将棋の王位戦七番勝負第3局は、7月20日(水)21日(木)に神戸市にある有馬温泉の『中の坊 瑞苑』で行われ、後手番の藤井聡太王位が84手で制して2勝1敗と勝ち星を先行させました。
戦型は、またしても角換わり。立ち上がりは少し珍しい形で進みましたが、途中で前例のある戦型に戻るなど、わかりやすく言えば、ガップリ四つの展開に。しかし、途中からは、ジリジリと藤井聡太王位が少しづつリードを広げて、気がついてみれば、2日目の午後には圧倒的有利に。終局後に、豊島九段がこぼしていましたが、「どこで悪くしたのか、全くわからなかった」と、言わば『敗着なき敗戦』。
このあたり、7月17日(日)に行われた棋聖戦五番勝負第4局も同じで、対局した永瀬王座に、何か敗着らしいミスはなかったにも関わらず、少しづつリードを広げた藤井聡太棋聖が、そのまま寄り切って勝つという将棋。
負けた方は、自分の何が悪かったかも気がつかないうちに敗北するという、救いのない負け方。しかも、感想戦では、自分が全く気がつかなかった自らの『反撃手』を指摘されてしまい、果てしない完敗感を味わう形。
そういえば、渡辺明名人が『感想戦がエグい』と、藤井聡太五冠との感想戦にネガティブな気持ちを呟くほど、対戦者は辛い時間になるようです。現役のトップ棋士たちから、そんなに嫌われてしまうとは、強すぎる棋士の宿命なのでしょうか。
ところで、前述したとおり、藤井聡太王位は7月17日(日)には、名古屋市で棋聖戦五番勝負第4局を制して、棋聖戦3連覇を達成したばかり。移動日を含めると、休む間もなく、この王位戦第3局に臨みました。今の藤井聡太五冠には、疲れるというコンディションはないようです。
このあとは、一時的ながら、対局日程は緩んでくると思いますので、まずはゆっくり身体を休めて欲しいと思います。何と言っても、日本の将棋界の宝でありますので、無理をして健康を害する事態だけは避けてほしいと思います。