久々に、政治ネタというか、地政学リスクのネタを取り上げたいと思います。
今年の11月に開催される第20回中国共産党大会において、習近平政権は、おそらく異例とも言える3期目に突入することが決定されると、中国に詳しい専門家の多くが予想しています。
ところで「2期10年」という任期上限の慣習を破り、異例の3期目に入るには、相応の「大義」を全人民に対して示す必要があります。習近平は、11月の共産党大会において、この「大義」を、まさに「台湾の統一」に求めようとしているようです。
中国の過去の指導者のうち、毛沢東は『抗日戦争および国民党との闘いに勝利して新しい中国を建国したこと』により、また鄧小平は『改革開放で中国を豊かに変えたこと』により、特別な立場に置かれています。毛沢東が「第一の正当性」、鄧小平が「第二の正当性」と位置付けられるならば、習近平は、「台湾の統一」によって、自らの「第三の正当性」を築き上げようとしているということ。
もちろん、ここへ来て、上海ロックダウンなどのゼロ・コロナ対応で世論の反感を買ってしまったり、またウクライナ情勢に関しても、過度にロシアをサポートする姿勢が国内外から疑問視される事態を招いていることから、けして11月の3期目突入は盤石ではないとも言われていますが、習近平 総書記に替わる有力候補が居る訳ではなく、かなりの確度で、あと5年の任期延長が決まるものと思います。
ここで大切なのは、2027年までの任期延長が決まると言うことは、すなわち「台湾の統一」が、2027年までに習近平政権が実現しなければいけない課題=テーマになるということ。
これが、台湾有事リスクの背景にある、まず認識しなければならないポイントになります。(続く)