本日は、炎上するのを覚悟で申し上げたいことがあります。
先般、竹中平蔵氏がネット上で炎上されておりました。「国民は我慢を強いられて不満を溜めている。その不満の矛先は、政府や東京都に向けられているが、我慢を強いているのは『コロナ』です。闘う相手を間違っている」「感染者が減らない大きな原因の一つは、我慢ができずに時々、夕方や夜に外出して飲食をしている人が減らないから。この人たちを甘やかしておいて、政府が悪い、東京都が悪いと言うのは、明らかにオカシイ」
これに対して、マスコミやネットライターの多くが、竹中平蔵氏に対して猛烈な批判をぶつけておりました。その主な反論内容は「先進国の中でワクチン接種が遅れたのは政府の責任」だとか、「途中でGO TO EATなどをやった政府の責任」だとか。一方で、政府・自治体の協力要請を無視して、飲み歩く人たちへの批判は避けた上で、敢えて一般市民に対して「叱る大切さ」を訴えた竹中平蔵氏を、空気が読めない異端者と扱いました。そして、ネットの行き着く先は、いつもの「異質なものを炎上させる」という結末でありました。
私は、上記の竹中平蔵氏の意見を、全面的に支持いたします。大部分の国民が我慢を強いられている中で、我慢ができずにツイ飲んでしまう、旅行に行ってしまう、という輩にはちゃんと「叱ること」が必要です。適切でない行為に対しては「叱ること」は重要です。(一方で、相撲協会が朝乃山にした処分は明らかにやり過ぎであり、人間を追込み過ぎてはいけません。この点にも、もちろん留意が必要です)
今の政府・地方自治体・警察も、マスコミも企業も、有権者・視聴者・消費者に対しては「叱ること」をせず、ただただ「ご機嫌を伺う」というか、「甘やかす」ことしかしていません。こういう事態が続くと、我々は国としても、国民としても、いつか、大きなしっぺ返しを受けることになります。大きな災害や、大きな紛争に巻き込まれたときに、それに対応する力をいずれ失ってしまうからです。
ちなみに、竹中平蔵氏に対して、筋違いな反論がなされた内容については、まずワクチン接種の遅れは、日本の感染者数が世界の中でも非常に少なかったのが一番の理由。日本におけるこれまでの死者数は約1万4千人で、これは大変な数ではありますが、国民全人口の0.01%というレベルは、世界でも最も死者が少ない地域と評価されています。ちなみに、欧米諸国の死者数は国民人口の0.1~0.4%という水準であり、日本とは一つケタが違うレベルにあります。その違いを押さえずに、ただ接種が遅れたとだけ言うのはオカシイ。また、GO TO EAT施策は、確かに早すぎた施策だと言えますが、欧州各国でも同様の施策を試した国も多く、これだけを取り出して批判するのは、まだ時期尚早という気がいたします。
不満のはけ口を、政府や地方自治体に向ければ済む、というのは、民主主義の中での「甘え」だと思います。もし将来、中国が日本を統治下に置く時代が来たならば、気軽に政府批判などはできなくなるんですよ。今の時代の有難みを認識したうえで、日本の民主主義がサステナブルに維持されていくためには、国民一人ひとりが、自分自身が為すべき責任は何なのかを、真剣に考える必要があります。
「甘やかすだけ」では駄目で、「叱って正す」ことができる国に戻すべきだと思います。