夜毎見る夢に登場する人物は良かれ悪かれ現実で深く関わった人物が大半を占める。それも現実さながらの風貌や性格で登場するものだから、悪しき関わりの人物だと見たくもない悪夢となる。夢は別世界であって欲しいといつも願うのだが、ひねくれ者の夢魔が叶えてはくれない。
稀に、異国が舞台の夢を見る。勿論僕も異国人である。それも、中近東の行ったこともない国で、政争に巻き込まれていたり、家督相続紛争だったりする。決まってみめ麗しい恋人が登場するのは、ハリウッド製プログラムピクチャーの影響であろう。恋人は僕の為に命を賭け、ある時は僕の身代わりに毒を呷り、ある時は僕を庇って命を落とす。そして、僕は慟哭と共に目覚めるのである。何処から作り出すのであろうか、恋人は僕の理想を完璧に具現化している。身長、体重、歯並びまで非の打ち所がない。宿敵の刃にかかり瀕死の恋人を抱きかかえる僕は自分の無力を嘆き、謝るのだ。すると、彼女は可憐な唇で微笑み、頷いてこときれる。
恋人の容姿について考えてみると、どうも高畠華宵描く美少女が原点ではないかと思われる。大正、昭和初期の「少女の友」「少女画報」の挿絵で一世を風靡した華宵の絵は二人の姉の蔵書から知ったのであろう。幼年期の僕にあの絵は強烈なエロティシズムを触発したと考えられる。
では、性格の方は何の影響があるのだろうかと考えるに、これは山本周五郎先生の「日本婦道記」ではないだろうか。夫や許婚に尽くす女性の奉仕がこれでもかと書かれている。貞淑で、優しく我慢強く、陰で夫を支えるその姿は、男にとっては理想の女性像であろう。
いずれにしてもたかが夢の話である。大真面目に分析する僕は笑い者かもしれないが、現実にかかわりの無い美少女が登場すると、調べずにはいられないのだ。何処かでめぐり逢うかも知れない、と、思うのはやはりヘッセの影響なのだろうか。いや、夢二もないとは云いきれない。
稀に、異国が舞台の夢を見る。勿論僕も異国人である。それも、中近東の行ったこともない国で、政争に巻き込まれていたり、家督相続紛争だったりする。決まってみめ麗しい恋人が登場するのは、ハリウッド製プログラムピクチャーの影響であろう。恋人は僕の為に命を賭け、ある時は僕の身代わりに毒を呷り、ある時は僕を庇って命を落とす。そして、僕は慟哭と共に目覚めるのである。何処から作り出すのであろうか、恋人は僕の理想を完璧に具現化している。身長、体重、歯並びまで非の打ち所がない。宿敵の刃にかかり瀕死の恋人を抱きかかえる僕は自分の無力を嘆き、謝るのだ。すると、彼女は可憐な唇で微笑み、頷いてこときれる。
恋人の容姿について考えてみると、どうも高畠華宵描く美少女が原点ではないかと思われる。大正、昭和初期の「少女の友」「少女画報」の挿絵で一世を風靡した華宵の絵は二人の姉の蔵書から知ったのであろう。幼年期の僕にあの絵は強烈なエロティシズムを触発したと考えられる。
では、性格の方は何の影響があるのだろうかと考えるに、これは山本周五郎先生の「日本婦道記」ではないだろうか。夫や許婚に尽くす女性の奉仕がこれでもかと書かれている。貞淑で、優しく我慢強く、陰で夫を支えるその姿は、男にとっては理想の女性像であろう。
いずれにしてもたかが夢の話である。大真面目に分析する僕は笑い者かもしれないが、現実にかかわりの無い美少女が登場すると、調べずにはいられないのだ。何処かでめぐり逢うかも知れない、と、思うのはやはりヘッセの影響なのだろうか。いや、夢二もないとは云いきれない。