山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

里は荒れて燕ならびし梁の‥‥

2007-08-30 16:48:51 | 文化・芸術
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-世間虚仮- 市岡、単位制に

大阪府教委による公立高校の再編整備のなかで、市岡が単位制高校へと09年度までに移行することが決まったようだ。
そういえばこの春から学区再編で従前の9学区制から4学区制へと変わり、おまけに前期・後期の入試があったりで、新聞の入試情報などなにがどうなっているのやらさっぱり判らずといった今浦島の思いで眺めたものだったが‥‥。
学区制の変遷でいえば、たしか私が卒業した年の昭和38年度から、この年は妹が進学した年だった所為なのだろう、それまで市内6、市外7の全13学区から5学区へと急拡大の広域化がなされたのを覚えている。
あと調べてみると昭和48年度に府下全域を9学区に再編され、今年の4学区編成まで延々と変わらずにきたわけだが、この長い年月にあって進学率における大阪の公立高優位神話が徐々に崩れ去っていき、その一因を学区制の硬直化に求められてきた傾向も否定できないし、また府教組攻撃の材料にもなってきただろう。それかあらぬか年下の友人の教員など偶に顔を合わせれば、教育現場の愚痴のひとつも必ず聞かされたものだ。
それにしても今浦島のこの身には、総合選択制だ、総合学科だ、全日制単位制だといわれても、一体どういう区別やら要領を得ないこと夥しい。府教委の公式サイトでは平成11年頃からはじまった再編整備計画の経緯が情報公開されているが、膨大な文書資料に及び、かいつまんで判りやすく解説してくれるものとてないから、骨折り損もいいところだ。
今度の再編計画で、総合選抜制19校、総合学科10校、全日制単位制4校となるもようだが、入試でいえばこれらはいずれも前期試験となり、府下全域から受験できることになるらしい。市岡が移行する単位制でいえば、先がけて堺の鳳高校が08年度から移行することになっており、市岡はこれを後追いした格好だ。単位制というからには年次の留年などはなく、3年間で課された単位を履修すればよいことになろうが、旧名門の鳳や市岡がこの制度を採るというのには、長年かけて進行してきた進学校としての地盤沈下に歯止めをかけたいという願いが些かなりとも込められているのであろうか。
こういうことの裏舞台や綱引きについては門外漢の私などにはまるで見当もつかないけれど、現校長K氏は、今は昔の面影に遠く落日の市岡復活にかなり意欲的な御仁らしく、OB連への啓蒙活動にもご執心とみえて、10月に開催予定のわが市岡15期会の総会にもわざわざ参席したいとの申し出があったと聞く。出るというからには当然挨拶のひとつもお時間頂戴と相成るは必定で、そこで名門復活をと鼓舞されてもねえ、ぼくらの世代はそういう風なのじゃなかなか踊らないんですがネ。

<歌詠みの世界-「清唱千首」塚本邦雄選より>

<秋-102>
 里は荒れて燕ならびし梁(うつばり)の古巣さやかに照らす月影  木下長嘯子

挙白集、秋、古郷月。
邦雄曰く、唾と泥と藁で固められた、漆喰様の燕の巣の脱け殻を、白々と照らし出す秋月、題材からして既に、在来の古今伝授風の美意識から脱した破格の新味がある。第四句の「古巣さやかに」も、一抹の諷刺が含まれており、初句の重みを支えるに足る。雨月の歌に「名を立てし恨みも晴るる今宵かな月といへば雨花といへば風」もあり、異風また一入、と。

 有明の月も明石の浦風に波ばかりこそ寄ると見えしか  平忠盛

金葉集、秋。
邦雄曰く、月夜、明石の月を見て京へ上ったところ、「都の人々月はいかにと尋ねければよめる」と、ねんごろな詞書あり。月明りあまねく昼を欺くばかり、月も「明し-明石」、波ばかり「寄る-夜」の懸詞もさほど煩からず、なるほど、平家物語にまで引かれる即妙のゆかしさ。平氏隆昌の緒を開いた武人の、歌人としてのたしなみが偲ばれる、と。


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