年金ふわふわ

年金についての執筆やセミナー講師を生業とするFP・社労士が
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企業年金について

2009年11月25日 | 年金ワンポイント
日本を代表する航空会社、○○の企業年金の給付額削減について、OBつまり受給者の皆さんが反対していますね。そりゃあ生活の基盤を脅かされるのですから、当然でしょう。

ただ、皆さん企業年金というものを誤解されているのではないかと…。自分たちが給料から積み立てたお金が、会社の都合で勝手に削られると勘違いされているのではないかと思うのですが。

たしかに企業年金は積立方式です。○○の企業年金については、従業員の給与からの積立もあるようです。ただし、それがすべてではないと思います。従業員の給与からの積立とは別に会社も掛金を出していて、しかもおそらくは会社の掛金のほうが従業員の掛金より多いのではないでしょうか。

さらに○○の場合は、従業員と会社が拠出した掛け金を、年4.5%の利率で運用するということを約束しています。これは、積み立て中はもちろんのこと、年金を受給している期間についてもです。

いまどき年4.5%でなんか運用できるわけありませんから、当然積立不足が起こります。でも、年4.5%で約束しているので、不足は会社が埋め合わせなければなりません。これが、ただでさえ苦しい状況にある経営に、さらに大きな影響を与えているわけです。

そこで、いままでの年4.5%という見込利率を、実勢に合った利率に引き下げようといわけです。掛金が同じで利率を引き下げれば、当然に積立額つまり年金額が下がります。これが、いまの騒動の中身です。

従業員自身が給料から出した掛金、つまり元本を割り込むという話ではないと思うのですが。もちろん、だからといってOBの方がもらっている年金額が減ることに違いはありませんが、経営が苦しいということばかりでなく、企業年金のしくみを丁寧に説明することも必要だと思います。