金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【自民党総裁選と立憲代表選が終了】 いよいよ総選挙 さて有権者の心理状態を復習すると・・

2024-10-01 01:58:04 | 金融マーケット

 自民党総裁選と立憲代表選が終了しました。

 

 自民党は有力と言われた3候補の一人だった石破茂氏が当選。そして立憲民主党は大本命の野田佳彦氏が当選。両選挙ともに、迫る解散総選挙を戦う上で、それぞれの陣営がベストと思えるトップを選んだと言えるでしょう。

 自民党総裁選では当初、一般有権者から絶大な人気を誇る小泉進次郎氏が頭一つリードしていましたが、TV討論会での受答えでボロが出てしまい、急速に支持率が落ちてしまいました。それに替わってリードしたのが、わが国で女性初の総理大臣を目指す高市早苗氏で、こちらは討論会での丁丁発止の受答えと、どの政策論でも歯切れ良く良識ある見解を述べる力量を示したことで、一気に支持を集めて流れを作ることに成功。しかし、最後の最後で「総理になっても靖國参拝を継続」「日銀の金利引上げ施策への反対意向」などの勇み足発言があって、決選投票では麻生派以外の支持がほぼ得られずに敗退。結果、有力3候補の中では、最も様々な経験を積んでいた石破茂氏が選ばれるという、バランス感覚優先の収束となりました。

 立憲民主党代表選勝利した野田佳彦氏は、民主党政権で最後の総理大臣を務めた方でありまして、しかも民主党政権での3人の総理大臣の中では「最もマトモ」という有権者の評価を受けていましたから、こちらは妥当な結果と言えますでしょう。

 

 ところで、現時点の有権者の心理状態を振り返りましょう。

 当然ながら、われわれ有権者の心理の根底には、「自分および家族の生命・財産をきちんと守ってくれる政治でなければならない」という大命題がドンと存在します。「そんなことは当たり前」と言うなかれ。この大命題すら「けっこう危うい」と感じてしまったのが、13年前の東日本大震災の時。

 あの時の民主党政権の悪夢が、今でも一般国民の心の奥底に残っています。別にあの時の菅直人首相の言動を今更悪く言うつもりはありませんが、当時の民主党政権は、官僚とのコミュニケーションが最悪で、しかも地方自治体との連携も最悪。その結果、災害に即応しなければならない施策が全て後手後手回りました。これは野党根性がしみ込んでいたせいで中央の官僚を上手く使いこなせなかったことや、地方自治体との接点になる地方の党組織が極めて弱かったことが原因。この2点について、今の立憲民主党は、当時の民主党よりも弱いまま。ですから、有権者心理としては、立憲民主党を中心とする野党連合に、国政を委ねるという発想はないと思います。

 一方で、唯一政権を任せることが出来ると有権者が信じて、絶対安定多数の議席を与え続けた自民党、特にその中心にいた旧安倍派は、確かに政治家としての能力に秀でた優秀な議員を多数抱えていましたが、10年以上も天下を取り続けると組織が腐るという戒めどおりに腐敗、今回の「裏金問題」が発生してしまいました。さすがに有権者としては、かなり「大きなお灸」を据えないとダメ、と感じているところだと思います。

 

 このような有権者心理を理解していたからこそ、「国民の生命と財産を守る」と言う基本命題を、総裁選で第1に掲げていた石破茂氏と高市早苗氏が決選投票に残ったのだと思います。そして「お灸をすえるべき」と考えている自民党支持者の票を、なるべく多く引き止められる総理が石破茂氏という判断だったのだと思います。

 一方、自民党に「お灸をすえる」という有権者心理を理解しているからこそ、代表選では、自民党支持者の間で相対的に評価が高い野田佳彦元首相を代表に選んだのだと思います。自民党支持者のうち中道と革新派の有権者の票を、最も取り込めるのが野田さんという判断なのでしょう。

 

 こう考えると、自民党も立憲民主党も「自己直視」が出来ており、自分が置かれた状況を正しく認識していたことが判ります。

 

 さて、これを受けて、われわれ有権者はどう投票するか?

 自民党は安定多数を割り込むことはもちろん、単独多数を守れることだってハードルが高いでしょう。自公合わせての多数確保が落としどころか一方の立憲民主党は、どこまで野党連合の選挙協力を纏められるか一番の悪手は「共産党との連携」なので、野田さんが代表である以上、この選択は取らないとは思いますが・・

 このように、非常に微妙なバランス上に成立する選挙なので、その分、われわれ有権者の1票が重い総選挙になりそう。今回においては、「投票しない」なんて勿体ないことは出来ませんぞ

 

 


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