金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【Well-being ⁉ ③】 多様な才能を生かす! ジェンダー・グローバル・LGBT・・

2023-01-13 05:18:15 | 人的資本

 1995年に日本の労働人口はピークを迎え、その後は有能な人材の取り合いと、新たな才能の発掘に、各企業が苦しみ始める時代に突入することとなりました。

 前回テーマにした『健康経営』は、昭和の時代からの基本動作である「働く者同士がお互いの変化を見逃さないように、密なコミュニケーションと先回りした気遣いを励行すること」がベースにあったことをお話しました。しかし、こうしたベタな昭和の知恵では、どうやっても解決できないハードルにぶち当たることになります。

 

 まず昭和62年に施行された男女雇用機会均等法によって、優秀な女性総合職社員が、上場企業に大量に入社することになりました。それまでの日本社会は、女性社員を入社させても、男性社員の配偶者候補として入社させるだけで、結婚すれば寿退社が基本でしたし、仕事を続けるにしても出産時に退職するのが当たり前でした。いわゆる「腰掛け入社」という奴。

 しかし、この昭和62年以降は、本気でキャリアを積みたい優秀な女性社員が入ってきました。会社としてもお金をかけて育成対象にしますし、キャリアを積むための官庁への出向や、海外留学なども盛んに行われました。ところが、そんな優秀な人材が「出産」と「育児」のハードルを越えられずに、次々とキャリアを捨てて退職する事態が全国の企業内で発生したのです。

 

 このハードルは、昭和の基本動作である「密なコミュニケーションや先回りの気遣い」だけでは、どうしようもありません。まず国は、法律で「育児休職制度」の義務化などの手を打ちましたが、それだけでは不十分であり、各企業が国に法律を超える仕組みを次々取り入れて対応を強化しました。また、配偶者側の理解とサポートを補助するために、配偶者のための育児休暇制度や、配偶者側の理解を深めるための研修義務化なども行い、配偶者や職場における出産・育児への理解を深める活動を継続しました。今でも、まだまだ十分な状況ではありませんが、それでも30年前に比べて、働く女性が自らのキャリアを大事にできる環境は少しずつ整いつつあります。この分野も『Well-being』を推し進める上で重要な活動範囲となります。

 同じく、海外から就業してくれる他国籍の人材=グローバル人材についても同様であります。単なるコミュニケーションや気遣いだけでは、越えられないハードルが数多く存在しますから、ある時は外国人就労に関する法律から作り直し、またある時は、社員間にある、文化や社会風習に関する無意識な偏見や無理解を、積極的に取り除く努力が必要になります。もちろん、同じ問題がLGBTでも存在します。グローバル人材やLGBT人材のクリエイティブな才能を会社業績に活かしていくためには、当然ながら上記の努力を継続していかなければなりません。

 

 こうした活動も、今や『Well-being』にとっては、中心的な活動範囲となっているのです。それだけ、多様な才能を集めることの重要性が、企業経営には切実なテーマになっているということ。これが激化する競争の中で、個々の企業が生き残るための現実なのです。(来週の火曜日へ続く)


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