アーク・フィールドブック

四万十フィールドガイド・ARK(アーク)のブログ

足元を速く流れる川

2010-05-24 | 四万十川 初夏

時々 最高気温26度。

 夏も近づく四万十は、晴れ間の陽射し暑く、

川の水温も高く、カヌーでの「沈」や「川遊び」が楽しい季節になりました。

 

 四万十川の水辺で、キャンプや川遊びをする人の中には、

「四万十川はダムが無い自然河川だから、大雨が降っても急激に川の水位が上がることはないだろう」

と思っている方もいるようですが、その認識は間違っています。

  四万十川には、本流の上流に、家地川ダム。

上流で本流に合流する大きな支流梼原川には、津賀ダムがあるのです。

(河川法上では堤の高さが15メーター以上になるとダムとされる。

家地川ダムは、堤の高さが8メーターと低いため佐賀取水堰と表記されている。

しかし、水力発電用に本流の水をそっくり取ってしまい、

わずかな水しか本流に流さない佐賀取水堰を、地元民や地元のマスコミは家地川ダムと呼んでいる)

 

 雨が降り、雨量がおおくなると両ダムが川に放流をはじめます。

台風などの大雨時は、放流量が非常におおくなります。

ダムの放流、多くの支流、山から入る沢水等があつまり、川は太い水の流れとなってゆく。

ダムの放流量が急激に増えると、川の水位がグングン上がり、あっという間に増水が川原をひたす。

そして下流の沈下橋も、5~6時間程で泥水の下に沈んでしまいます(5~6メーターの増水)。

 

 さらに増水すると、川沿いのキャンプ場のテントサイトもつかりはじめます(10メーター級の増水)。

下流でそれほど雨が降ってなくても、上流の山で雨量がおおければ同じこと。

雨の日に、川原キャンプ、川遊びをしている時は「正確な情報、充分な注意、早めの行動」を心がけましょう。

ダム放流量は「0120-27-5430」で聞けますよ。

 西日本はこの週末、前線&低気圧による大雨に見舞われました。

地域によっては、記録的な5月の雨量になったようです。

四万十は、150㍉~350㍉の雨量となりました。

 

 24日正午。津賀ダム&家地川ダムあわせて600㌧の放流。

四万十川は約3、5メーターの増水。水はカーキー色です。

近所の沈下橋に川の様子を見に行った僕は、橋の上から川をながめました。

足元で薄茶色の水が橋脚にぶつかって、ザァザァと音を立て速く流れています。

 

 以前、僕は増水した川を(沈下橋が浸かるほどの)カヤックで下ったことがあります。

増水した水の力は、傍目で見るよりも強大かつ冷たいものです。

カヤックで濁流に漕ぎだした瞬間、僕は全身で「あっ、やばいかも・・・」と感じコーカイしました。

 

 増水したパワーのある流れは、カーブごとに岸にぶち当たり、大きな渦をつくります。

その外側で、一度流れの下に潜った水がゴンゴンと水面に湧き上がっている(ボイル)。

ゴォゴォと流れる濁流の音以外に、川底からはゴロゴロと雷鳴のような不気味な音も聞こえてきます。

それは、大きな石が川底を転がっていく音、オトロシイ・・・。

 

 もちろん僕は、大きな渦には近寄りたくなかった、けど、あっ!という間に渦に引き込まれ、沈!

怖さと水の冷たさでガチガチにカラダが固まってたけど、なんとかロールで起き上がった。ぶるぶる。

そして、平水時なら1時間かかる距離を、たった10分で下ってしまったのでした。

 

 沈脱した場合(カヤックから抜け出ること)。

増水した川には上陸できる川原がなく、冷たい濁流の中を果てしなく流されていかなくてはならない。

それはとてもリスキーなデキゴトです。「良い子と素人さんは絶対真似しないでね」。

 

 この週末の大雨と増水のおかげで、日曜日のツアーは中止・・・。

「うーん、これも僕ら水ショーバイ・・・。静かに笑ってしまおう」

午後。子供達が総出で(といっても20人位)

