三日月ノート

日々の出来事を気ままに。

新聞記者(書籍&映画)

2019年07月25日 15時42分56秒 | 映画
映画『新聞記者』を観てきました。
東京新聞の記者である望月衣塑子氏の同名のノンフィクションが原作となっています。

なかなか映画に行く時間が取れなかったので書籍版を先に読んだのですが、書籍は自伝的な内容のため、あくまで記者側の目線から書かれています。
実際の取材がどうやって行われてきたのか、どんなことがあったのか、そこで何を感じそれをどう乗り越えてきたのかなど、1人の人間として、また記者、ジャーナリストとして著者が成長していく過程を読者が共に辿るように描かれています。

一方、映画の方はどちらかというと官僚側の視点で描かれていました。
人事権を握られている官僚にとって、「上からの命令」は絶対。
そして権力者が何かを思い通りにしたい時、その相手自身を攻撃するのではなく相手の大切にしているものを攻撃することのほうが格段に思いのままにできるということ。

国家・国益という名の下ではあまりにも個人は無力。
そして今の日本は、全体の利益(個人的に全体かどうかは疑問は残りますが)が、あたかも個人の幸福よりも優先すべき事のように思わされている向きがあります。

だからこそマスコミは弱者の側に立つ視点が重要だし、「今あること」を垂れ流している(それどころか今は情報を流しすらしていませんが)だけでは存在意義はないわけです。
飴をもらえば自由が奪われるということを、報道機関は肝に銘じるべきでしょう。

ただ最後、書籍も映画もわずかな希望を匂わせる場面があるのが少しの救いかもしれません。

映画:ペット

2018年07月08日 14時10分13秒 | 映画

「飼い主がいない間のペットの様子」と書いてあったので、単にお留守番の間、好き放題やってるところを描いているのかと思いきや、これまたスケールの大きな話になっていました。

時間としてはたった1日、飼い主が仕事に出かけてから帰宅するまでの間に起こったことなのですが、数日分の活動かと思うほど。

先住犬と後から来た犬との友情、人間が粗末に扱って捨てられたりひどい扱いをされたりしたために、復讐を企てる地下の動物たちの組織(?)、そこに紛れ込んでしまった飼い犬とそれを救おうとする仲間たち。

スピード感のあるストーリーに、ユーモアたっぷりの描写、社会の問題点も含まれていて、大人でも十分楽しめる内容でした。

1000円くらいでDVDが販売されているので購入して観ても損はないと思います。


原題:The Secret Life of Pets
2016年アメリカ

評価:★★★☆☆(3/5)

映画:終わった人

2018年06月27日 18時58分06秒 | 映画
『終わった人』を観てきました。

東大卒後、大手金融会社に勤務するも途中から子会社に出向になりそのまま定年退職を迎えた男(舘ひろし)の戸惑いや後悔などをコミカルに描いた作品です。

妻(黒木瞳)とのすれ違いの様子は、場内でもクスクスと笑いが出ていたので、多くのご夫婦(特に妻)が感じている事なのでしょう。

ただ、広末涼子に対するアドバイスは・・・私は「ナヌ!!!???」と同意できない部分がありました。

大手企業を定年まで勤めて生活には困らないし、これから好きなことをやって過ごせるなんて羨ましい限りですが、「何もやることがない人」にとっては退屈そのもののようです。

読書・勉強・スポーツ・芸術鑑賞などなど、やりたいことが沢山あって時間が足りないくらいな自分から見ると、その時間くださいな、と言いたくなりますが、時間は平等に個人に割り当てられているんですよね。残念。

ラストはひとまずホッとした結末でした。
軽い気持ちで観るには面白い映画だと思います。

そうそう、映画の中でカルチャーセンターの様子が出るのですが、何度か行ったことがある新宿の朝日カルチャーセンターが出ていました。
「翻訳百景」のチラシもちょっとだけ見えました(笑)


『終わった人』2018年/中田秀夫監督
舘ひろし
黒木瞳

私的ランク:★★✪☆☆(星2.5)

映画:万引き家族

2018年06月23日 10時52分58秒 | 映画
『万引き家族』を観てきました。

やるせないというか、切ないというか、やりきれないというか、観た後に重苦しい気持ちになる映画でした。

実親から愛情を受けられずにいた子どもを、成り行きとはいえ引き取って一緒に暮らし、家族になろうとする夫婦と母、義妹。

そして、その気持ちをわかっていながら、なかなか「お父さん、お母さん」とは呼べない子ども。

日雇いで働き、親の年金を充てにしつつ、足りない分を万引きで賄う。その事に対し罪悪感を感じていない父に対し、本能的に罪を感じる子ども。

父は「俺が教えられることといったら、そのくらいしかなかった」と。

「万引き」自体がこの映画の主題というよりは、万引きを軸に、さまざまな行為、思い、人との関係が螺旋のように関わり合って物語が進んでいくという感じでした。

映画では、最初からずっとこの家族だけに焦点を充て、この家族以外との繋がりがほとんど見られないため、あたかも自分もその家族と行動を共にしているかのような気持ちになっていきます。

互いに血の繋がりはなくとも、目に見えない何かで繋がっている、繋がろうとして葛藤する日々。

そして後半では、それまでずっと「一般社会」から隔絶されてきたこの家族の営みが、外界にさらされる瞬間がやってきます。

「本当の家族なら、こうするはずでしょう。」
「本当の親と一緒に暮らすのが一番幸せに決まっている。」
「本当の家族とはこうあるべき。」

そのどれにも当てはまらない「家族」。

社会の正義や価値観を持ち込んだ時、脆くも崩壊してしまった「家族」。

社会のモノサシで計ったとき決して「家族」とは言えない「家族」。

そして「本当の家族なら絶対にやらないだろう」事をやってしまう弱さ。

ラストの「お父さんにはなれなかったよ。おじさんに戻るよ。」という父の言葉と、子どもの「うん」という返事がとてもせつなかった。

家族、親子、血の繋がり、社会、愛、正義、善意、人間の弱さ。
色々な事を考えさせられる映画でした。


『万引き家族』2018年/是枝裕和監督
リリー・フランキー
安藤さくら
松岡茉優
樹木希林

私的ランク:★★★★★(星5)

ちなみに(私、辛め採点なので)星5は初めてです。

『ガチ星』野球戦力外通告から競輪選手へ

2018年06月04日 22時00分09秒 | 映画

楽しみにしていた映画、『ガチ星』観てきました。

スポーツ映画というより、人間ドラマという感じの仕上がりです。

プロ野球選手だった主人公の濱島。

酒、タバコ、借金、不倫、パチンコの全部盛り男が競輪学校に入って選手になり、選手になってからもろくすっぽ練習しないで荒れまくる。

そのダメ男ぶりはかなり長いこと続くので、まさか最後までコレで行くの?と一瞬不安になりました(笑)

でもダメっぷりに鬼気迫る走り、この役者さん、とても魅力的だなぁと感じました。

そして同県同期の久松君。

走りがフラついているのが気になって(これで白帽かよ!という感じ)、頼むから危ないから真っ直ぐ走ってくれーとヒヤヒヤものでしたが、イケメンでいい役者さんでした(フォローになってない?!)。

と、なんかイマイチな評価みたいに聞こえますが、総合的にはとても良かったです。

選手の誰もが、その人だけの「何か」を抱えながら走る。
所詮「俺たちは博打のコマ」と言いながら、そこに込める思いの強さ、熱さがひしひしと伝わってくる映画でした。

お時間のあるかたは是非観て欲しいです。