四季の山を歩き、思い、創造する。
凌 手記
12月19日「夕暮れシノギングと寒さの凌ぎ方」の様子
寒気が入り、ようやく寒さが増してきた師走の吉日。
ちょっと遅めの集合時間、高尾駅舎前は日が照り、意外にも暖かであった。。森勝氏と、とあるシノラーさんが持参していたご自慢のデジタル温度計で15℃。そりゃ各々寒さに備えた格好では暖かなはずだ。
ハイカーの流れも落ち着いたバスに乗り、とある終点バス停に着くと、逆に帰りのハイカーで賑わっていた。明らかに場違いな我々。
挨拶も早々に済ませ、いつも通りの夕暮れがメインなので、凌度高いルートは控えめ。時間もたっぷりあるので、この際と思い、皆さんで登る尾根ルートを決めてもらおうではないか。
支尾根は沢山あるが、地形図も針葉樹メイン、下から見ても薄暗い尾根が目立つ。
意地でも凌ぎたいシノラーと、まぁゆったり行こうぜのシノラーとで間を取り、分かりやすい指標となるお寺から延びる尾根をチョイス。どうやらその横の沢沿いに滝も流れているとかいないとか。実際行ってみないとわからない所もあるので一先ず出立。
早々に地形図にはない神社が出現。慣れてるシノラーはアンテナが反応、呼応するが如く鳥居へ吸い寄せられていく。
毎度お馴染み、神社や社の横には大体始点となる尾根が存在す。ここにも例にもれず存在していたので、キープしつつ、先ずはお寺のルートを探索する。その前にお参りお参りと。
そして肝心のお寺の尾根は、完全に敷地内で、溢れ出る入りづらさ。。滝も標識はあるが、斜め45度な良くわからない方向を指している。これ来た道の方か?そんな滝なかったが??
という事で、結局先の神社からの尾根を選択、いざ尋常に参らん。
下から見ると薄暗い尾根ではあったが、少し入ると直ぐに自然林が広がる。ほとんど落葉した辺りは見通しが良く、これから沈もうとしている陽ざしが眩しい。色づいたフカフカの落葉の絨毯の上を、カサカサと音を立てながら登る。何と心地が良い尾根だ。
開始のイメージとは違う、麗らかな気持ちで登る中、ただ唯一思う。
「急だー」
そして単調に真っ直ぐ延びる尾根道。いかんいかん登りが作業と化している。
気付いた森勝氏が足を止め、ウンチクをぽつりぽつり。折角落葉し見晴らしが良くなっているので、隣の尾根や、反対に見える山地を見渡してみようではないか。
そして、あそこは薪炭林で気持ちよさそう~、あ大きなモミの木が生えているから道がありそう~等、イメージを沸かせ想いを馳せようではないか。
すると途端にこの単調な急登にも意味がもたらされ、しかもあら不思議。ぜぇぜぇと上がっていた息が整う。
こういう楽しみ方もスキルの一つ、凌の一つ。やはり低山とは奥が深い。しみじみ。。
そんな対話を随所で展開しながら、急登を攻める。しかし、夕暮れ感も相まって良い尾根道だ。
とか思っていたら、示し合わせていたかのように薄暗い針葉樹帯が始まる。わかってはいたんだけどなぁ。
日陰になる事で、グッと体感温度も下がる。標高も少しづつ上り気温も5℃前後で推移していた。
お貸し出し希望され、マタギを試されているシノラーさんが非常に好感触を得られていた。個人的な感想としても、1ケタ台以下の気温化ではこのマタギは非常に調子が良い。厚手だが異次元の通気性を誇るウール生地が、天然の吸汗調湿、次いで発熱とその通気性を駆使し、快適な状態を維持してくれる。これからの低山シノギングのマストアイテムだ。
こうやって実際に試していただき、その方に合った良い感触を得ていただけるのは非常に喜ばしい限り。これからシノギングイベント参加される方も、遠慮せず試したい凌製品をどしどしご依頼いただきたい。
そうこうしていると主稜線の登山道に合流。まさにチルな夕暮れ。日の入りスポットはもう間近。
最早隠しようのない車道に突入。山頂茶屋の方々の車が見える。ではヒッチハイクして下山しようか?とは冗談で、展望が良かったもんで、辺りの山脈を地図読みする一行。
