三日月ノート

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歌劇『アッシジの聖フランチェスコ』

2017年11月27日 10時06分59秒 | 音楽

昨日はサントリーホールで開催されたオペラ(演奏会形式)、アッシジの聖フランチェスコを観に行ってきました。

自転車つながりの友人が打楽器で出演すると聞き、行きたいと思っていたところ、運良く関係者向けチケットの残りが出たため行くことができました。


全3幕、8景から成り、演奏時間は4時間以上にも及ぶ大作で、日本公演は30年ほど前に一度小澤征爾さん指揮で新日本フィルによって3、7、8幕を行われた以来で、全曲は日本初。恐らく今後もしばらくは公演されないだろうとの事でした。

内容は完全にキリスト教の信仰をベースとしているため、宗教的な背景知識がないと難解な印象を持つと思いますが、オーケストラと合唱のコンビネーションがそれを上回るほど素晴らしいものでした。
特に第2幕第6景「鳥たちへの説教」の、管楽器や打楽器によって奏でられる鳥たちの大合唱は秀逸でした。

ソリストたちの歌はメロディアスなものというよりは朗唱に近いので、歌として楽しむというよりは、その内容を反芻し想像するような感じでしょうか。
演奏会形式なので、オペラ特有の大きく華やかな舞台装置はないので、歌と演奏から想像を膨らませて楽しむことができればより楽しめるかと思います。

内容ですが、第1幕は、「主の十字架を背負うこととは?」「完全なる歓びに至るには?」というところから始まり(第1景:十字架)、神への賛美(第2景:賛歌)、重い皮膚病の患者を通じて自分の小ささを痛感し、自分を使って神が技をなさるのだ、という事をフランチェスコが体験する場面が描かれます(第3景:重い皮膚病患者への接吻)。

第2幕は生と死について(第4景:旅する天使、第5景:音楽を奏でる天使)と、聖フランシスコといえばコレというほど有名な場面、鳥たちへの説教(第6景:鳥たちへの説教)がきらびやかに、まさに「音が降ってくる」ように奏でられます。

第3幕はフランチェスコが聖人の証となる聖痕を受ける場面(第7景:聖痕)、そして第8景でフランチェスコの死と復活(第8景:死と新生)が描かれ、最後はオーケストラと合唱が最高潮になり終わります。

まさに、永遠の命を預言する天使の声、鳥たちによる神への賛美、キリストを証する教会の奏でる鐘が一体化するような演奏でした。

非常に長い公演ではありましたが、その長さなりの重みと感動を味わえたと思います。

最後に「重い皮膚病の患者」を演じたかた(ペーター・ブロンダー)ですが、非常に存在感があり、私は今回の出演者の中でも一番好きなソリストでした。

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指揮:シルヴァン・カンブルラン
読売交響楽団
新国立劇場合唱団


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