まずは芝1400mのスーパーGⅡ 阪神カップ。勝ったのは、アイルハヴアナザー産駒ウインマーベル。好スタートから5番手追走へ。逃げたウイングレイテストの前半3ハロンのラップは33秒0と相応に流れる展開に。直線に入ると、逃げ粘るウイングレイテストを追いかけて、まず馬場の中央を縫ってカラヴァッジオ産駒アグリが抜け出します。これを大外からウインマーベルが鮮やかに差し切って、後続に3/4馬身差をつけて快勝。良の勝ちタイムは1分19秒3。2着には、後方から猛然と追い込んできたフランケル産駒グレナディアガーズ、ハナ差の3着にアグリ、さらに1/2馬身差の4着には、後方から追い込んだディープインパクト産駒グレイイングリーン。
勝ったウインマーベルは、3歳時の葵S以来の重賞2勝目。何と言ってもスーパーGⅡ阪神カップの勝ち馬は、その後にGⅠレースを勝つケースが多く、来年はウインマーベルがJRA短距離路線・マイル路線を制するのかもしれません。アイルハヴアナザー産駒のため地味なイメージがあるのか、いつも人気にならないのですが、3歳時から地力は折り紙付きです。期待いたしましょう。
2着グレナディアガーズは、これがラストレース。来年からは社台SSで種牡馬になります。フランケル産駒ということもあって、大きな人気を集めると思います。3着アグリは、早めに抜け出したため、かえって標的にされた感じ。来年の短距離路線のもう1頭の主役はむしろこの馬。アグリの巻き返しも楽しみにいたしましょう。
そしてグランプリGⅠ 有馬記念。勝ったのは、2番人気の4歳牡馬、ハーツクライ産駒ドウデュース。後方待機で脚を溜めます。逃げたドゥラメンテ産駒タイトルホルダーの前半1000mラップは1分0秒4、また真ん中の1000mラップが1分0秒7と、淀みのない厳しい流れに。直線に入ると、逃げ粘るタイトルホルダーを追いかけて、2番手にいたドゥラメンテ産駒スターズオンケースとドウデュースの2頭が競り合いながらタイトルホルダーを交わします。坂のところで、ドウデュースが1/2馬身差前に出てそのままゴール。良の勝ちタイムは2分30秒9。2着スターズオンアースから1馬身差の3着にタイトルホルダー、さらにアタマ差4着に最後方から追い込んできたジャスティンパレス、クビ差5着には4番手からシャフリヤール。
勝ったドウデュースは、昨年の日本ダービー以来のGⅠ3勝目。スタート直後は後方になりましたが、終始リラックスして走ることが出来て、4コーナー手前から大外をスムースに前進して、直線での伸びは鮮やかでありました。さすが主戦の武豊騎手に鞍上が戻った効果は大きかった。イクイノックスが引退した今、同期のドウデュースとスターズオンアースが1着2着を占めた2023年の有馬記念は、この世代が史上最強であることを証明した感があります。
2着スターズオンアースは、大外枠16番から2番手の位置を取ったルメール騎手のファイン騎乗が大きかった。3着タイトルホルダーも、自分の競馬をしての3着ですから、堂々と種牡馬生活に入れると思います。
1番人気で4着に敗れたジャスティンパレスは、さすがに最後方16番手という位置取りが敗因。思ったとおりのスタートが切れなかったことが理由ですが、これがルメール騎手だったら、今日の勝ち馬の位置にジャスティンパレスが入っていた気がいたします。GⅠレースでの勝負は、こうした少しの差が勝敗を分けるのだと改めて感じました。