的だ。

そうして、ストレートウォークを一旦断ち切り、斜面を避けるように本来の植生界となっている尾根道を進む。うむ。この判断は正しいのである。

要するにこんな感じの植生の場所は、斜面土台も荒れてるから気を付けて、という経験をして欲しかったのだ。

程なくして、渓へ到達。明らかに今までとは違う道なき道を進むストレートウォークに、皆さんの満足度も高そう。こういう所謂ちょっとした“凌ぐ”という道を織り交ぜると、狭く小さなエリアでもグッと達成感、シノギング度が増す。

さて、渓へ下りてきたという事は、登り返さなければいけない。。下りの最後と違ってこの登りは斜度はあるが荒れてはいない。ただ、渓沿いに古い石垣のある道が薄っすら延びており、そこが気になるので、少しだけ辿ってみる。

暫く道は延びている。ひょっとしてこの先は、行きに気になっていた謎の竹林エリアにぶつかるのでは?想像を膨らませる。これは次回確認してみよう。また宿題が増えてしまった。

少し登り急斜面から逸れた事で、薄っすらとした本来のC地点への尾根が確認出来た。では詰めるとしようか。

スギヒノキ帯は等間隔で木も生えており、土台もしっかりしているので、総じて歩きやすい。急斜面である事を除いては。。

ジリジリとこの斜面を登るように、皆さん着実にシノラーへの階段も登れている。

無事C地点のピークへ到着。中々の斜面急登であった。そして間髪入れず、先ほどのタープ張りの復習!今度は皆さんの知識と経験だけでピシッと張って下さ~い。

ウロウロと場所の選定から入り、

ここと決めたら先ほどの教えを駆使し、皆さんで協力し張っていく。

ちゃんと教えを活かせているかな?

完成!こじんまりしているが、シワも少なく綺麗に張れているのではないでしょうか。合格。

これ、次回の実践編ではまた抜き打ちで行うよ、と宣言だけしておく笑

そうしてまた1つタープ屋根の下で、その次回実践編へ向けた擦り合わせ作戦会議。

実践編とはそれすなわち、メインルート選定から、保険のルート選出まで、参加者の皆さんで作り上げてもらい、当日実際に凌いでみようというものとなる。

我々からは何となくここ面白うそうだねや、ここ気にならない?という場所を補足しつつ、ルートを作り上げていってもらう。

このルート選定まで出来て、初めてシノラーの称号が得られるといっても過言ではない。そして、このルート選定が実はシノギングの醍醐味にして面白いポイントでもある。

色々と想像や想いを馳せながら選ぶ楽しみがある。今回選んでもらったルート。私的にも面白くなりそうな予感しかない。実際良し悪しは行ってみないと分からないのだが、その過程を楽しんでいるのも事実。例え微妙なルートだったとしても、これまでの過程を含めれば十分満足できるはず。それもシノギングである。

覚悟はしていたが、今回の基礎編も、すっかり濃密な内容となってしまった。無事次回への布石も打つ事が出来たので、ササっとタープを撤収し、後は何てことのない下りをこなし、麓へ。

ここもメインから外れたバリエーションルートなのだが笑 もう皆さんしっかり凌耐性が身についたようで、サクサクと下りていく。頼もしい限り!

国道に出て、無事駅方面へ到着。いや~凌いだ凌いだの安堵感。

取り分け今回は脳を使う凌ぎが多かったであろう。。この基礎編を基に、次回実践編をしっかりこなし、身に着けてもらいたい。何よりしっかり楽しんでもらいたい。

当日まで3週間はあるので、しっかり予習復習できるからね~とプレッシャーを与えつつ基礎編はこれにて終了。

 

「笑ってはいけない奴」写真、今回はおあずけ。次回凛々しいシノラーへと成長した皆さんの、その笑ってはいけないに期待したい。

 

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