受験生Oくんの色彩をアップします。
さて本日は画材や道具に関してのお話です。
教室で販売・使用しているものを、実際に僕が使って感じたことなども含めて書きます。今回は画用紙、絵の具、絵筆、パレット、鉛筆、練り消しの6種類を紹介します。かなり長文になりますが、最後まで読んで頂ければ幸いです。
(1)画用紙
当校では主に京都の「画箋堂」、大阪の「笹部画材」で購入した画用紙を使用しています。画用紙は月に1000枚以上消費されます。年間では1万枚を軽く超えます。画用紙の定価は1枚40円〜120円ほど。なお授業で使用する分は基本無料で、生徒から料金は頂いておりません。
①四切画用紙・・・デッサンで使用する画用紙としては、広く流通しているもので当校の年間使用量も断トツです。裏表で表情が異なります。
②サンフラワーM画・・・裏表でエンボス加工による凹凸差があり、関東や地方の美大に対応できる画用紙です。
③TMKポスター・・・嵯峨美や成安造形の特待生実技試験で使用されている画用紙で、受験対策用として使用しています。
④ケント紙・・・デッサンだけでなく、立体にもよく使用します。当校ではピーチケント紙とバロンケント紙の2種類を使用しています。
⑤白象紙・・・白色度が高い画用紙でエンボスもほとんどないので、繊細な描き込みができる画用紙です。主に着彩や石膏像デッサンに使用します。
⑥100均の画用紙・・・授業では使用しませんが、自宅練習用として意外とお勧めなのが100均の画用紙です。質が悪くボロボロになりやすいので、自分の欠点が如実に出るのが特徴だと言えます。
(2)絵の具
当校では画材店の仕入れ値に送料分だけを上乗せして、利益無しで販売しています。絵の具の販売数は月間約300本ですが、受験前になるとその3倍は売れます。教室では販売用として常に5000本以上の絵の具をストックしています。
①ターナーアクリルガッシュ・・・当校で一番販売数の多い絵の具です。ムラなく均一に仕上がる点、乾きが速い点、安価な点などトータルで最も人気があります。
②ゴールデン・・・昨年にゴールデン絵の具は廃版となったため、現在の在庫で終了となります。
③U-35・・・ターナーから最近販売された絵の具で、発色や透明性、描き心地などターナーの中でも最高ランクの品質です。
④リキテックス・・・多くのプロ作家から支持されており、僕自身も愛用していますが、高価なため当校では需要が少ない絵の具です。
⑤ニーカーデザイナーズカラー・・・発色面で優れた絵の具で他のメーカーと一線を画しています。配色のアクセントとして必ず持っておきたい絵の具です。
⑥ホルベインアクリラガッシュ・・・ターナーと同じくガッシュ(不透明)のみの絵の具で当校の販売数もターナーについで2番目に多い絵の具です。
(3)絵筆
絵筆は受験生でも20本程度しか持っていない人もいると思いますが、実技試験までに50本以上は揃えてください。またフラット(平筆)、フィルバード(丸平筆)、ブライト(短平筆)、ラウンド(丸筆)、ファン(扇型筆)、刷毛など全ての種類を購入するようにしましょう。
①ホルベイン・・・プロの愛用者も多く品質の良さで言えば間違いないです。「迷ったらこれ」と言えるほど、絵筆の中では有名なメーカーです。
②キャムロンプロ・・・この筆は僕自身が学生時代によく使用していたメーカーでコシが強く弾力がある筆です。品質と価格などトータル的には一番お勧めです。
③オリジナル筆・・・各画材店のオリジナルブランドですが、原毛の種類も様々です。安価な「ナイロン毛」の他、高級筆ですが「コリンスキー」もお勧めです。
④トールペイント筆・・・弾力があり、水を良く含むことが特徴のナイロン毛の筆です。安価でアクリル画にも使用出来ますが、元々陶器、木材などに描くために作られているため、軸が短めのものが多いです。
(4)パレット
①紙パレット・・・F6サイズで1枚あたり30円と非常に高価なパレットですが、使いやすさは抜群のため一番お勧めです。受験生は特に紙パレット+絵具皿で本試験に臨むので、今のうちに慣れておくようにしてください。
②プラスチックパレット・・・プラスチックパレットの上にラップや、アルミホイルを敷いて使用している生徒も多いと思いますが、これは洗う手間を省くのが目的です。ただ色が見えずらかったり使い勝手が悪いため、受験生になる頃にはペーパーパレットに変更しましょう。
③アルミパレット・・・透明水彩絵具を固めて使います。日本画志望や明石高校受験の生徒が主に使用する着彩用のパレットです。
④発泡スチロールトレイ・・・これは本試験では使えませんが、練習ではとても使いやすくお勧めです。スーパー等で安価で手に入りますし、大作を描くときにも重宝します。僕が公募展の100号作品を描いた時もこれを使用していました。
(5)鉛筆
僕の受験時代は他にもスタビロ、ファーバーカステル、ダーウェント、トンボなども人気でしたが、今は下記3大メーカーが主流になっています。当校での月間販売数は絵具と同じ300本ほどです。また絵の具と同じように仕入れ値で販売しています。
①ユニ・・・デッサン用鉛筆では当校で最も販売数の多い定番メーカーで、安価で良質なのは勿論魅力ですが、受験生になる頃にはハイユニも持っておきましょう。
②ハイユニ・・・ユニよりもさらに上位の鉛筆です。描き味が滑らかで芯の摩耗も非常に少ないのが特徴です。但し高価な鉛筆のため初心者にはお勧めしません。ある程度枚数を描いてから使いましょう。
③ステッドラー・・・関東美大の主流といえば、このメーカーです。関東と関西では画用紙に違いがあり、芯が硬めに作られているステッドラーが関東向けの定番となっていますが、京芸志望者にも一度は試して欲しい鉛筆です。
(6)練り消し
どこのメーカーでも同じじゃないの?と勘違いしている人も多い練り消しですが、デッサンは黒く描く時間が7割、白く描く時間(消す)3割と言われるほど重要な画材です。(関東ではこれに擦る技術も必要になります。)
①ヌーベル・・・現在流通している中で最も安価で、初心者向けの練り消しです。硬めで少しパサパサした印象です。
②文房堂・・・大きめなタイプの練り消しのため、消費が早い方に合った製品です。コシのある硬めの練り消しでさらっとした使い心地です。ハイライトにも適しています。
③イージークリーナー・・・柔らかく粘り気のある練り消しで、しっかりと消せるのが特徴です。僕個人としては最も使いやすく重宝している練り消しです。ただ手汗が多い人から「ベタつきやすい。」という意見も。
④ホルベイン・・・さらさらした粘り気の少ない柔らかめの練り消しです。白抜きやハイライトなどの表現に特化しています。
⑤サクラクレパス・・・ベタつかずパサつきがなく程よい粘度があり、トーンの調整に特化した練り消しです。
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