面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

古代に魅せられ未来に憧れ、そして…

2007年12月17日 | Weblog
 古代に魅せられ未来に憧れ、そして僕らは現代に生きている。今が最も大切だと自覚する為にも、古代を知り未来を想うことは有意義だと思う。そう友人と語り合いながら、行きたい処はと問われると、巴里、紐育を答えてしまう。確かに、中東や、印加の古い遺跡も訪ねては見たいが、新しい芸術の息吹に触れたい誘惑が強い。東京も僕にとっては芸術の都だ。九州の片田舎から上京して40年、毎日が刺激的で戦場であり、ステージだった。

 15年前から、ライフワークを劇団活動と決め、芝居を書き、上演し続けている。貧乏は覚悟の上だが、時には巴里や紐育にも刺激を受けに出かけたい。実は、先日の公演の慌ただしさに更新をわすれてパスポートが切れてしまった。本籍地が熊本なのでまた面倒な手続きが必要だ。世界中を自由に往来出来る未来は夢で終わるのだろうか、僕らは二千年の歴史で何を得たのだろうか。15年前、旗揚げ公演の舞台で、僕は博士に叫ばせた。「小児麻痺の少女ひとり立たせられずに、何が文明だ!何が進歩だ?!殺し合うことしか出来ない人類など一人残らず滅びてしまえ!」
 そして、幕切れに地球を大洪水で滅ぼした。銀座小劇場の小さな舞台で吼えたとて、何の効力も無かった。それでも僕は芝居を作り続ける。未来に希望があるからか、それとも過去に朽ち果てた文明へのレクイエムか、いや、そのどちらでもない。それは、僕が、あなたが存在するから。一緒に生きて行きたいからなのです。

激動の世界の片隅で

2007年12月16日 | Weblog
 バングラデシュのサイクロン、アメリカの金融危機は世界を襲い、ロシアは独裁政権が進み、日本では銃の事件が多発。年末に向かって暗いニュースが続く。 
 底冷えのする晴れた日曜日、僕は一人で部屋の掃除をしている。昼は坂上駅前で新聞を読みながらパスタを食した。食後のエスプレッソを飲みながら、昨日赤坂で会ったお菓子系アイドルI嬢を思い出した。雑誌のグラビアアイドルから本格的芸能活動を目指して名古屋から上京したばかりだと言っていた。お菓子系とは、お菓子のような雑誌名で活躍するアイドルのことらしい。紹介者のW氏の言う通り、僕の劇団で女優をやっても売れる保証は何ひとつない。しかし、演技の勉強にはなる。それは、彼女が判断することだ。

 狭い住まいなのに掃除は終わらない、どころか、よけい乱雑に見える。知らぬ間に日が落ち、窓の外は闇だ。玄関のチャイムが鳴り、出てみるとお歳暮の配達。極上の稲庭饂飩が桐の箱に入っている。掃除がひと段落ついたら、早速茹でて食しよう。こんな僕にいまだにお歳暮を贈って下さる方が居られる。良きに悪しきに、借りは全て返してきた。何事も決着を見ずには納まらない性格なので仕方がない。受けた恩は忘れてはならない。逆もまたあるので、世界に争いは尽きない。極個人の感情が大きく世界を動かす。いつになれば、心は優しさで満たされるのだろう。激動の世界の片隅で僕はひとり、終わらない部屋の掃除をしている。

 

 

生存競争

2007年12月15日 | Weblog
 考え様によっては過酷な世界だ。椅子は一脚しかない。オーディションとは役の奪い合い。13時開始に到着していない応募者がいたので、所属事務所に問い合わせたら、連絡がなかったので書類選考で落ちたと思っていましたとのこと。メールの送信ミスだった。あらためて来週来て頂くことにしたが、確認して良かった。メールミスで落ちたら浮かばれない。

