前にも何度か書きましたが、最近良い製品が少なくなってきています。
言い方を変えると、良い製品は非常にコストがかかる時代。
デフレ時代だから良い製品が高くて売れない。だから生産中止…
なんてことが、結構頻繁に起きています。
また、コスト高を嫌って生産国を中国等に移行し
品質を落としているケースも多々あります。
コアでも、数年前に比べて特異な現象が起きています。
中古品が目立って売れていて、レギュラー品が売れない。
それから、現品処分品の商談が凄く多いんです。
むしろ「展示品の方がいい!」とか言われます。
例えば先日もディナウディオ社の「Consequence」というスピーカーが
発売20年以上経って、モデルチェンジしました。
「ConsequenceⅡ」で見た目や大きさ等はほとんど同じ。
これは完成度が高いからなのでマイナーチェンジになるのは当然のことですが、
価格は360万円から660万円に。
経済成長率から考えても妥当な金額ですが、
360万円から価格を上げなかったのが幸か不幸か、
マイナーで660万円だと、やっぱり良い物は高いんだ!と納得せざるをえません。
納得しても買えないものは買えませんが…
また、CHORD社のDAC64MK2というDAC。
当時発売価格36万円から新化を遂げて53万円まで成長してきましたが、
音も良くなってきていて今から売れると思った矢先に、モデルチャンジ。
QBD76へ。
BluetoothやUSB入力等の機能が付加され、単純にCDPのDACとして試聴しましたが、
大幅な新化をしたとは思えず…
68万円という価格になったことを考えると、
CDPだけのDACとしてDAC64MK2は発売し続けて欲しかったと思います。
またまた、ヘーゲルのH2AMK2のパワーアンプ。
あのDF1000以上を誇る駆動力と程よいテンションが絶妙なバランスだったのですが、
H20という上位機種を出して欲しいということを私自身が言った理由もあって、
H2AMK2は生産中止になっちゃいました。
H20が正常新化しているのならいいのですが、絶妙なバランスが崩れていて、
50万円から70万円への価格差は納得できないものになっちゃいました。
一応、改善するようベント社長に言ったのですが、H20の量産モデルがどこまでよくなってるのかはいまだ不明…。
それから、ディナウディオ社の30周年記念限定モデル「Sapphire」ですが、
ようやく1000set完売で、姿を消します。
嬉しいのか悲しいのか…
25周年記念モデルもそうでしたが、さすがディナ、記念モデルには社運をかけてるだけあって素晴らしいの一言!
そんな素晴らしい製品は限定という形で姿を消していくんです。
それと最近騒がなくなったフランス「YBA社」。
騒がなくなった理由は、YBAの良さが聴こえない普通のサウンドになっちゃったこと。
モデルチャンジしてないのに途中から音に魅力が無くなり、
内部の比較をしてみたんですがパーツの変更等をしていて、
あの魅惑のYBAサウンドが出ないんです。
よき時代のYBAは、今聴いても素晴らしい色気と音楽性を持っています。
なので、よき時代のYBA中古はあっという間に商談中に…
更に、あの驚愕のアンプメーカーFMアコースティック社!
何が驚愕というかというと、為替レートなんぞ関係ない!ってほどの値上げ!
FM155についてもそうですが、発売から15年近く、
発売時68万円だったが、今は139万円!
FM411はMK2になったけどマイナーでほとんど変わらず、価格は約2倍の600万円!
しかも内部では少しずつ値上げしてるので値引幅も無くなってきてます。
これも、良い製品を作り続けるにはコストがかかるということが一目瞭然で、
FMは、同じクォリティーのもの価格を上げてまで、発売してくれてるから尊敬に値します。
でもこんなデフレ時代に売れるのは…「中古」。
FMの中古はあっという間に商談が数件入っちゃいます。
そんなこんなで、良い製品はどんどん高くなってるならまだしも、売れないからコストダウンし、終いには売れないから生産中止。
シアターなどのビジュアルと違ってオーディオはローテクの塊なので、熟成された技術を継承できるかどうかが肝心。
世の中の新化とはある種正反対の技術なので企業も大変ですが、
なんとか、ローテクの熟成された技術にもう一度目を向けて欲しいものです。