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四万十フィールドガイド・ARK(アーク)のブログ

乾いた真夏の午後に(熱風大陸で冷たい水を)

2024-06-29 | ・最新のお知らせ・イベントなど

乾いた真夏の午後に(熱風大陸で冷たい水を)

2021年真夏に書いた旅雑文です。期間限定公開中。

 最高気温36、6度(今年最高)午後も晴れ。

 「乾いた真夏の午後は、冷たい水がサイコーさぁ」

冷えたグラス片手に僕は、入道雲そそりたつ夏空にむかってひとりごちました。

 

 四万十は、もう10日以上雨がふってません。

連日の猛暑に、庭をうめつくす雑草の葉もぐったりとうなだれ、水道をひねれば蛇口からは、お湯が・・・。

「ソーラー湯沸かし器かよ!」

 

 わが村の生活用水は、川べの地下からポンプでくみあげた水を消毒したもので(簡易水道)、

我が家の水道代は、月1080円(基本料金)~1300円ほど。

何年か前までは、裏山の奥の沢からパイプをつかって水をひいてました。

大雨がふると、風呂の水は、薄茶色になるし、

水源に動物の死骸などがあったら、サイアクなコトになるなぁ、と思っていたものです。

 

 山国(低山がおおい)で、キレイな支流もおおいこのあたりは、

「さぞ、水がうまかろう?」と遠方の友人にきかれます。

しかし、四万十川沿いのあさい地下からくみ上げた簡易水道水(塩素消毒ずみ)は、

うーん・・・とりあえずのめるだけでもマシか・・・といったレベルです。

でも、道沿いの山肌にとりつけられたパイプから流れてくる水や沢水は、

低いながらも山中を流れてきた水なので、なかなかイケてるように感じます。特に春さきの水が。

(やはり水は、高く深い山の中を時間をかけて流れてきたほうがおいしい。神戸、富士宮 バンクーバーなど

しかし、そんな水のうまさについてかたっている僕は、

なんせ「違いのわからないオトコ」なので、信憑性はかなり低いのですが・・・)。

 

 キョ―ボーな真夏の太陽に焼かれた家の中は、まるでサウナ・・・。水風呂につかって本を読みました。

そのあと、すっぱだかでベランダにでて、南風にふかれながら、ガチガチに氷をつめたグラスの水をのんだ。

(こんなコトができるのが、僻地暮らしのイイところですね)。

キリリと冷えた水が、乾いたカラダとココロに、しみこんでいきました。

 僕が、冷たい水のありがたさを肌で知ったのは、熱風大陸(オーストラリア)のソロバイク旅だ。

晴れっぱなしのでっかい空のした、焼けつくような陽ざしがふる

赤茶けた土獏(アウトバック)にみえるのは、背のひくい灌木と地平線。

シンプルで単調な景色は、何日も変わらない。そこで出会うのは、カンガルー、先住民(アボリジニ)。

 

 前回の補給をした村から、4泊かけて長いストックルートをぬけて、ようやく小さな村にたどりついた。

ポストオフィスをかねた雑貨店の室内のかたすみに、ペダル式の冷水器があった。

おおっ!やれうれしや!と冷水器にかぶりついた僕は、一心不乱に冷えた水をのみつづけた。

のんでものんでもペダルを踏む足がとまらない、んーサイコー!!

 

 ムリもない、なんせこの村にたどり着くまでは、陽をさえぎるものが何もなかった。

夜になっても、ホットカーペットのように、ほかほか熱い大地のうえで、

毎日、太陽に熱せられたポリタンのお湯のような熱い水をのんでいたのだ。

(どうしても日陰がほしくなると、灌木の下にもぐり込んでしのいだ)

 

 よーやくコーフンがおさまり(我にかえり)顔をあげる、とゲラゲラ笑う声に気がついた。

ん?みわたせば、オフィスのみんなが笑っていた。

「あんた、永久に水を飲むつもりなの?まぁ、いいわ。好きなだけのみなさいな」

ちかくにいた赤毛のオバサンが、やれやれといった感じでこちらをみていった。

「サンキューマイト!」とこたえた僕は、

ふたたび冷水器のペダルをふみつづけた。カラダがストップというまで。

 

 ほんとにノドが、カラダが暑さでカラカラに乾いた時には、—冷えたビールやジュースよりも—

冷たい水が、イチバンありがたいのだ、ということを、この時はじめて身をもって知った。

ホットなカラダの乾きには、冷たい水を!ココロの乾きには、ボーケンを!

 

 旅は、いろいろなことをおしえてくれる。

ベランダで、ゴクゴク氷水を飲みながら  、(あまりうまくなくても)冷えた水がいつでも飲めるのは、

とてもシアワセなコトなのだ、とひとりごちた真夏の午後です。

*水不足で不自由な生活を強いられている人の数は、2025年には55億人に達すると推算されている。

24000キロの旅。画像は、ケープヨークに向かうルート(上)、ナラボールート(下)



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