 1年も修行出来ずに辞める者もいれば、片山竜太郎のように苦節9年、10年目にして世に出る者もいる。アトリエ公演であれば、出演者は10名足らず、例え劇団員でも役が付くとは限らない。付き合いのあるプロダクションから新人を頼まれることもある。僕の方から頼みたい俳優もいる。去るもののことより、じっと耐えて修行に励む劇団員にこそ、あたたかい眼差しを注ぐべきなのに、さらに辛く当たる。揺るぎ無い体力と気力は大きな自信となるからだ。芸道の生存競争は一生続くのだ。辞めるものを責めはしない。だが、嘘は言って欲しくない。一生付いて行きます、と、瞳を輝かせていうな。演劇は恋愛ゲームではない。と、何だか責めているようだが、ただ哀しいだけだ。

 そうなのだ!残っている劇団員に歯の浮くような言葉を言われたことがない。むしろ、小言や悪態の方が多い。櫻井智、安達竹彦、北原マヤ、樋口昇平、片山竜太郎たちは10年以上、佐藤龍星、後藤亨、またか涼等も六年を稽古場で過ごした。高倉、榊原、西本、お世辞のひとつも言えない不器用な者たちが続いている。

 今、一番出て欲しい俳優は塩山みさこだが、なかなか連絡が取れない。勿論1月公演も依頼してあるはずだが、心配になる。本当に風のような人だ。彼女は、気持ち良いほど人に媚びない。櫻井智が彼女の芝居を観て言っていた。普段のそのまま、ふらりと舞台に立って絵になる女優だと。辛口の櫻井嬢、最高の褒め言葉だと思った。羽飾りのいらない大女優になれる人はそう多くない。

泣けるね

2007年12月15日 | Weblog
 11時に日本橋で劇団女優櫻井智と今年最後のイベント打ち合せ。20数年前僕に見つめられて耳まで赤く染めて涙目で見つめ返した15歳の少女が、今や二児の母となり、微笑みながらしっかりと自分の意見をいう落ちついた姿を目の前にして、不覚にも熱いものがこみ上げ、笑って誤魔化した。みんな大人になって行く。当たり前の事だ。「そろそろ頑張ってね」別れ際、まるで母親のような言葉で励まされた。

 13時、映像作家の小和田明くんと昼飯を兼ねて打ち合せ。そこに片山ゲリオンこと劇団俳優の片山竜太郎が合流。小和田くんは僕の3番目の弟子ということになっているが、今や世界的な有名人である。フランスやアメリカで評判の片山ゲリオンの監督は、顔に似ずシャイで、いつも怒って見える。

 14時、小和田、片山と一緒に堀川りょうと合流。どんな組み合わせかというと、正月明けに始まるTV番組の顔合わせに行くのだ。

 15時、仕掛け人のF氏と合流。打ち合せが済んで17時に解散。稽古場へ向かう。

 19時、片山、小和田に安達竹彦を加えて、久々にカウボーイで夕食。このメンバーが揃えば映画の話で尽きない。

 21時、コーヒーを数杯お代わりして解散。何だか体力を消耗して帰宅すると、W氏から六本木へ呼び出し。頼み事をしていたのは僕の方なので、ふらふらしながら、地下鉄に乗る。

 25時、再び帰宅。これから風呂に浸かって読みかけの本を読む。明日は朝から髭をあたりに行こう。まだ、1日が終わらない。何だか泣けるね。きっと誰かの為に生きているのは違いない。

やりたい芝居があり過ぎて

2007年12月14日 | Weblog
 劇団総会で各自が来年やりたい芝居、観たい芝居をあげていったら、1年ではやり尽くせない演目があがった。その中から5、6本はやろうということになったが、先ずは15期生の新人公演を新作書き下ろしで、と、自分から言ってしまった。それも、年内に書き上げると公言する始末、どうして自分から首を締めるかなあ、昔から悪い癖だ。しかも、司、三田、千葉の新人3人に、どんな役をやりたい?と、リクエストまで取って。期待させてしまった。年末まで予定は鮨詰め状態なのに、出来るのか朝倉!樋口昇平、片山竜太郎両君の在団10周年記念公演もあるのだ。少し、眩暈がする。

