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シノギングタープ「ヤナギニカゼ」開発経緯とその全貌 その二

今回は連載その一の続編として、引き続きシノギングに必要なタープの条件をお話ししよう。

シノギングに必要なタープの素材

10dn~15dnの極細繊維を使用しながらも引き裂けに強いリップストップ設計の軽量なナイロン素材が最適と考える。ナイロンは柔軟性があるので、タープに力がかかる部分の緊張を緩めて、揺れる柳の枝のように風を受け流すことができる。柔軟性のない素材の場合、素材自体の強度はあったとしても、それ以外の弱い箇所に緊張が集中してしまいトラブルが起きやすいと考える。

タープには、表面にシリコンコーティング、裏面にポリウレタンコーティングを施して、撥水性と耐水圧を確保した素材を使用するのが一般的だが、表面は撥水加工のみ、裏面はシレ加工(熱と圧力で織りの凸凹を均す)で十分と考える。さすがに一晩中雨に降られると撥水性もなくなってしまうが、それでもタープに何かが触れてさえいなければ雨漏りすることはなく、雨は低い方に流れてゆくので、あえてこの程度の加工で凌ぐという考えがあってもいいのではないかと思うし、それによって物理を知るということも大事だと考える。また、必要であれば購入後にDIYでシリコンコーティングなどの加工をするという手もある。

シノギングに必要なタープの使い勝手

タープに収納袋はいらない。なぜなら、タープはバックパックの外側の隙間に滑り込ませるように収納するのが凌の流儀だからだ。こうしておけば雨や雪の時にすぐに引っ張り出して屋根を作れるので苦労をしなくて済む。タープを張るときにはそのタープの中心(木につなぐための細引き)と前後左右が一目でわかるとありがたい。タープを張る細引きは夜間の視認性を考慮して反射タイプがいいだろう。ハンモックビビィTyvekを吊ることを考えるとタープ内にリッジラインを張れるループがあると便利だ。ハンモックに座った時に背面の庇の細引きをいたずらに長くする必要はなく、積雪期にアンカーに巻き付けて雪に埋められる程度の長さがあれば十分だ。前面の庇の細引きも長くし過ぎる必要はなく、ほどほどの長さにしておいて足りなければ繋げばいいのだ。前面の庇はいつも同じ張り方をするわけではなく、頼りにする木の位置や雨風の状況、その時の気分によって張り方が変わるので、それに対応できるようにループが多い方が便利だ。しかし、すべてのループに細引きを付けてしまうと邪魔なだけなのでその必要はなく、その時に使うループにだけ素早く簡単に取り付けられる仕様の細引きが何本かあればそれでいい。つまり、細引きを固定するのは中心と背面だけということになる。これらの使い勝手を盛り込んだのがシノギングタープ「ヤナギニカゼ」である。

次回はその全貌を明らかにしよう。

 

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