アーク・フィールドブック

四万十フィールドガイド・ARK(アーク)のブログ

渡りの季節

2008-12-17 | 四万十川 初冬&冬

 最高気温18度。

 ぬくい初冬の陽が、我が家のベランダにさしこんでいます。

ベランダで日向ぼっこをしながら僕は、ぼおっとお茶を飲んでいました。

すると、エナガとシジュウカラの入り混じった群れが、

庭で鈴なりのピラカンサの実をついばみにやってきました。

「おっ!」カメラを掴み音を立てぬよう、はだしで歩き、そーっと彼らに近寄ります。

1、5メーター程まで近づけたけど、逆光ではうまく写真が撮れず・・・ザンネン。

 

 エナガは、小さな体に少し尾が長い。

シジュウカラは、やはり小さな体で胸に黒いネクタイをしているような模様が。

彼らが群れてニギヤカに食事をしてるすがたは、なかなか可愛らしいものですね。

(カヌーで川を下っていて、岩の上にカワセミを見つけることがあります。

そんな時も、そーっとパドルをあやつれば、その姿にかなり接近できます。

機械音のないカヌーは、水の上の自然にコミットするのにサイテキです)。

 

 エナガ達がさった庭に見慣れぬ鳥が、ピラカンサの実をついばみにやって来ました。

「おっ!」図鑑片手に双眼鏡をのぞく、とその鳥はツグミ。この冬、初見です。

ツグミは本格的な冬を前に、寒い土地からあたたかなこの土地に渡ってきます。

そして。それ以外にも・メジロ・ヒヨドリ・ウグイス・ジョウビタキ

などもピラカンサの赤い実を食べにやってきます。

(今年はピラカンサの枝をろくに剪定せず、伸びホーダイにしていました。

でもそのおかげで、赤い実が枝に鈴なり、たくさんの鳥が冬の庭にやってくるように)。

そんな群れたちのさわぎを他所に、小さくとも肉食なモズは(猛禽類)一羽電線で高鳴いている。

なかなかクールなやつですね。

 

 午後、少しかたむいた陽射しの中、四万十川沿いの道を歩きました。

沈下橋まで行き、いつもの四万十の空と水の景色をぽけっとながめる。

今冬も、ギリギリまで四万十のフィールドで粘ってみた。

けれど、そんな僕も、そろそろ6シーズン目の冬の渡りをした方が良さそうです。

あたたかな寝ぐらと食べる物を求め南の空へ渡るツグミのように。

 

 昨今の不況では、僕のような、季節、期間、日雇い労働者は

—冬の川によく吹く、体が飛ばされそうな程きつい—

冷たい北風に、その身を大きく揺さぶられる木々のようです。

でも、そんな風のときは、川岸の最前列のヤナギを見習おうと思う。

ポキリと折れてしまわぬよう、しなやかに、さらり風を受け流そう、と。

 

 「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」方丈記。

空も川も水も絶えず変化し移ろいゆくもの。万物流転。明日のコトは誰にもわからない。

でも僕は、とりあえずこの冬の旅を気楽に楽しんで、

来春四万十に帰ってきたら、この川と海、山ともっともっと遊ぼうと思うのでした。

 

*と言うわけで、arkツアーは09年3月半ばまで休みます。

ゲストの皆さん、「08年シーズンはツアーへのご参加ありがとうございました」

また、来年ツアーで再開出来る日を楽しみにしています。

それまで、どうかお元気で!

*ゴールデンウィークなどの日程で

リクエストツアーのご希望がある方は、1月18日までにご相談を(HP参照)。

*ブログは更新する予定ですが、ネット環境次第かなと

皆さん良いお年を! ちゃお!


初冬の風の音

2008-12-11 | 四万十川 初冬&冬

 最高気温20度。

 今日は、初冬の寒さも一休み。四寒三温?

北風がゆるーく吹く空は、おだやかに晴れわたっています。

ポカポカとあたたかい陽ざしは、日向ぼっこにサイコーです。

 

 日だまりに鏡をおいた僕は、鋤きバサミでシャキジャキと髪を切る。

自分で切ると大抵ブサイクな仕上がりになるけど・・・。気を使わず気楽なのがグッドです。

こちらでは、床屋に行ったことがありません。

 

 心地よい陽にさそわれた僕は、長袖のシャツに短パン姿で散歩にでました。

冬ブルーの空、ハダカの落葉樹、澄んだ大気にひびく鳥の歌。

もう、ツグミもメジロもやって来ています。

 

 「ガサガサ」音の鳴ったほうをみる、と畑に小さなイノシシの姿が見えました。

そこで足を止めて僕は、そーっとイノシシのヒトリ遊びを観察。

「ふふふっ、見られているのだ。ウリ坊よ」

そこそこ家があるこの村でも、夜になるとシカの姿も見られますし、たまに、サルの姿も。

でも、本当に豊かな自然があると言うのなら、四万十の山にはクマがいるはずですが・・・。

*この辺りにツキノワグマは、もう生息していない。

 

 近所を散歩するとき、僕は、音楽と時計は携帯しません。

ここは、とても静かなところで、風や水など自然の音を楽しめるから。

もちろん、田舎特有のうるささはありますが。

(我が村では、日に2回、6時と12時にサイレンが鳴ります。

口屋内村あたりの川原でキャンプしていると、日に3回のサイレン&2回の村内放送があります。

何も伝達事項がない時でも「今日は話すことがありません」と放送する。わおっ!

夏の朝は、+ラジオ体操が流れます。

都会の喧騒をはなれ、川原で静かにキャンプを楽しむのも、なかなか大変なのでした)。

 雨量が少ない初冬の四万十川は、水位が下がり川幅がせまくなっています。

水の透明度は、例年に比べわるく、その水は少しくすんでいる。うーむ。

ごろり川原に寝転んだ僕は、風、瀬、山、鳥の声をぼんやりととききました。

 

 今は誰のすがたも見えない「落ち鮎瀬張り漁」の川原。

そこには、鮎を焼いた網とビールの空き缶がいくつも捨てられていました。

(瀬張り漁:瀬の手前で川の中に杭をうち、水中の杭にひもをはる。

漁師は箱めがねで水中をのぞき、水中のひもにオドロキ川縁によった鮎を投網でとる)

それが彼らの飲(や)り方なのだろう。

風に転がった空き缶が川へ。空き缶は、水面をクルクル回りながら瀬をながされていきました。

なんだか、カナシイ風景です。

見ちゃイヤ!