山頂到着。当然茶屋は店仕舞しているが、意外にもハイカーが数名いらした。同じく日の入り目当てかな?少し下がった原っぱが夕暮れスポットなので、そこで寒さを凌いでいただこうか。
今回はハンモックは無しで、寒空の原っぱの元で、寒さの凌ぎ方を伝授。既にこなれたシノラーさんが主ではあったが、凌で唯一の防寒製品、ヨヒヤミとアグラスカートをお貸し出し。(既にお持ちの方も多く嬉しい限り!)森勝氏のライト談義をBGMにアグラスカートの正当な使い方、胡坐をかく。
これ実はかなり合理的な保温方法で、寒い時はこう身体も縮こまると思うが、体温を発している脚同士を胡坐で一つにまとめる事で、それぞれで温まる事が出来る。そしてスッポリとその足を中綿スカート内に閉じ込める事で、更に保温断熱してくれる寸法だ。末端を温めると、身体全体でも温かいと感じやすい。しかもコールドスポットが少なく、スカート内全体が温まり、大げさに言えばこたつの様に温まる。
ハンモック休憩では中々使われない胡坐スタイルだが、是非一度お試しいただきたい。
今期新しくなったヨヒヤミは、中綿が実質100%ウールとなり、よりその恩恵が色濃くなった。しかも裏地(肌面)を通気性のある生地にする事で、よりその効果を高めている。ウールの特性として天然の吸湿発熱が挙げられるが、裏地が通気する事で、人体が常に発している汗・湿気を積極的に中綿ウールに移し、湿気らせ続ける事で中綿の”層”として発熱保温してくれる感覚だ。表地は少しだけ通気はするので、ちょっとずつ飽和し過ぎないように湿気を放出してくれる。何より通気する裏地は非常に肌面への着心地が良い。そして以前ブログでも触れたが、裏地で結露しないので非常に快適だ。
そりゃダウンには温かさや保温性では負けるが、実に凌らしい防寒着となっている。
他にも色々と寒さの凌ぎ方アイテムあったがここでは割愛
そんな御託を並べさせていただき、気付けばニアダイヤモンド富士で日の入り直前。
すぽっ!!
すっかり富士の向こうへ日が沈むと、本格的な寒さを凌ぐへ。。と思いきや思った程気温は下がらず。そこまで寒い思いは出来なかった。それでも0℃前後であったので上手く凌げていた証拠か。。
究極のエマージェンシー寒さ対策、ツエルトも登場!(天窓付き笑)
のんびり寒さを凌ぎ、辺りも暗闇に包まれ始めた所で、身支度を整え行動開始。日の入りとは反対側、城下町の夜景が綺麗だことー。
ここからはナイトシノギング。中々この暗闇のなか山道を歩く機会も少ないと思うので、それだけで良い経験値になるはず。ライトの使い方1つ取っても歩きやすさが変わってくる。。そんな夜のシノギング談義も繰り広げながらひた進む。
一歩一歩、気を付けながら下る。もはや写真も真っ暗で何が何だかなので割愛す。
下りの中間に差し掛かり、バスの時間を気にしてみると、1時間に1本の次のバスはメロスばりに走らなければ間に合わない事が判明。静かに皆に告げ、当然焦らずゆっくりにシフトし進む。時折エゲつない光量のライトが後ろで光る(森勝氏ご自慢のライトビーム笑)
無事林道に出ると、余裕の40分前のバス停到着。
余りに時間たっぷりなので、余った鍋焼きうどん調理し始めるシノラーさん。匂いにやられたー。
そんなこんなで少し早めにバスが到着。いつもはこんな時間にこれだけの登山者がいないからと、驚いていた運転手さん。
そうして無事帰路に就いたとさ。。
忘却の前に、今回の笑ってはいけない奴 featuring ライトビーーム
これにて今年のシノギングイベントは全行程を無事終えました。ご参加された皆様、イベントに関わっていただいた皆々様、本当にありがとうございます。
今年は色々と翻弄された部分がありますが、来年はきっと良い年になるでしょう。明けない夜は無いですから。
それではまた、皆様と凌ぐのを心待ちにしております。
少々早いですが、良いお年をお迎え下さい。