金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【三冠馬がピンチ】 デアリングタクト故障とコントレイル休養に思うこと

2021-06-02 07:10:59 | 競馬

 昨年の無敗の牝馬三冠馬デアリングタクトが、右前肢体部けいじん帯炎で全治6ヶ月以上となっており、復帰は来年春以降になる見込みとなっています。また、昨年の無敗の三冠馬コントレイルも、大阪杯のあとの体調回復が整わず、予定していた宝塚記念出走を見合わせて、休養に入ることが発表されました。復帰戦は、天皇賞秋を目指すこととなりました。

 この状況になってしまった原因は、明らかに、昨秋の「夢の三冠馬対決」ともてはやされた、あのジャパンカップにあることは疑う余地がありません。

 両馬ともに、春から激しいクラシックレースを闘い続けて、秋には絶対負けられない三冠目に向けて、完璧な仕上げを施して、そして見事念願を達成したところでした。もう、お釣りがないくらいの仕上げをして、完璧に能力を出し切ったあとは、本来であれば休養に入らなければならない状態だったと思います。

 デアリングタクトは、桜花賞でとんでもない不良馬場を経験してしましたので、なるべく臨戦態勢で無理をしないように注意が払われていました。秋も秋華賞直行という形になりましたが、これも負荷を可能な限りかけない配慮だったのだと思います。

 コントレイルについては、秋は神戸新聞杯、そしてアリストテレスとの死闘を演じた菊花賞と、本来であれば、ここで休養に入るべきだったと思います。

 しかし、あの秋、まずはデアリングタクト陣営からJC参戦が発表されたのち、それを受けて、コントレイルの矢作芳人調教師も参戦を宣言。そして、最後にアーモンドアイが、香港カップではなく、JCへの参戦を決断して、あの夢の三冠馬対決が実現しました。今思えば、頂上対決における無理が祟って、デアリングタクトの故障、コントレイルの現在の不調を呼んでしまったと言わざるをえません。

 サラブレッドの育成と調教の世界では、「レモンはゆっくりと絞らなければならない」という格言があります。この夢の三冠馬対決は、この格言を破ってしまった悪事例なのだと思います。

 最悪の事態として、コントレイルは、このまま体調が戻らないまま引退という悪夢さえあり得ると思います。すでに来春からの種牡馬繋養が決まっています。もう、あの雄姿が見れなくなったとしたら‥。

 「夢の三冠対決」など、やるべきではなかった。本気でそう思います。


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