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DAZN観戦 2023年J1リーグ第12節 ヴィッセル神戸vs横浜FC

2023-05-12 18:13:07 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

現在のJ1首位クラブである神戸。
前年残留争い・親会社(楽天グループ)の経営不振・戦力補強の奮わなさと、マイナス要素が3拍子揃ったかのようなシーズンオフ。
それが一転して今や首位という成績に、苦戦を予想していた自分としても驚きを禁じ得ない状況です。

思い出されるのが、楽天グループに買収される前の神戸。
母体となる親会社が無く、「最も貧乏なJ1クラブ」と揶揄されながら、毎年のように残留争いを勝ち抜き踏み止まって来たという歴史を持っており。ただオフの補強策はカズはじめネームバリューに頼ったものでしたが
その後の楽天時代は、経営的な不安こそ無くなったものの、動けば動くほどドツボに嵌り降格も経験する(2度)良く解らないクラブと化してしまい。
それを払拭すべく舵を切ったと思われる、アンドレス・イニエスタをはじめとするビッグスターの獲得。
しかしいくら楽天といえど資金源は無限では無く、前述の経営不振+高騰する選手年俸のダブルパンチに襲われた影響で、息切れが目に見えて表れ始めた現在。
その苦境が王政復古と言わんばかりに、「限られた戦力を有効に使い凌ぐ」気概を皮肉にも齎した、という流れでしょうか。

その「限られた戦力」の通り、今季これまでリーグ戦全試合スタメンの選手が6人。
大迫・武藤・山口のような海外リーグ経験者のみならず、成長したGK前川や、要所を締める山川・初瀬といった選手もその枠組みに入っている辺り「神戸は変わったな……」と思わされます。
この日の相手は、前節にようやく初勝利を挙げた(新潟戦、1-0)という横浜FCで、首位vs最下位の戦いとなり。

3-4-2-1へとフォーメーションを移し、守備を固める意識を最優先という、順位の通りの判り易い弱者の戦いへとシフトした感のある横浜FC。
仮に主体的な攻撃をしようとしても、恐らくは神戸の前線の果敢なプレッシングの前に果たせず仕舞いとなっていた可能性が高く。
前半2分にロングボールのクリアミスを山下が拾って敵陣で攻撃開始、左からのカットインで左ポケットを突く(クロスもブロックされる)という具合に、耐え凌ぎつつ隙を見て決定機を迎える体勢だったでしょうか。

10分に再び神戸のパスミスからの好機、左サイドで拾った小川航から、小川慶→中村と経由して逆サイドへ。
そこからの前進でコーナーキックを獲得と、セットプレー一発で仕留めるチャンスを得ましたが、ここから齎されたのは神戸のカウンター。
GK前川がパンチングで跳ね返したボールを拾った汰木、左サイドをやや遅めのドリブルで前進していくと追い越した武藤へスルーパスを通し、さらに武藤が逆サイドへ展開。
ドリブル頼みの高速カウンターとは一味違った、長いパスで隙を突くという前進を経て、佐々木から放たれたミドルシュートはゴールバーを直撃と惜しいシーンとなりました。

相手がハイプレスに来ない体勢のため、必然的にボールポゼッションを高める時間が増える神戸。
以前までのスタイルをある程度採らざるを得ない状況に戸惑いながらも、敵陣でサイドチェンジを多用する攻めで横浜FCディフェンスを揺さぶります。

そうして下地を作ったのちにショートパス、とりわけワンツーによる前進で守備網を切り裂きに掛かり。
対する横浜FCはそれに対してついていけずに反則を多発させ、そこから神戸のFKによる放り込み、という攻撃が繰り返され。
一方の横浜FCも、一向に攻撃の流れが生まれないのを受けてロングボールへと傾倒し、そこからデュエル勝負の体勢へとシフト。
それにより神戸サイドも反則が膨らみ、そこからのFKで放り込み……と、放り込み合戦と表現したくなる展開で時間は進んでいきます。

