三日月ノート

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ダンテ『神曲』

2015年01月23日 18時41分24秒 | 書籍


ダンテの『神曲』は、何人もの訳者によって翻訳、出版されていますが、初めてということもあり、わかりやすい日本語で書かれた訳を選んでみました。

700年ほど前に書かれた書物ですが、現在、正本は残っておらず写本のみで、どの写本から翻訳するかというのも訳者の選択によるということです。

カトリックの教えがベースにあるものの、「地獄」という概念が仏教にもあることから、カトリックの教義を知らなくてもサラっと楽しめる?内容ではあると思います。
ただ、実際に聖書やキリスト教の知識があったほうがより理解が深まり面白いというのも事実ですが。

『地獄編』というタイトルどおり、人間が死んだあと、生前に犯した罪によって魂がいろいろな責苦を受ける様子を、ダンテが生身のまま見てゆくのですが、読みながら自分の想像力のなさに歯がゆい思いをすることが少なくありませんでした。
灼熱、水、氷、糞尿、皮をはがれたり吊るされたりと、中世の拷問を想像させるような描写は、ダンテが生きていた世代にはまだ中世的な思想や行いが残っていたように感じさせられます。

ダンテは、責苦を受けている人に話しかけて、それが実在の人物(教皇であったり、政治家であったり)であることを名前を挙げて描写するのですが、現代の日本であれば発禁モノか、どこぞの団体さんから嫌がらせを受けること間違いなしでしょう。

ダンテと地獄を旅しながら、さて自分はどこに行くのだろう?という気にさせられるのですが、まぁ全部とまでは言わなくても、結構な割合で該当するなぁと(笑)

複数の罪の場合、一番重い罪で罰せられるのかな?とか、
全部だったら何年くらいかかるのかな?
八つ裂きにされたりしてるので、次の場所に行ってもすでに自分の身体が滅びてないかも?
あ、でも魂なんだよな?

などと、想像していました。

今回読んだのは現代語の翻訳ですが、文語体のものもあるようで、そちらはおそらく難解でしょうが、詩編のような体裁をしている神曲をより楽しめるような気もします。

そのうち別の翻訳も読んでみたいと思います。

ところでちょうど昨日、戦時中、沖縄にあった「病院ごう」の臭いを、生存しているかたたちの証言をもとに再現したというニュースを見ました。

負傷した兵士の血や汗の強烈な臭いを再現したということですが、この『神曲』に臭いがついたら相当臨場感がありそうですね。
最後まで見る自信は今のところありませんが・・・。