三日月ノート

日々の出来事を気ままに。

薬事:トンデモ照会

2019年06月09日 11時18分59秒 | 薬事

ネコが段ボール箱が好きなのは全国共通ですね。


写真(カメラ)嫌いのリンは、なかなか目線をくれません。

このところ薬事申請の仕事は整形インプラントが多いのですが、開発過程の資料を取り寄せると、検証試験の中でSolidWorksRhinocerousといった3D CADを使用しているケースが増えてきました。

具体的には、インプラントだと、使用されている原材料の組成と、製品の形状などの情報をインプットすることでワーストケース部分の強度を算出したり、複雑な形状の製品の機械的安全性試験(3点曲げ試験等)を実施するときに、その前の段階で荷重ポイントを設定するのに使用したりというものが多いようです。

FDAなどでは実際に3D CADのデータを一部使用した試験成績書も受け入れられているようですが、日本ではまだまだです。

ちょっと抽象的でわかりにくいので例を挙げると、骨に埋植して使うスクリューなどは、申請時にねじれ特性試験(スクリューを試験ジグに固定して一定速度でスクリューを回転させ破断させる)を行うのですが、ある製造元が実機(最終製品)を使用せずに、原材料(チタン合金)、図面から得た形状データなどを3D CADにインプットして計算で出してきたことがありました。

PMDAはそれに対し、実際に試験を行って得たデータと齟齬がないか証明してくださいと指摘してきました。

まぁ想定内というか、基本的には実試験データが必要という姿勢を崩さない審査官たちなので、そう言ってくるのは当然なのですが、それを申請前に製造元に伝えても「米国やカナダ、欧州では普通に使用されているのだから、受け入れられないわけがない」と信じてもらえないため、申請後に来る「トンデモ照会」に腰を抜かすことになります。

今回も当然、製造元からの回答は「計算式で算出しているのだからバリデーションデータと言ってもないよ。おまいらエクセルのバリデーションデータ出すのか?」みたいな事を言われちゃいました。
が、そこで引き下がっては審査は進まないため、どうにか算出したデータが信頼できるものだという事を示すデータはないか?と聞いたところ、エンジニアがノートに手書きで「原材料から導き出した強度」「形状から考えられる強度」などなどを一つ一つ書き出し、手計算した結果を送って来ました……(違った意味で感動しました)

審査官はとりあえずこれで納得したものの(これで納得するんかい!!とは思いましたが)、対照品目のデータに対しては製造工程で強度が変わっている可能性があるとかなんとかで首を縦に振らず、最終的には試験を実施して提出したということがありました。

なんと言いますか、昔に比べるとだいぶマシになってはいますが(生物学的安全性試験などはISO規格であればほぼ問題なしなので)、依然ガラパゴス審査は続いていると言えます。

そして、あまりに細かいデータ(得られるはずもない競合他社の情報まで)を要求するPMDAに対し、プッチン切れたエンジニアがメールに書いてきたお言葉は…

>>>>>>>Maybe they also want the size of the underwear of the CEO of (company A) too?<<<<<<<<<<<

しまいには、

>>>>>>>At this point we have replied to every issue they had but it now looks to me that this is just intellectual masturbation.<<<<<<<<<<<<



いやはや、よくわかります…申し訳ございません、という感じです。トホホ。

ファイリング業務

2018年11月08日 18時41分26秒 | 薬事
今日は一日、ファイリング業務でした。



外国の企業が、外国の企業名義で日本で医療機器の薬事承認を取得するときには、「選任製造販売業者」(日本の企業)を指定して国内企業と同様の管理をしなければならないのですが、今回はその選任製造販売業者の変更手続きのため、関連書類を全部コピーという面倒な作業が発生したのでした。

今回は比較的少ない量でしたが、項目毎に見出しを入れたりしていて、カラーや両面印刷も混在しているので手間だけはかかった・・・。
コピー枚数にしたら700枚程度でしょうか。

テプラも出して、チマチマと見出しを作り、最後にデータをCDに焼いて終了。

久しぶりに一日、音楽をかけながらノンビリ仕事しました。

しっかり請求もしますので、まぁ美味しい仕事ではありました。

そうそう、データをCDに焼くときに、いつもはWordなどの個人情報はファイル数が少ないので手で削除していたのですが、今回はファイルも膨大な量なので、シェアウェアソフトを導入して削除してみました。

ディレクトリ毎に個人情報が入っているOfficeソフトをチェックして一括削除できるので感動!でした。

窓の杜「ゼロから始めるプロパティ」(3,000円)

私がDLしたのはコレです。

薬事のファイルって、機密情報の塊みたいなもんなのに、書式のフォーマットが決まっているので他社のをそのまま流用したりして、流れ流れて自分が昔いた会社の名前が作成者に残ってるってこともあるんですよね。
シャレになりませんね。

歴史を刻む「提出先」欄

2018年10月03日 11時26分17秒 | 薬事
医療機器の承認申請を行うときにはFD申請ソフト(またはWeb経由のDWAP)を使用する必要があるのですが、そのソフトのバージョンアップのお知らせや、ちょっとした変更があったときに連絡が来るよう、メールサービスに登録しています。

今朝ほどメールがあり「厚労省の大臣名が変わったのでFD申請ソフト入力の時には変更してくださいな」とのことでした。



こちらは提出後の申請書の鑑。
(上の印紙は、国に納める手数料。このほかに審査機関(PMDA)に納める手数料が150万円以上かかります。)

左下に「厚生労働大臣」と入っているところに本来であれば「厚生労働大臣 何のタレベエ 殿」と記載するのですが、いっときコロコロと大臣が替わった時期に「大臣名は入れなくてもOK」となり、今は記載しなくても良いことになっています。(この写真もその例ですね)

ただ、昔の申請書を見てみると大臣名が記載されていて、「あ~そういやこの人、大臣やってた時期あったなぁ~」と妙に感慨深げになる事も多く、記載しておくのも悪くないなとは思います。


10円の収入印紙・・・どうやって支払えと?