キャッキャと嬌声をあげながら、学校の小さなプールを掃除している。

もうすぐ夏。遅ればせながら僕は、

もうちょいお腹を引っ込めねば・・・と、おもむろに路上に走りだした初夏の午後でした。


ゲンジボタルの川と夜のカヌー

2010-05-21 | 四万十川 初夏

最高気温30度。

 今年も、四万十にホタルの季節がやってきました。

南国四万十で、ゲンジボタルの光がよく見られるのは、5月20日頃から6月10日頃まで。

ホタルの出現期や数は、前年の水の出方やその年の気候などで少し変わります。

昨年は、お盆時に10メーター級の増水がありました。

その時にホタルの幼虫が流されてしまっていれば、今年は数が少ないかもしれません。

 

 淡い光が夜の水面にフワフワと飛び、岸の木々で沢山の小さな光が点滅しています。

それは古い時代のモノクロ映画の

「貧しく質素な暮らしぶりだけど、あたたかな家庭のクリスマスツリー」を僕に連想させました。

そして僕らは、静かな夜の水面に音もなくカヌーを滑らせた。

そこはもう別世界。幻想的なホタルの光の川にカヌーでお邪魔です。

・ホタルの夜カヌー・満月の夜カヌー・星屑の夜カヌー 魅惑的な夜の3大カヌー。

 *ナイトカヌーはキケンがあぶないのだ。素人さんや良い子は真似しないでね。

 晴れた今日は、今年初の真夏日となりました。

白みがかった水色の空。湿って蒸し暑い空気。

昨日までの雨で少し増水した四万十川は、ささ濁り。

 

 布団と洗濯物を干した僕は、ベランダでぼおっと眼下の庭をながめていました。

すると、道路から庭へ続く狭いスロープにイタチがのそのそと姿を見せた。

彼は(彼女かも)、こちらの視線もおかまいなしに

後ろ足で立ち上がり、スロープ脇の石垣をしきりにのぞいた後、ヨタヨタと草むらの中に。

 

 こんな警戒心のないイタチを見たは初めてです。

(アナグマが、昼間の川原を千鳥足でフラフラ行くのは、これまでに何度か見た。

その姿は酒にへべれけに酔ったおっさんのようだった)*イタチもアナグマも夜行性。

 

 自転車で川沿いの裏道を行くと、おっ!目の前に短身&大きな銭型斑紋のヘビの姿が。

うおっ、マムシだ!(こちらでは、クチメと呼びます)。

毒が強い、下手にちょっかい出して噛まれたら、タマランチ会長だ(古っ!)

まーむし(無視)しよう。

 家に戻った僕はフルチンになり、汗をかいた体を水道の水で流しました。

「ザバッ、うおっほーい・・・」

水道の水は、股間のおいなりさんが、思わずきゅっとすぼむほどまだ冷たい。

けど、気分はソーカイ!四万十の夏は、もうすぐそこまで来ています。

 

 梅雨の晴れ間は、もう夏空です。

雨に洗われ、クッキリと映る景色、あつーい日差し。

梅雨は、四万十川が一番水量に恵まれる季節(too machな時も多いけど)です。

この時期のツアーは、コース&時間をゲストのお好みに組み合わせたオリジナルツアーも可能ですよ。

(真夏のオリジナルはツアーは、なかなか難しいのですが)

四万十で、あなたの夏のトビラを開けてみませんか。


夏風カヌーと川遊びと

2010-05-14 | 四万十川 初夏

 最高気温23度。

 東風(こちかぜ)は、東南から吹く風。夏の四万十川に、よく吹く風。

沈下橋に腰かけた僕は、海から山に吹きぬける東風に吹かれながら、流れる雲をながめました。

今年も、風あつい夏がやってくるのだなぁ、と。

(夏季は、海よりも先にあたたまった陸地の上空に上昇気流がおこる。

そこに海風が吹きこんで東風が吹く。時にきつく。カヌーには向かい風)