理想的とは言い難いながらも、曲がりなりにも相手に流れを渡さず凌いできた横浜FC。
しかし30分過ぎから退潮が露わになり、次第に神戸に縦に速い攻撃を通されるシーンが目立ち始めます。
34分には初瀬・汰木の2人で左サイドを攻略する神戸、奥から汰木のクロスが上がると、ファーサイド・ゴールラインぎりぎりで大迫が折り返し。
ゴール付近で右往左往するボールでしたが、GKブローダーセンが抑えて何とか防ぎます。

それでも守備に振られた影響か、37分に小川慶が足を痛めてしまい、筋肉系トラブルらしく続行不可能に。
早くもベテランを失う事となり(坂本を投入)、これにより精神的にも不利となってしまった横浜FC。
以降も神戸のシュートは1本のみながらも、クロス中心にGKブローダーセンにまでボールを届かせるシーンを量産します。

そしてその姿勢が報われる事となったのが44分。
右サイドから酒井のドリブルで攻撃スタートし、ディフェンスに遭いながらも繋いで前進、中央での大迫のポストプレイを経由して逆サイドへ。
そしてまたも左からのクロスに辿り着き、今度は初瀬が低く速いボールを送ると、横っ飛びで防ぎにいったGKブローダーセンはキャッチできず弾いてしまいます。
すかさず拾った大迫に対し、抑えにいったブローダーセンの腕が足に引っ掛かり、大迫が倒れた事で反則を告げる笛が鳴り。
すなわちPKであり、ゲットした大迫自らキッカーを務める神戸に対し、自ら与えてしまったピンチを防がんとするブローダーセン。
左右に激しく動いて動揺を誘う、通称「踊るGK」のスタイルを見せますが、動じる事無くゴール左隅へと蹴り込んだ大迫。
ゴールゲットとなり、良い時間帯で先制点を挙げた神戸。

そのまま1-0で前半は終了。
展開的にも、スコアレスで終えたかった横浜FCにとっては痛恨の失点となり、GKブローダーセンに負荷を与え過ぎてしまった事が悔やまれるPKだったでしょうか。

そして始まった後半、その意気の違いがハッキリと表れ。
ビハインドなうえに攻撃の流れが作れない横浜FCに対し、無理矢理前掛かりになる相手の隙を突く、リードする立場らしく冷静にかつ先制した勢いを持って攻め込む神戸。
サイド奥まで攻め上がって得たCK、相手を翻弄する事で受ける反則によるFKと、セットプレーの数も膨らませて押し込みます。

そして7分、スローインから敵陣でパスを回す横浜FCでしたが、ズレたパスを山口がダイレクトで縦パスを繋げて攻守交替。
大迫を経由して再び左へ渡り、汰木が細かいタッチのドリブルで中央を伺った末にミドルシュート。
これをGKブローダーセンがセーブするも、エリア内で大迫が跳ね返りを拾って勝負あり、ゴール左へ蹴り込まれるボール。
立て続けに撃たれてはブローダーセンもどうしようもない、といった追加点となりました。

複数点差を付けられ、勝利は絶望的ともなってきた横浜FC。
意気消沈は不可避といったように、続く9分にはミスが失点に直結してしまいます。
例によって右サイドから大迫経由で左へ……という攻めで、今度はスルーパスを供給した大迫。
走り込む汰木の前で中村がカットに入るも、繋ごうとした中村はあろう事かキックミス、エリア内へこぼれた所を汰木が拾って一転して大ピンチに。
その隙を逃すはずの無い神戸、中央への横パスを佐々木が合わせてゴールネットを揺らします。

これが首位と最下位の差、という事が存分に示される後半戦。
横浜FCは直後のキックオフですぐさま奪われてしまい、武藤がエリア内からシュートと危機を招き。
ブロックしてCKに逃れるも、戦意喪失を疑われかねない絵図を描き続けてはたまらず。
12分に3枚替えを敢行、ユーリ・中村・山下に代えて井上と近藤、サウロ・ミネイロを投入したベンチ。

