三日月ノート

日々の出来事を気ままに。

インボイス制度と簡易課税制度

2019年07月29日 17時50分05秒 | 仕事
今年10月からの消費税アップと平成35年(西暦換算面倒なのでお役所のパンフ記載のママ)からの適格請求書等保存方式(インボイス)制度。

願わくばインボイス制度が導入されるまでの数年間で政権交代して、この制度を導入しない(できれば消費税廃止もしくは減税)ことを願いたいところですが、万が一の時に備えて考えてみました。

まず、平成35年から課税業者になる(適格請求書発行事業者になる)か、非課税業者のままにするかですが、コンサルティングなど厳密に単価が決められていない業務なら、消費税ぶんを上乗せしてしまい、消費税抜きとして売り上げてしまう方法もありますよね。
ただ、翻訳者だとエージェントが絡むので、これは実際には難しいかもしれません。
そうすると事実上、減収。

となるとやはり課税業者になるという選択肢になりますが、あまり話題に上がっていないのは「簡易課税制度」。
これは、通常であれば売上にかかる消費税から仕入にかかる消費税を引いた額を納税するところ、業務分類によって一律に仕入にかかる消費税を計算(みなし仕入率)するものです。
(注:適用には届出が必要です。)

例えば、税抜き売上高400万円、税抜き仕入高(翻訳者だと経費くらいでしょうか)150万円とした場合ですが……

■ 通常

① 受け取った消費税:40万円
② 仕入控除(仕入の際に支払った消費税):15万円
③ 納付消費税額(①-②):25万円

■ 簡易課税

① 受け取った消費税:40万円
② 仕入控除(受け取った消費税額の50%):20万円
③ 納付消費税額(①-②):20万円

注:上記みなし仕入率の50%は卸売業、小売業、製造業、サービス業などでそれぞれ異なります。
また、色々なケースがあるかと思いますので自己責任にてよろしくお願いいたします。

このように、課税業者であれば、売上高に対して仕入が少ない場合(翻訳者の場合ですと、ざっくりと仕入れ額が売上の半分以下)だと簡易課税がお得となります。
注意点としては、簡易課税は一度届け出ると2年間は変更できないので、多額の仕入や設備投資?がある予定は要注意です。

ただ、残念なことに、この簡易課税制度がインボイス制度と併用されるのかですが、実はまだはっきりと決まっていないそうです。
お役所としてはなんとかして税金を吸い上げたいのですから、段階的に廃止としていく可能性もありますよね。

ちなみに非課税者のままで、売上を税抜きにしてしまうと、仕入控除ができないので課税事業者よりも実際に手元に残るお金は少なくなる計算です。

いずれにしても今後は、国税庁のサイトを時々覗いておくほうがいいかもしれませんね。

このインボイス制度、中小零細企業と個人事業主にとっては結構な打撃とはいえ、課税業者や会社員の人たちからすると「これまで「益税」の恩恵にあずかっていた(本来納めなくてはならない消費税を免除されていた)のだから、本来の姿だろ!支払うのは当然!!」と言われるのは目に見えています。

これを回避するたった一つの方法は、次回の選挙のときに与党以外(=自公維以外)に投票しするしかありませんね。
今のままだとお金は吸い上げられるまま、福祉にも介護にも教育にもほとんど使われることはないでしょう。

新聞記者(書籍&映画)

2019年07月25日 15時42分56秒 | 映画
映画『新聞記者』を観てきました。
東京新聞の記者である望月衣塑子氏の同名のノンフィクションが原作となっています。

なかなか映画に行く時間が取れなかったので書籍版を先に読んだのですが、書籍は自伝的な内容のため、あくまで記者側の目線から書かれています。
実際の取材がどうやって行われてきたのか、どんなことがあったのか、そこで何を感じそれをどう乗り越えてきたのかなど、1人の人間として、また記者、ジャーナリストとして著者が成長していく過程を読者が共に辿るように描かれています。

一方、映画の方はどちらかというと官僚側の視点で描かれていました。
人事権を握られている官僚にとって、「上からの命令」は絶対。
そして権力者が何かを思い通りにしたい時、その相手自身を攻撃するのではなく相手の大切にしているものを攻撃することのほうが格段に思いのままにできるということ。

国家・国益という名の下ではあまりにも個人は無力。
そして今の日本は、全体の利益(個人的に全体かどうかは疑問は残りますが)が、あたかも個人の幸福よりも優先すべき事のように思わされている向きがあります。

だからこそマスコミは弱者の側に立つ視点が重要だし、「今あること」を垂れ流している(それどころか今は情報を流しすらしていませんが)だけでは存在意義はないわけです。
飴をもらえば自由が奪われるということを、報道機関は肝に銘じるべきでしょう。

ただ最後、書籍も映画もわずかな希望を匂わせる場面があるのが少しの救いかもしれません。

支払い期間など。長いんだYO!

2019年07月24日 12時11分07秒 | 仕事

リンのお気に入りの場所を占拠するまくる。

6月下旬からこの1ヶ月間は、有り難いことに毎日忙しい日々が続いていました。
訳さにゃ暮らせぬ翻訳者。フリーランスは仕事の波は仕方がないですね。

ところで先日、納品から最長80日近くなる支払サイトの取引先について公正取引委員会に相談してみました。
下請法では、納品日を基準として60日以内に支払わなければならないと決められています(下請代金の支払遅延(第1項第2号))。

取引先によっては10日締め翌末払いとか、末締め翌々15日などがあり、成果物を納品してから入金まで2ヵ月超のところがあります。
新しく登録した会社もそうだったので相談してみたということです。

ちなみにこの「下請法」の親会社に該当するのは資本金1,000万円超。
このところ大騒ぎしているよ○もとは1,000万円。この下請法には該当しないんですね。

相談はWebからできます。
このとき資料も添付できるので、何か証拠書類がある場合はここで送付すると手間が省けます。
私の場合は、数日後に公取(実務は中小企業庁のようで、以後のやりとりはここになりました)から電話が来て、契約書の写しを送付することになりました。

あと、Webから通報する時には先方企業に自分が通報したかどうかを知らせるか知らせないかを選択する箇所があるのですが、知らせる人なんているのかな??と思ったりもしましたよ。

そして数日後、電話が来て詳細な状況説明をし、それから2週間くらいたった頃にまた電話がきました。

結局、今回は明らかに違反してはいるが、契約書を交わしているので、まずはこの契約書の内容の変更を先方に申し入れて話し合いをする必要があるとのことでした。

要するに、契約書を交わす段階で「その支払サイトは嫌です」と意思表示をして契約を取り交わす必要があるということです。
まぁそれは反論のしようがないですけど、じゃぁ何のための「通報」なの?と釈然としない思いはありましたがこれ以上は面倒なので「ま、いいか」となりました。

でも、その「話し合い」の後に、合意に至らないからといって公取が内部調査に入るなんてことになると、誰が通報したか火を見るより明らかですよね(笑)
私が電話でそう言うと、「あぁ……」といまさら気付いたかのような声が聞こえてきましたが、そんなもんかもしれませんね。

フリーランスの翻訳者の場合、価格以外にも不都合な契約内容(振込手数料の負担などがいい例ですけど)がコッソリ契約書に入っている場合があるので、私も今後は気をつけようと思います。

そういえば先日新たに契約した会社は、トライアル合格後「契約書お送りしますのでサインして一部返送してください」って言われたのですが、通常は契約書って取り交わす前に内容を確認して双方合意した後にサインだと思うのですが。

次回はそのあたりから、キッチリ確認しておこうと思います。

あ、あと中小企業庁のかたが教えてくれたのですが参考までに…

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