こんばんわ。
アップルビデオ高津店 無免許整備士ブルームです。
久々にスポーツスターのカスタマイズ。
今回は点火系チューンのお話です。
以前乗っていた現行スポーツスターは
フューエルインジェクション(FI)だったので、
ガゾリン噴射量とか点火タイミングとか
すべてコンピュータ制御になっており、
気温やアクセル開度、エンジン回転数などに応じて
適切なガソリン噴射・点火を行ってくれてました。
と、云っても排ガス規制等のため、
基本的にデチューンされた状態ですが…
まぁ、データの書き換えによって
わりと簡単にチューニング出来るって利点はあります。
現在乗っている旧エボには、そんなハイテク機構なんぞありません。
アクセルを捻るとキャブレター(ガソリンを霧化させエンジンに送る装置)の
バルブの開きが大きくなってガソリン吸上げ量が増え、
エンジンの回転速度が上がるっていうシンプルな仕組み。
調整するにはキャブの各種穴のサイズを変更するしかなく、
調整しては走り、また調整しては走りの繰り返しで、非常に大変です。
点火タイミングは、一応電子制御なのですが調整はできません。
ただ、センサーの角度を少しだけ動かせるので、
全体的なタイミングをずらすことが出来ます。
センサー角度をずらすことでコンピュータを欺くのです。
調整できてるような出来て無いような、そんな調整。
今回はその点火タイミングの話。
…と、いきたいのですが、かなり小難しい話になるので
その前にエンジンそのものの仕組みについて説明します。
男子諸兄は中学校で習ったと思いますが
4サイクルガソリンエンジンの仕組みから軽く説明しますと、
① 吸気バルブが開き、ピストンが下ることでガソリン混合気を吸い込む。
② 吸気バルブが閉じ、ピストンが上がることでガソリン混合気を圧縮。
(ここで点火)
③ ガソリン混合気が爆発することでピストンを押し下げる。
④ 排気バルブが開き、ピストンが上がることで排気ガスを押し出す。
以下、1~4のくりかえし。これが4サイクルだ!
③で発生する膨張こそが動力源でして
クランク(イラストの一番下にいる黒い奴)を回転させて
以降の④、①、②と、ピストンの上下の動きに繋げ、
③でまた動力を得て、クランクは廻り続けるのです。
アクセルの捻りを大きくすると、①で吸い込むガソリンが増え、
③の爆発力が大きくなり、ピストンを押し下げる力が強くなる。
その結果、クランクの回転速度が早くなり、
バイクやクルマはスピードを上げていくのです。
すげー大雑把な説明ですが、意外と原理は簡単なのです。
じゃあ待て、最初の①と②はどうやって動いてる?
これはモーターとかキックペダルで最初の何回転かを回す必要があるのです。
大昔のクルマやプロペラ機なんかは手回しで始動してましたし、
チェーンソーとかだと紐を引っ張ってますよね?
カブ系エンジンとか今でも普通にキックペダルで始動しますし。
で、今回のお話は②と③の間の、点火のタイミング。
②のピストンが一番上まで上がったところ(上死点って言います)で点火して
③の状態になってるイメージだと思うんです。
実はコレ、大きな間違い。
実際は②と③の間くらいのところ、
上死点よりも結構手前で点火しています。
クランクの角度でいうと、②の図は上死点の90度手前、
③では上死点から40度くらい過ぎた位置になっています。
回転速度にもよりますが、上死点の20~40度くらい手前で点火します。
何故なら、ピストンはものすごい速度で動いているから。
ピストンが一番上まで上がった時点で点火しては遅すぎるのです。
この上死点から点火する位置までの角度を進角といいます。
この進角ってのも、エンジンの回転速度によって
適切な点火位置ってのがありまして、
基本的に低回転時は遅め(上死点近く)の点火、
高回転時には早め(上死点よりも手前)の点火が効率的。
低回転時に早すぎると、ピストンの動きと逆方向に力が加わるので
エンジンの回転は止まりますし、高回転時に遅すぎると
ピストンを押し下げるパワーとしてロスが大きくなります。
そんなわけで、低回転時ていうか低速走行時なんですが
スポーツスターのノーマル点火タイミングは
どうやら進角20度でほぼ固定らしくて、
俺的には低回転時の点火タイミングが早すぎると思うんです。
実際、徐行レベルの極低速走行時はガクガクして乗りづらい。
4気筒とか小排気量のバイクだと
アクセルオフでクラッチも触らない状態で
惰性でゆるゆると徐行出来るもんですが
大排気量2気筒ってのはどうにも荒々しすぎる。
半クラッチ多用は控えたいけど、街乗りメインだし…
この辺もう少し乗りやすく調整できないだろうか?
クランクの回転位置を読み取るセンサーの
取付角度が20度くらいの範囲で調整ができるので、
少し遅めれば低速時の乗り心地が良くなるのでは?
と思いつき、調整してみることにしたのです。
常に点火タイミングが遅くなるということで
当然ながら高回転時のパワーやレスポンスは落ちます。
はたしてそれが許容範囲かどうか…
つづく。
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