正月2日目は、例年どおり、今年の将棋界を展望させて頂きます。
2023年の将棋界は、藤井聡太五冠と、永世タイトル七冠を保持する羽生九段との新旧最強棋士対決が、いきなり1月8日(日)9日(月)から開始されます。第72期 王将戦七番勝負の第1局が、静岡県掛川市の「掛川城 二の丸茶室」で行われる予定。
この対決は、タイトル戦では初めてとなりますが、王将戦は、一日対局ではなく二日対局ですので、藤井聡太五冠の終盤力がより際立つ対局になると思います。一方で、直近の羽生九段はAI研究も幅広くかつ深淵なレベルまで掘り下げていると言われており、その上で「今のAIの判断には疑問な点が多い」と、AIの申し子とも言える藤井聡太五冠に対して、挑発的な手を繰り出してくる気がします。いずれにしても、将棋界注目の一戦です。楽しみに致しましょう!
そして、その王将戦の真っただ中の2月5日(日)から、これまた注目の対決が始まります。第48期 棋王戦五番勝負の第1局が、長野県長野市の「長野ホテル犀北館」で開催されます。10連覇中の渡辺明棋王に挑むのは、六冠目を目指す藤井聡太五冠。渡辺明棋王にとっては、大決戦となる名人戦の前に、藤井聡太五冠の勢いを止められるかという大事な一戦となります。
4月からは、第81期 名人戦七番勝負が始まります。ここも、藤井聡太五冠の挑戦が濃厚になってきています。渡辺明名人にとっては、今保持する2つのタイトルを藤井聡太五冠と闘うこととなり、まさに死闘を繰り広げる5か月間となりそう。
そして、そのあとは藤井聡太五冠の防衛戦が続きます。第94期 棋聖戦、第8期 叡王戦、第64期 王位戦。藤井聡太五冠にとって、年初の王将戦から続くタイトル戦で、気力も体力も大変な消耗を余儀なくされる訳ですが、もし、棋王戦・名人戦とタイトル奪取が成って、また年初の王将戦・棋聖戦・叡王戦・王位戦と防衛が成功したならば、9月の第70期 王座戦で、初の八冠独占をかけた闘いが行われる可能性が出て参ります。
永瀬拓矢が守る「第71期 王座戦」。一発勝負のトーナメントによる挑戦者決定方式を、実は藤井聡太竜王はあまり得意ではありませんが、もし棋王戦・名人戦とタイトル奪取に成功したら、この王座戦トーナメントには精神を集中させて臨むことになると思います。日頃、お互いが研鑽を積む研究仲間の二人が、最後の最後で死闘を演じる勝負の世界の非情さではありますが、ここは、かつて、羽生善治 対 谷川浩司が見せたように、ぜひ、痺れるような激闘を見せてほしいと思います。
2023年の将棋界は、藤井聡太五冠と、渡辺明名人・永瀬拓矢王座、そしてレジェンド羽生永世七冠が中心となって回っていくことは間違いありません。果たして、藤井聡太竜王による八冠独占が、今年中に成し遂げられるのか⁉ 注目致しましょう!