 

 「赤鉄橋から下流を下るヤツはマゾである」

これは、四万十川をカヌーで旅するカヌーイストの定説?です。

中村の街にかかる四万十川大橋(通称赤鉄橋)から、海までは約10キロ。

その間の川は、市街地の中を、ひたすら真っ直ぐゆっくりと流れてゆきます。

人工物の景色が多い長いとろ場は、漕ぐのも見るのも、あまりオモシロクない。

おまけに夏は、昼前から吹くキツイ向かい風(東風)に、カヌーは翻弄されてしまうのです。

大抵のカヌーイストは、赤鉄橋で四万十川の川旅をおえます。

*とろ場:水の流れがゆるい区間のこと。水の流れの速さは水量でかわります。

 

 そして東風は、中流域の江川崎から下流でも、マゾ好みの長いとろ場をつくります。

水量が少なく、流れがゆるい、そんな状態の川に東風が吹けば、

向かい風の張り手と、ゆるゆる流れる水の焦らしが、Mの方には、ううっ、たまりません。

しかしMではないツアー参加者は思う。「はぁ、こりゃ漕ぐのしんどいなぁ・・・」と。

具体的には、・口屋内沈下橋上流・勝間沈下橋上流・三里沈下橋下流、などの長いとろ場です。

(山屋さんは、ぜんぜん苦にしないどころか、かえってイキイキと漕ぐ方が多いですが)。

 

 また、水量が少ない時の川は、瀬がグンと狭く浅くなり、

(喫水が浅い)カヤックでも、瀬の入り口で座礁しやすくなります。

座礁して、流れる水の中で、中腰でカヌーから降り、足元が滑る浅瀬をあるくコトも。

それは、なかなかしんどくキケンを伴う行為です。

 

 そんな、水量が少なく、向かい風が吹く夏の川(中下流域)を楽しく遊ぶコツは、

・その時の川の状況をよく観察し、距離にこだわらず、より「川遊び」が出来るコースを選ぶ。

・支流の(黒尊川など)「川遊び」も取りいれて、短い距離をのんびりと下る。

 

 山から海まで、大きく蛇行しながらゆったりと流れる四万十川は、水温が高い川。

そんな、水ぬくい川(真夏の川面の水温30度)には、水質&景観の良さがまだ残っています。

南国の川は、カヌーだけでなく「バシャバシャ川遊び」も、また楽しめるのです。

 大型連休が明け、まとまった雨がない四万十川の水量は少なめです。

毎日、川をながめていると、見慣れてしまうせいか、その変化に気がつきにくい。

しかしこのところは、定点で見ている箇所の水の下がり方が、かなり早いように思えます。

(最近、まとまった雨がないとしても)

 

 「昔の四万十川は、今よりも水量が多かった」とよく聞きます。

昔の豊かな水量は、水辺の植物が生息する場所を見てもわかるそうです。

・キシツツジ・シチョウゲ・トサシモツケなどは、川が少し増水した時、水に浸かるところに生える植物。

しかし、今の水面からその植物までは、ずいぶん遠く離れています。

 

 近年、四万十川の水量が少ないのは

・山の荒廃や乱開発による山の保水量の低下・津賀ダム&家地川ダムの影響

その2つの要素が大きいと言われています。

(家地川ダムでは、発電用にそっくり水を取ってしまい、その水のほとんどは本流には戻らない)

 

 今日の川の水はうす白く濁り、1、5メーターの川底がはっきりと見えない状態です。

四万十川は、エイャ!と川に飛びこみ、泳ぎたくなるほどに、まだ水質は良い。

しかし、多くの家の生活排水や田畑の農薬は、ちょくせつ川に。

あるいは、土壌に一度浸透させてから川に入っています(トイレは汲み取りが多い)。

そしてそれは、支流も同じです。

*一部の新しい公共の施設や家には浄化漕が整備されています。

 

