現地7月21日(日)にバイデン大統領が、米大統領選2024からの撤退を発表しました。予想されていた事象とはいえ、歴史的な大事件が起こった大統領選として記憶されることになるでしょう。何と言っても、現職大統領が二選目の出馬断念を余儀なくされたのですから。
ちなみに、現職の大統領が二選目の選挙で敗れた事例は、歴史上11名しかおらず、ここ100年に限れば5名だけ。大恐慌後1932年のフーバー、ウォーターゲート事件後の1976年のフォード、1980年のカーター、1996年のブッシュ父、そして2020年のトランプの5名。このうちフォード大統領だけは選挙で選ばれた大統領ではなく、ニクソン大統領辞任に伴って副大統領から昇格しただけでしたので、このリストから外しても良いかもしれません。
一方、本人が二選目への意向があるにも関わらず、途中で撤退を余儀なくされた事例は、ワタクシの記憶では1968年のジョンソン大統領があるだけです。この時も、ジョンソン大統領本人には出馬意向があったものの、泥沼化するベトナム戦争によって人気がガタ落ちになり、予備選段階で撤退を余儀なくされました。予備選では、故ジョン・F・ケネディの弟であるロバート・ケネディ上院議員が勝ち進んで、ほぼ指名を勝ち取ったと思われた矢先に凶弾に倒れる事態となって、現職の副大統領だったハンフリー氏が民主党候補に。結果、ハンフリーは共和党のニクソンに惨敗いたしました。
「大統領選2024」のこのあとは、8月19日~22日に予定されている民主党大会で、各州の代議員などによる投票で民主党候補が確定いたします。恐らくは、現職のハリス副大統領が選ばれることになるのでしょう。
対するトランプ陣営は、すでに「確トラ」ステージに入ったと十分に認識していることから、ハリス候補に関する「弱点情報の収集」に注力していると思われます。11月の本選挙に向けて、準備期間の無い「ハリス陣営」とは、情報力や機動力・ネットワーク力で圧倒的な差がついており、投票前から圧倒的優位を築くことになると思います。
ただそれでも、一筋縄ではいかないのが「アメリカの大統領選」なのであります。
1968年の時も、国民の誰もが「次期大統領にはロバート・ケネディが就く」と思っておりました。2016年の時も「史上初の女性大統領としてヒラリー・クリントンが勝利する」と信じられておりました。
「圧倒的に有利」などと思われてる時に限って、アメリカ国民とは「天邪鬼な投票をしてしまう人たち」なのであります。
いや、予想外の結果が投票で決まるならばまだマシであって、1968年の時のように、暗殺事件が相次いで、候補者がいなくなることだってあり得ます。なんてったって、銃の国=アメリカ合衆国ですから。もうこうなると、米国大統領選なのか、ヤクザの抗争劇なのか、区別がつかない世界になってしまいます。あ~恐ろしい!
ワタクシの直観ではありますが、このまま一直線には行かない気がします。むしろ、大どんでん返しが2回くらい。まだまだ起こる予感がいたします。
2016年のトランプ大統領就任以来、特に2020年大統領選後の4年間、これだけアメリカ合衆国を真っ二つに分断すべく煽ってきた訳ですから、今さら「点火された爆薬」みたいな民衆を止められるとは思えません。