金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【産駒が早熟の原因】 エピファネイアではなく、サンデーサイレンスの 4×3 が原因か⁉

2023-05-19 04:48:19 | 競馬

 エピファネイア産駒は早熟、という風評とデータが広まっています。確かに、2歳~3歳時の成績と4歳以降の成績に大きな差があるのは、ここまでの4世代を見ると実感できるものがあります。

 最初の世代の牝馬三冠馬デアリングタクト、菊花賞でコントレイルの2着になったアリストテレス、そして2021年の年度代表馬エフフォーリア、阪神JFを勝ったサークルオブライフエピファネイア産駒のGⅠ馬、あるいはGⅠ級として活躍した馬たちが、みな4歳以降に輝きを失っていることが、前述の風評の理由ですし、産駒全体の統計数字でも明らかになっています。

 

 ただ、現役時代に4歳時のジャパンカップで、驚異的な勝ち方をしたエピファネイアの遺伝子=早熟、という図式は、どうしても自分の中では合点が行きません。ワタクシとして、ここで別の仮説を示したいと思います。

 上記4頭のエピファネイア産駒のもう一つの血統上の特徴は、すべてが『サンデーサイレンスの4×3インブリード』であること。もしかすると、早熟の理由は、むしろこちらに原因があるのではないでしょうか?

 以前(2022年1月19日の当blog)でも書きましたが、エピファネイア産駒の約60%『サンデーサイレンスの4×3インブリード』であり、この影響が色濃く出てしまい、「産駒が早熟」という烙印を押されているのではないか?

 エピファネイア産駒でも、古馬になって府中牝馬Sを勝ったイズジョーノキセキという馬がいますが、この馬にはサンデーサイレンスのインブリードはありません。ミスタープロスペクターの4×5、スアトルスルーの4×5はありますが、3×4のような濃いインブリードはありません

 

 他の種牡馬について、例えばモーリス産駒についても見てみましょう。モーリス産駒がエピファネイアと異なり、むしろ晩成型が多いと言われていますが、その中でも2歳時から頭角を現した馬として、ルークズネストという馬がいて、シンザン記念2着でファルコンS1着という実績の馬です。しかし、この馬は3歳秋から古馬になって伸び悩みが続いています。そして、実はこの馬も『サンデーサイレンスの4×3インブリード』なのであります。

 一方、モーリス産駒のGⅠ馬としては先日、大阪杯を逃げ切ったジャックドールを見てみましょう。ジャックドールにはサンデーサイレンスのインブリードはありません。ミスタープロスペクターの4×5、ノーザンダンサーの5×5はありますが、3×4のような濃いインブリードはありません

 もちろん、同じモーリス産駒でもジュラルディーナのように『サンデーサイレンスの4×3インブリード』を持ちながら、晩成型で活躍している馬も存在しますので、こうした特徴は、0か、100か、ではなく、あくまで傾向値であることには注意が必要です。

 

 そして、勢いが止まらないドゥラメンテ産駒も見てみましょうタイトルホルダースターズオンアースリバティアイランドシャンパンカラーと、4頭のGⅠ馬を見てみると、当然ながら、サンデーサイレンスのインブリードは持っていませんタイトルホルダーとリバティアイランドとシャンパンカラーの3頭に共通しているのは、ミスタープロスぺクターの4×5のインブリード。唯一、スターズオンアースだけはミスタープロスペクターの3×4の濃いインブリードを持っています。

 ドゥラメンテ産駒は、ドゥラメンテ自身が母父にサンデーサイレンスがいるため、サンデーの濃いインブリードを避けて、むしろアウトブリード中心の繁殖計画が立てられていたことが、産駒の好調に繋がっているのかもしれません。

 

 以上の事例は、ごく少ないサンプルによる考察でしかないので、正しいのか否かは、まだまだ今後の検証が必要ではありますが、エピファネイア産駒=早熟、という風評もまた、決めつけるのは早計であります。むしろ、サンデーサイレンスの4×3インブリードを大量生産している、現在の生産界への警鐘、という位置づけで、本件をご理解頂ければ幸いであります。

 


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