何とか主体的な攻撃の流れを作りたい横浜FC。
14分、神戸のプレッシングを受けながらのビルドアップを成功させ、坂本が左からのカットインを経てミドルシュート(GK前川キャッチ)とフィニッシュに持っていき。
続く15分にも吉野がミドルシュートを放つ(GK前川セーブ)など、左右のセンターバックもアタッキングサードで攻撃に絡み、押し込む流れが見え始めます。

しかしここは神戸のホーム(ノエビアスタジアム神戸)であり、今度はそれを利用した采配でそのムードを雲散霧消させんとします。
19分佐々木に代えてイニエスタを投入した神戸、既に3点差という状況もあり、以降スタンドは「イニエスタを中心とした華麗なる美技に盛り上がる」モードに突入。

イニエスタ本人もそれを解っていたのか、パス以外のプレーで好機を生み出す場面が目立ったこの日。
26分はプレッシングの末に敵陣中央・エリアからすぐ手前でボール奪取したイニエスタ、こぼれ球を拾った大迫がエリア内へ浮き球を送り、武藤のポストプレイを経て大迫がシュート。(枠外)
35分には左サイドで大崎の落としを拾ったイニエスタ、そのままカットインで中央を伺った末にミドルシュート(GKブローダーセンセーブ)と、今季の神戸の「前線の圧を重視するサッカー」にも順応を見せます。

32分に大迫・汰木→飯野・泉へ交代すると、その後は泉の縦突破のシーンにも盛り上がりを見せるスタンドの観衆。
既にこの試合の勝利は揺るがない状況で、エンターテイメント性をアピールする時間帯に入ったでしょうか。

当然横浜FCサイドは面白くないながらも、それをひっくり返す手段はサッカーしか無く。
30分に和田→三田へ交代、これで井上・三田と元神戸の選手が並び、古巣対決でムードを上げようとしても(小川慶のアクシデントもあり)既に3点差では厳しいものがあり。
そのピッチ上では、ある程度ボールポゼッションから敵陣に進入できるようにはなったものの、アタッキングサードで神戸の守備陣を崩すアイデアも雰囲気も足りず。
前述のフィニッシュシーンもミドルシュートであり、34分にも素早いパスで前へ運ぶも、結局は井上のミドルシュート止まり。(GK前川セーブ)
その遠目からのシュートでGKを脅かしているのは僥倖といえますが……。
この後持ち込んだCKで、キッカー井上の中央へのクロスがこぼれ、ファーサイドの近藤にフリーで渡る好機が偶然ながら生まれ。
しかし近藤のシュートは枠を捉えられずと、訪れた決定機でも運気が無かったこの日の横浜FC。

時間も押し迫り、何とか1点でも返したいという状況になる横浜FC。
試合終盤で連戦故の疲労度も窺える中、やや緩まる神戸のプレッシャーを掻い潜って好機を作らんとするも、光は差してきません。
43分に小川航のシュートがGK前川にセーブされるもこれもミドルシュートであり、跳ね返りを近藤が詰めにいくも撃てず。
神戸がその直後に酒井が足を痛めた事で最後の交代を敢行し、マテウス・トゥーレルを投入。(本多が左サイドバック・初瀬が右SBにシフト)
併せて武藤→リンコンへと代えて最終布陣とします。

突入したアディショナルタイム、右コーナーでのボールキープにより時計を進めるシーンへと持ち込む神戸。
最後まで反撃機運を高められない横浜FC、何とか攻撃を切ったのち、GKブローダーセンの素早いリスタートから速攻気味に前進。
しかし坂本のスルーパスは繋がらずに終わり。
そのまま何も起こらず、試合終了の時を迎える事となりました。

かくして首位と最下位の対決は、その順位の通りの内容・結果が齎され。
厳しい試合を強いられた横浜FC、現在の神戸のような「少ない資源を有効に活用する」気概が生まれる日は何時か訪れるでしょうか。

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