 それでも、この川の水質がまだ良い理由は。

・過疎地であまり開発の手が入らず、流域の人口が少ないから。

・本流に流れ込む汚水の量よりも、深い山、多くの支流から入るキレイな水の量の方がはるかに多いから。

・川が持つ自然な水の浄化作用、人が川を保全する活動など。

 私たちが、次の世代が、本当にキレイな四万十川で遊べる時がくれば良いな、とせつに思います。


夏を夢みていた午後

2010-05-12 | 四万十川 初夏

 最高気温23度。

 やわらかな陽射しと甘い風の5月。

風にゆれる心は、あてのない旅にフラフラと誘われてしまいます。

ふらり四万十で羽を休める旅人一人。長い渡りの途中で羽を休めるアサギマダラのように。

ゆるやかに流れる川と静かな時の中で、傷を癒し英気を養い、そしてまた歩きだそう。

(なんか訳がわからない書き出しですね・・・汗)

 雨上がりの青空。

5月の空はどこまでも澄みわたり、初夏の陽が目にまぶしい。

川沿いのいつもの道を歩けば、Tシャツの背中がうっすらと汗ばみます。

見わたす山は、日に日にその緑を濃くしています。

 

 初夏はバラの季節。近所の家の庭先で、真紅のバラの花が咲いています。

道端では、小さな紫色の花、トウバナ、アザミが風にゆれている。

日陰の道に、白い花びらをわっと積もらせているのはエゴノキ。

ブンタンの厚い白花が咲き、シトラスが爽やかに甘く風にかおってます。

ひらひら。花にモンキチョウが飛んできました。

 

 家に戻った僕は、ブラジル製の大きなハンモックを木陰につってヒルネです。

「ヒルネ主義者」は、夜の寝付きが悪くなってしまいますが。でもまぁ、これでいいのだ。

顔の横には、スイカズラ、ピラカンサの花。

さわやかな風にゆられながら僕は「川遊びが楽しい夏の四万十」を夢みていたのでした。

*画像はゴールデンウィークのツアー。


新緑と薫る風のリバーピクニック

2010-05-05 | アークツアー 初夏

  最高気温28度。

 片方だけのビーサンが転がっている沈下橋の川原。

だれっちゃおらん川原を、ただ風だけが吹きぬけてゆきます。

円形に小石を積んだ水際の小さなプールは、はるか昔に廃れた遺跡のよう。

 

 連休も最終日。夕暮れの四万十川にいつもの静けさが戻ってきました。

連休中の国道は車とバイクで混みあい、沈下橋も多くの観光客の姿でにぎやかでした。

でも、今はがらんとしてます。ゲーム終了後のボール・パークのように。


 この連休の四万十川は、青空と良い水の流れに恵まれました。

連休前半は、北風が少し冷たかったけど、連休後半は、25度オーバーの夏日に。

そんな、ステキな五月の川に、僕らはカヤックで、リバーピクニックに出掛けました。

 

 4月27日の増水が落ちついた川は、水量が豊かで、瀬はもちろん

トロ場も平水時より流れが早く、カヌーは、パドルで漕がなくてもスイスイ下れてラクチンでした。

まだ、増水の残る川の水温は、平水時よりも5~6度低く、14度~16度といったところ。

ひとつだけザンネンだったのは、水の透明度が悪かったコト、です。

 

ツアーに参加してくれた皆さん。 

この、小さな川旅の一日が、

皆さんにとって良い思い出となったなら、ガイドを勤めた僕もとても嬉しく思います。

ぜひまた、四万十に遊びに来てくださいね

一番波が高い初っ端の瀬。いつもこれくらいの水量が欲しいところです。

豪快に沈することを轟沈と呼んでます。

新緑とシイの木の黄色い花。春の山の色彩に見とれてしまいます。

昼寝が気持ちイイ季節です。のんびりしていこう。

支流目黒川。透明度は良。子供たちが楽しそうに水と戯れていました。

川岸を、トサシモツケ、キシツツジ、ノイバラ、ウツギの花が彩っています。


岩間沈下橋下流 連休中日の今日が車も人もカヌーも一番多いですね。