 劇団員がやりたい芝居を次々にあげてくれたのが余程嬉しかったのだろうと思う。稽古場の片付けそっちのけで、芝居の話で盛りあがった。若い頃、芝居で暮らしてゆけるならどれほど幸せかと思ったことが夢のようだ。5年、10年、15年、踏ん張って、助けられて、ここまで続けることが出来た。生かされていることを実感する。人生、是非も無し。人知で計り知れないことに悩むより、出来る事をやるべし。解かってはいるのだが、煩悩という得体の知れない奴が邪魔をする。そして今日も1日が終わる。

 

古い喫茶店

2007年12月13日 | Weblog
 新宿西口から小滝橋通りに向かうと青梅街道との交差点に「ランプ」と云う名の喫茶店がある。寡黙な老夫婦の店で、コーヒーの焼酎割りがある。たまに寄るだけなのに、不思議な出会いが幾つもある。銀座のランブル、十二荘のmax、御苑のドムは新しくて25年、コーヒーが口に合うのは勿論だが、その店の空気が心身に馴染むのが良い。

 坂上に25年続いたkennzouがひっそりと店を閉じた。老い先を考えてご主人の故郷宮崎で陶芸をなさるらしい。子供のない夫婦の仲睦まじい姿が目に浮かぶ。デビュー前の櫻井智にもとても良くして下さった。店じまいの数日前、運良く櫻井嬢と二人でお別れの挨拶が出来た。

 時の流れには逆らえないが、コンビニ、スーパー、ファーストフード、便利さと引き換えに失くしたものは2度と戻らない。演劇はどうなのだろうか、便利な演劇など思いもつかない。舞台に地絣を張り、照明を吊り、装置を組みたて、ようやく俳優に登場願って場当たりを開始する。昨日まで手伝った舞台の若い演出家は照明の色決めに8時間かけ、その丁寧さは、僕が忘れていた微笑ましい誠実さだった。

 今日は稽古場の大掃除と劇団総会だ。来年の予定を立てるのだが、僕の心は決まっている。1年中、脚本を書き、稽古をして、公演する。16年目に入る。

 

間違いメール

2007年12月12日 | Weblog
とある地方都市に来ている。ブログに文章を送ろうとして間違いメールを誰かに送ってしまった。申し訳ない。そういえば、女性宛てのメールを男性に送って笑われたことがあった。洒落にならない。で、何を書くつもりだったのか忘れた。こんな時間に本当にごめんなさい。

優しさに我が身を省みて

2007年12月10日 | Weblog
 人に優しくされると、自分の我が侭な人生を省みる。血が騒ぐ血統なのでぶつかりあって生きて来た。正義を振りかざしたこともある。楽しい1日を過ごそうと決めたのはつい最近だ。

 明日と明後日は、東京を留守にする。友人に頼まれてある仕事の助太刀にゆく。劇団から高倉、小島、司の3人が同行する。良い仕事なのでご心配なく。

 親しくさせて頂いている女優Y嬢は、幼い頃貧困と酷い虐めにあったからこそ、今人に優しくなれる、と、涼しい笑顔でおっしゃる。なんと心の優しい方であろうか。だからこそ事務所の信頼も厚く仕事も順調なのだ。

 帰ったら木曜日に稽古場の大掃除と劇団総会がある。きれいにして清清しく新年を迎えよう。きっと来年はは良い事があるさ。などと、まだ今年は20日もあるのだ。悔いのない07年の為にもうひとふんばりしよう。

続きを携帯電話から

2007年12月10日 | Weblog
茶館は三年振り。歳の瀬らしい賑わいを見せていた。中華料理の食べ放題だが、そう食べられるものではない。もっと食べて、と、店員にすすめられる始末。プレゼントは後日渡す約束をして別れた。

師走の銀座

2007年12月10日 | Weblog
 ペンと原稿用紙を贖いに銀座伊東屋へいったら、あまりの混雑に人酔いがして、北原嬢にプレゼントする予定の来年の手帳を買い忘れた。平日に出直すことにして、池袋の茶館へ。