ガザ地区の戦乱と混乱が続いています。
日本の報道機関は、ガザ地区の悲惨な現状を報じることに終始して、戦乱そもそもの発生原因や背景を論じるのを省くことが多くなってきました。
今回の戦乱の発生原因を、もう一度振り返ってみましょう。
まず、昨年の夏までの中東情勢は、実は今の混乱状況とは異なり、比較的落ち着いたステージに差し掛かっていました。特に、本年=2024年には、アラブの中心であるサウジアラビア・UAEといった国々とイスラエルが、ついに国交正常化を実現するという歴史的イベントが控えていました。すなわち、中東地域は「過去よりも未来を見据えた新たな時代」を迎えようとしていたのです。
当然ながら、イスラエルを認めないアラブ急進過激派にとっては、この状態は「追い込まれた状況」であり、焦りを募らせていたと思います。ガザ地区のハマス、そしてアラブ世界の中でサウジアラビアと激しく対立しているイランが、その追い込まれていた立場にいたことになります。
そうした状況下、イランとハマスは、このサウジアラビアとイスラエルが接近して国交正常化交渉を進める動きを、何とかして食い止めようと考えたに違いありません。イランとハマスは水面下で、以前の混乱の時代へ逆戻りさせるような「事件」を発生させるべく戦略を練っていたと想像できます。ここからはワタクシの妄想に過ぎませんが、イランは密かにハマスに情報と兵器を供給しながら、イスラエルのスキを突く、今回の侵攻作戦の知恵を授けたものと思います。ハマスは、その奇襲作戦を実現すべく、暫くの間、鳴りを潜めながら、訓練を繰り返していたと思います。
一方のイスラエルは、サウジアラビア・UAE等との国交正常化を前にして、鳴りを潜めたハマスに対して、かなり油断をしていたと考えます。その状況下、昨秋の10月に突然、ハマスがイスラエル側へ侵攻して多数の人質を奪うという「事件」を起こしたのです。
そのあとの動きはご存知のとおりですが、イスラエルは、ハマスの蛮行に対して怒り狂った自国の国内世論に押し出されるように、ガザ地区への報復措置を強行しました。そして連日、ガザ市民に多くの犠牲者が出る報道が続く中で、サウジアラビアとUAEは、イスラエルとの国交正常化交渉を中断する決断(アラブ人を虐殺するイスラエルと国交正常化とはとんでもない!とする国内世論に押される)に至り、中東地域の新時代到来は、無期限延期の憂き目にあうことになりました。
まさに、イランとハマスが狙ったとおりの展開になったと言えます。その意味で、今回のガザ地区の戦乱と混乱は、イランとハマスが仕掛けた罠に、イスラエルのネタ二エフ首相がまんまと嵌ったことが、真の発生原因であります。(続く)