金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【台湾有事リスクの背景③】 実は、アメリカは早めの有事を望んでいる!

2022-06-16 05:42:03 | 中国

 もう一つ、台湾有事リスクに関わることで、認識しておかなければならないことが、実は「アメリカは今なら圧勝できる」ため、中国側を挑発する傾向にあること。

 

 ドローン技術やステルス技術は、今ならば、中国はアメリカの想定内のレベルであり、もし、中国が有事に踏み切れば、アメリカ側が圧勝できると見込んでいるようです。そうであれば、今のうちに中国を叩いてしまいたい、というのが、バイデン政権の本音

 先般の日米首脳会談のあとの記者会見で、『Yes. It is a commitment we made.』と発言したバイデン大統領。これは失言ではなく、習近平政権への計画的な挑発だったというのが真相のようです。確かに、今のうちに叩いてしまえば、11月に習近平政権が3期目に入ることも阻止できます。

 これに対して、中国筋は、むしろ習近平が調子に乗り過ぎて暴走することを危惧していたので、先般のバイデン発言により、頭を冷やす、良い機会になったという見方を示しているとのこと。お互い、神経戦の応酬、ジャブの打ち合いといったところなのかもしれません。

 

 また、コロナ禍の3年弱の間、国家のトップ同士、また各国の有識者たちが顔を合わせて議論する機会が激減している間に、それぞれの国家が、自らの論理だけを内向きに垂れ流し、そうすることによって、自らが常に正しいと自らを洗脳してしまうサイクルが強化された結果、国家間の距離がさらに隔たってしまうという現象も無視できません。ウクライナ紛争が勃発してしまった背景にも、この「自ら洗脳」現象があったと思います。

 

 以上のように、我々が考えている以上に、台湾有事は、ちょっとしたトリガーで現実味を帯びる状況にあるようです。夏の参議院選挙に向けて、日本の政治も、一時空白の期間が訪れます。常に、台湾情勢、それと連関する朝鮮半島情勢には、注意する必要があります。

 そしてまた、日米ともに、常に、中国上層部、あるいは中国の軍部との間で、コミニュケーションを取り続ける努力を惜しまないこと、これも重要です。たとえ、今は完全な意見のすれ違い状態であっても、それぞれの見解を、言葉を慎重に選びながら伝えることで、互いの真意を伝え合うことは可能です。

 最悪の事態を避ける人間同士の知恵は、まだまだ捨てたものではないと考えています。


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