金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【Well-being ⁉ ②】 もともとは「健康経営」 ベースは昭和の人事施策⁉

2023-01-12 05:37:02 | 人的資本

 Well-being とは「(社員が)身体的・精神的・社会的に良好な状態であること」と定義されております。

 ちなみに、一部の人たちに勘違いされているような「会社をユルくする活動」ではなく、むしろ、全ての社員が後顧の憂いなく、シャカリキに働ける状態にして、皆がバリバリ働く会社にするための活動と言った方が、現実に近いと思います。

 

 もともと昭和や平成の時代から、「健康経営」という概念がありました。昭和の時代には『ブラック企業』と呼ばれる存在があちらこちらで闊歩しており、『成長』の名のもとに「株主優先」「会社業績優先」で、社員の健康は二の次、社員が倒れたら人を採用して使い倒すというやり方。はっきり言って、昭和の四大証券は、その典型的な会社でした。

 そんな酷い企業とは距離を置き、社員の心身の健康を見守りながら、末永く、会社と社員が一緒に繁栄していこうという考え方が「健康経営」です。1995年に労働人口=生産年齢人口がピークを迎え、労働人口が減少するにつれて、個々の人間を大事にする傾向が強くなっていきました。

 「健康経営」の基本は、働く者同士がお互いの変化を見逃さないように、「密なコミュニケーションと先回りした気遣い」を励行することにあります。昭和の頃の座席表は、課長がコの字型の誕生席に居て、部下の様子をずっと見守れるようになっていましたが、あれはちょっとした表情の変化も見逃さない工夫の一つでした。

 激化する競争社会では、ライバル会社に負けないように、他にないサービスや商品を考えて、常に改良して、毎日毎日『改善』を継続しなければなりません。これが度を越したり、特定の人に負担が集中し過ぎたりすると、やがて社員の心身の健康が壊れてしまい、長期の離脱を発生させてしまうことになります。そうなる前に、お互いがお互いの変化に気づいたら、相手の負荷を引き取ったり、あるいは課長と相談しながら、少しペースを落としてもらったりすることが、健康経営の基本であります。実は、現在の『Well-being』でも、この「密なコミュニケーションと先回りした気遣い」こそがコア中のコアであり、その重要性は変わっていません。

 

 全ての社員が、そのパフォーマンスを最大限に発揮するためには、上司と部下間、あるいは社員間で、お互いのちょっとした変化でも見逃さないようにすることが最も重要であります。昭和の時代からのベタな方法ではありますが、これが無ければ『Well-being』も『人的資本経営』も成立致しません。(つづく)


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