アーク・フィールドブック

四万十フィールドガイド・ARK(アーク)のブログ

レターフロムS19 初冬の山から晩秋の川まで

2023-11-27 | レターフロムS

レターフロムS19 初冬の山から晩秋の川まで 再掲です

 

 「ハァッ、ハァッ・・・フゥーッ」

荒い息を吐きながら、高度差約150メーターの急な斜面をゆっくりと登っていく。

三本杭山の頂上は、もうすぐそこ。

急斜を登りきると、それまで頭上をおおっていた木々がなくなり、ゆるやかな起伏の広々とした場所に出た。

そこは、三本のたるみと呼ばれる鞍部。登山道の分岐。

左手にちょこんと三本杭の頂上が見える。あと5分ほどか。

もう一方の道は、御祝山を経て、滑床渓谷へ抜けるルート(所要2時間30分)。

クマザサとアセビの間を歩き 、三本杭の頂上へ到着。標高1226メーター。

突き抜けるような青空の下、ヒュウ―、鋭く冷たい北風が僕を迎えてくれた。

 

 おだやかに晴れた11月20日。

紅葉の黒尊渓谷&冬芽の黒尊山塊、三本杭山(滑床山)を歩いてきました。

黒尊スーパー林道(全面舗装)八面山登山口に車をおき、入山。

大久保山、八面山(1165メーター)、熊のコルを経て三本杭の頂上へ。所要、約1時間30分。

三本杭山が遠くに見える

熊のコル 冬芽の尾根をゆく

 分岐 もうすぐ頂上

              

三本杭山頂上

 

 西の海で鈍く光っている宇和海。南と東に土佐の山並み。北側には伊予の山並み。

頂上からぐるり360度開けた眺めがスバラシイ。うーん、いい気分。

 
 冷たい北風をさけ、南東の斜面に腰をおろし、黒尊川源流の水で茶を入れ、おにぎりをほうばった。

頂上には僕の他に5~6組の登山者の姿があった。

尾根のブナ、カエデ、ミズナラの落葉樹達は、すでにその葉を落とし冬芽で遠い春を待っている。

時折、ビューと突風が吹きぬけてゆく。ほほや耳に染みる風の冷たさに冬の到来を感じた。

 

 ♪フン、フン、フン♪
 
頂上をあとにした僕は、鼻歌を歌いながら冬枯れの尾根を歩く。

歌は「もりのくまさん」。今年は、日本のあちこちで熊が里に出没し問題になっている。

でも、この辺りの山には、もう熊(ツキノワグマ)はいない。ザンネン!

鯨は、豊かな海のシンボル。熊は、豊かな森のシンボル。
 
 
 下山し黒尊渓谷へ。渓谷には紅葉を見に来た人達の姿がチラホラとあった。

今年は例年に比べて、色付いた葉が少なくイマイチ派手さがない(台風で散った)。

木の実などの堅果類も全体的に少ないようだ(これも台風で落ちた)。

ぼんやりと紅葉を眺めてたら、何故かおばちゃんにつかまってしまった。

僕はおばちゃんに、ブナの木やこの辺の自然について話す。それは、なかなか楽しいヒトトキでした。

 黒尊渓谷

 

 カヌーの船首を白波に突っ込んだ。

「ザブン、ザブン」船体が大きく上下に揺れ、船内に水飛沫が飛んでくる。

汗をかいた体が一気に冷えてゆくようだ。イヤッホー!気持ちよさに思わず声がでる。

岩などの障害物にぶつからぬよう、パドルでしっかり舵をとり、瀬を下ってゆく。

流れのゆるやかなとろ場に出た。缶ビールを取り出した。ムフフ・・・。

「プシュー。ウメーッ!」

カヌーの上で仰向けになった僕は、蒼い空と地味な紅葉に染まる山を眺めながらビールを飲んだ。

ザブンザブン

透明度高し

 

 11月の終りの四万十川。晴天。北西のゆるい風。気温17度。

あまり服を着込んでいないけど、陽のあたる水面を漕いでるとカラダが汗ばんでくる。

日陰に入る、とヒンヤリした風が心地良い。川面の水温14度。あまり沈はしたくない水温だ。

 

 減水期の川の水量は少なく、水位は、春~夏の平均的な水位よりも約1メーター程下がっている。

浅瀬が増え、ところどころでゴツゴツとカヌーの底をこすってしまう。

水の透明度は高く、約5メーター下の川底が見える。

水温が下がる秋~冬の川は、微生物の活動がにぶくなる。それが水の透明度が高くなる要因のひとつ。

 

 瀬に突入、入り口の浅いところは、水がないように錯覚してしまうほど透きとおっている。

まるでカヌーで空を飛んでるかのよう・・・わおっ、空飛ぶカヌーだ!(ちょっとおおげさですね)。

冬は苦手です

 

 「キャラ キャラ」ヤマセミが水面すれすれを滑るように飛んでいった。

警戒心が強い彼らを本流で見るのは3回目。

カメラを構えて、そーっと近づいてみるが、もう少しで撮れそうなところで前方に逃げられた。

再び、そーっと寄っていくが、また前方に。晩秋の川でヤマセミとおいかけっこだ。

カワガラスが尾っぽを、ブルブルふるわせた後、水の中に潜っていった。

 昼間でもヤカン

 

 秋の早い日暮れの川原で、焚き火を起こした。

先日の大水のおかげで、川原には流木が沢山ある。

川原に腰をおろした僕は、焚き火料理をつまみに、栗焼酎のお湯割りを飲んだ。

やがて、東の空から大きな丸い月が昇ってきた。月昇る谷。

まるで今、流域で熟れているブンタンのような色と形の月。この月を「ざぼんの月」と呼ぶのかな?

 

 そろそろ(秋の透明度よい川と自然を楽しめる)カヌー&焚き火キャンプのベストシーズンも終了~。

12月に入ると、川は冷たい北風が(木枯らしが)ビュウビュウと吹きはじめます。

冬でも、カヌーで下れば、冬の川にしかない風、水、景色が楽しめますが。

では。


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