さて、続けます。
ちょっと前に頭痛に関して職場の方が相談に来ました。その時の会話を使って、簡単にどう説明しているか書いてみようと思います。
いつもの医学系、説明シリーズです。
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「先生、おはようございます」
「○○さん、おはようございます。どうしました?」
「いや、頭痛がひどくて・・・。たまにあるんですよ、こういうズキズキした頭痛が」
「なるほど、ズキズキした頭痛なんですね。どんな感じで起こりましたか?きっかけとか・・・。あと、他には吐気とか他のつらいところはないですか?」
「いや、ないですね。起こったというか・・・たまにある・・・いつもの頭痛です」
「たまにあるとおっしゃいましたが、いつもと同じくらいの頭痛ですか?いつもより強くて、今までには経験したことのないような頭痛ですか?」
「いつものやつです。先生、薬をもらえませんか?」
「薬をだすのはよいのですが、薬によって大事な何かを隠してしまわないかの判断だけ先にさせてください。まず熱を念のためはかってください。その間に少し話をしましょう」
「はい。」
「いつもということでしたが、どのくらいの頻度で起きているのですか?」
「だいたい・・・2,3か月ごとくらいだと思います。」
「何時間くらいつづきますか?」
「1日は続かないですが・・。結構つらいですね」
「日常生活に支障はありますか?」
「少し生活に支障はありますが、仕事ができないほどではないです。」
「○○さんは強いですからね。普通の人はダウンじゃないですか(笑」
「(笑)」
「先程ズキズキと言いましたが、脈打つ感じなんですかね?」
「そうですね・・・。そんな感じだと思います」
「吐気はないといっていましたが、なんか頭痛の前にサインみたいのがあったりしますか?目の前が暗くなるような(結構片頭痛に的をし追っている)」
「いや、ないですね」
「多分、違うと思うのですけど・・・頭痛の頻度が増えたり、痛みがどんどん強くなったりはしませんか?」
「いや、そういうのはないですね。高校とか大学くらいからありますよ」
「なるほど、体温は…36度で平熱ですね。少し診察をさせてください。それが終わったら薬を飲んでいいですよ。診察の後、もう少し質問させてください」
「はい」
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こういうと問題があるかもしれませんが、僕は「ファーストインプレッション」がもっとも重要だと思っています。多くの先生もそう思われていると思いますが・・・。
あとは危ないものを除外する。基本的に頭痛で怖いのは「くも膜下出血」「脳腫瘍(慢性だが、徐々に増悪。朝型が一番症状が重い)」「髄膜炎」などでしょうか。これらを除外するために必要なのは「急性発症か、否か」「痛みの程度は?」「徐々に悪化する頭痛ではないか」「発熱などを伴っていないか」などでしょうか。
あとは話している間に手足の動き、顔全体…いろいろ見ながら「麻痺はない」とかを判断します。
危ない頭痛ではなさそうだと考えたら、あとは機能性頭痛(慢性頭痛)である「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」などを判断します。
そういえば、群発頭痛と言えばこんな記事がありましたね
「ハリポタ役ラドクリフさん「群発頭痛」 「目の奥がナイフでえぐられる!」」
http://www.j-cast.com/2012/06/21136612.html
片頭痛は…簡単にいうと「日常生活に大きな支障を与えうる慢性頭痛」であり、多くは片側性(両側もある)、拍動性(ズキズキ)で、気持ち悪くなって吐いたりすることがあります。日本人は20%以下と言いますが前兆をともなう場合があります。頻度は様々ですが連日ではなくて、1両日くらいで収まることが多いです。
いっぽう緊張型頭痛は連日続くようなタイプの頭痛です。痛みは非拍動性で、両側に痛みが出ることが多いとも言われています。
群発頭痛は数分から2,3時間の持続時間で、痛みのあまりのた打ち回るほどと言いますが…どうやら動いた方が痛みが良くなるというのが理由のようです。痛みが出やすいのは「上」の記事にもありますが夜中に起きることが比較的多く(片頭痛が寝たら治るタイプとは逆ですね)、目の奥がズキズキするといわれます。あと流涙をともなうと言いますね。
実は片頭痛や緊張型頭痛は大勢診ていますが、群発頭痛の患者さんに出会ったことはまだありません。比較的まれな疾患です(くも膜下出血とか、脳腫瘍の方が数回あるから・・・)。
ちなみに片頭痛は若い時期(20代くらいまで)に発症する方が多く、あまり高齢発症というのはありません。そういったこともチェックしながら話を聞いていきます。
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「診察結果と今までの話の内容からは片頭痛でよさそうですね。今まで病院を受診したりしたことありますか?」
「いや、市販の頭痛薬で対応していました」
「片頭痛には特効薬があります。実は片頭痛はズキズキしますけど、これは血管が広がったときに起こる痛みなんです(絵をかいて説明。僕は必ずA4の上を使用して絵をかいています)。だから、血管を縮こまれさせれば痛みは改善するわけですね」
「なるほど」
「これらをトリプタン製剤と言いますが、同系薬剤の片頭痛の特効薬が数種類あります。値段が高くて、だいたいどれも1錠1000円からします。痛みが非常に強ければ…使う価値がありますね。使用して80%の人に効果があるといいますが、効かない人も当然出てきます。また、血管を縮こまらせるということは…ある種の病気には病気を悪化させる可能性があるわけです」
「なんですか?」
「心臓ですよ。狭心症とか心筋梗塞とか。そういう副作用がります。だから普通の痛みどめで対応できるなら、無理に特効薬を使用する必要はないです。ただ、痛みのために日常生活が大きく支障をきたすなら使用するべきでしょう。薬物治療によるメリットがデメリットを超えるときに常に内科医は薬物治療を考えます」
「今のお話を聞く限り、普通の痛み止めで大丈夫です」
「話しているうちに少し顔色が良くなられましたね」
「そうですね。薬ありがとうございました」
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これでだいたい20~30分くらいです。
意外と時間かかるものですよ。
和田秀樹医師に伝えたいですね。内科医だって説明や治療の同意はしていると
和田秀樹医師の「内科医が説明・同意取得を怠っているのは怠慢」発言に対して
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。
SCD&痙性対麻痺の自身も含めて自閉症3人で暮らし一人が弱視で…という変な人集団がコメするのもなんですが。
この和田さん、もともと発達障害などや不登校についてもすごーい 発展的なこと(もちろん嫌味で)を以前から普通に書いてらっしゃるんですよね。
仕方ないのでは。腹が立つけど。
それに。
日本人って結構「先生(Dr.)におまかせします」といって結果が違えば文句って昔からのような。
Dr.より都市伝説みたいなのを信じたりとか。
まとまりない文章ですが…
先生、お疲れ様です。
こんばんは、はじめまして。コメントありがとうございます
以前から見ていただき、ありがとうございます。
和田医師の本などは読んだことはなかったのですが、まともな先生かと思っておりました。
が…変わった方なんですね(汗
確かに患者さんは「お任せします」と思っている方が多いと思います。ただ、どれほど調べられても専門の医師よりは情報が多いということはないのではないかと思います。それ故、最終的な選択は決定していただくとしても、ある程度は誘導せざるを得ないと思っています。
そうでなくては患者さんが決められません。
例えば、「僕ならこうする」「一応、一般的にこの状況であればこうするのが標準的だが、○○さんの状況を考えると…」とか。
ただ、それでも納得がいかない結果になることはあるのだと思います。
うさぎぃさんもお体を大切にしてください
また、コメントいただければと存じます