2018年03月29日 14時25分56秒 | 薬事
医療機器の薬事申請を行うときに、国内で既に承認されている類似機器の情報が必要になってくるのですが、その情報入手方法のひとつに「行政文書の開示」があります。

これをすることで、他の企業で申請を行った時の申請資料を開示して見ることができるのですが、まぁ肝心な原材料情報やら詳細なスペックなどは黒塗り(海苔弁)になって見ることができません。

誰が黒塗りにするのかというと、開示される側の企業です。

行政から「おたくの会社のこの資料、開示請求が来てますので、黒塗りにしたい部分を連絡してね」

と連絡が来るので、担当者は開示したくない部分を表示してお役所へ返送します。

ただ、じゃぁどこもかしこも黒塗りでいいのか?というとそうではなく、個人情報に関わる部分など一応、「塗っていい理由」に該当する部分でなければ、「ここは黒塗りできません」と言われてしまいます。

それでも一昔前から比べると、ずいぶん黒塗り部分は少なくなった気がします。

さて、その「行政文書の開示」なのですが、手数料は全て「収入印紙」を同封して納めるのですが、開示資料1ページにつき10円などとなっているので、「420円」のような値段になることもあります。

そこで問題なのが、この「20円」です。

ご存知の通りよくみかける印紙は領収証に貼付する「200円」印紙。
現在、流通している印紙はだいたい100円単位、たまに50円など。

20円ぶんを支払うには20円印紙か、それ以下の値段の印紙を組み合わせるしかないのですが、これがあまり売っていないのです。

一度、割と大きな(本局扱いの)郵便局に行っても「置いていません」の一言でした。

コンビニなどにあるわけもなく、小さい郵便局などもっとない。
正直、どこに売ってるの?というくらいなレアものです。

日常の業務で発生する支払が、こんなに手間がかかる方法でオカシイと思わないのでしょうかね。

まぁこれに限らず、日本のお役所仕事には言いたいことは多々ありますが、ほんと現実に即していないというか、利用する側の立場に全く立っていないというか。

薬事の仕事をする限りお役所を相手にすることは避けられないので、だいぶ私も感情を押し殺すすべを身につけてきてはいますが、本当に酷いものです。


本日到着した開示決定通知書の上に乗るリン。

使えないお役所ソフト

2018年03月22日 09時34分24秒 | 薬事
薬事申請を行う時に、「厚生労働省FD申請ソフト」なるものを使用して、申請者情報や申請内容をデータに打ち込んでお役所に提出するのですが、このソフトがすこぶる使い勝手が悪い。

ちなみに今の段階ではWindows 8では動作確認ができていないようで、実際、前に勤務していた会社でWindows 8では使用できませんでした。

で、このソフト、一体誰が開発してんの??ってくらい使いにくい。使っているとイライラMaxです。

いちいち入力している画面をいったん保存して閉じてからでないと申請者情報などのマスターデータの変更ができなかったり、申請書のキモの部分は「別紙1」などと飛ばしてWordファイルを打ち出して添付。

そして、一番どうしようもないのは
「英数字も全角入力」!!!!!!!!

外国製造業者の名称や所在地を「全角」で入力するんです。
もちろん「.」や「,」やスペースも。

で、それを申請書のあちこちに入力しなければならないので、Wordなどに保存してコピペ。
運悪くWordのオートコレクトでもかかっていようものなら入力最後に「半角英数字が入っています」とエラー。
どこがエラーかは教えてくれないので、一字一句、半角がどこに紛れているかを探さないといけません。

なので、メモ帳(最近ではreadmeファイルくらいしかお目にかからないですが)を使用して、全角で入力した製造業者をリスト化しています。(呆)

さらに、申請書の1枚目、「鑑」と呼ばれている部分、捺印したりするページに関しては、打ち出されない情報がたくさんあるので、結局別にWordで作成、サインをもらう。

そして最後は「FD」というだけあって、入力したものをCDかFD(FDです!フロッピーディスク!!!!!こんなの未だに使ってる業界あるんですかね)に入れて持参(or郵送)。

ちなみに「FD申請」のFDは、フロッピーディスクの略じゃなくって「フレキシブルディスク」の略なんですけどね。せめてUSBくらいは使えるようにして欲しいものです。

最近ではDWAP申請と言ってWeb上でこれらのデータを送る方法も採用されているのですが、「○○の項目はこのシステムでは入力できませんので、打ち出したものに手書きでお願いします」などと取説などに平気で書いてあります。

手書き!!!!!

何のための入力なんでしょ???

確定申告のマイナンバーの「コピーを糊付け」にしてもそうですが、ホント、日本の役所のやることは中途半端で非効率的。
どうにかなりませんかね。