Jヴィレッジに行った15日の午前中は風もなく、穏やかな晴れ空で、暑さを感じるくらいだった。(朝方はものすごく寒かったのだけど)
朝、9時にスタートした練習は、まずは日本代表・チャレンジ・U-19代表の全選手・スタッフが集合して始まった。
この日は、川淵JFA名誉会長と田島理事が激励に来ていて、スタッフは手配でピリピリしていたが、こういう機会にちゃんとメッセージを発しに来る川淵名誉会長は流石だと思う。本当は会長の役割じゃないかとは思うのだが、きっと別の日に訪れていたのであろう。
※ 女子版アジアクラブ選手権を開催するには、川淵さんがキーマンだと個人的には思っている。何かとお騒がせな御仁だが、実行力は日本人離れしている。
JFA関係者以外にも、選手の所属チームの監督さんなども来ていたが、私達と同じ周りのベンチでの見学だった。(さすがにレッズの村松監督は中に通された。)
練習は、U-19のFP、U-19のGK、なでしこ+チャレンジのFP、なでしこ+チャレンジのGKという風に分かれて行なわれていた。
ピッチ3面に70人以上の選手が練習しているので、壮観だった。
まずは個人練習を行なっていた。
U-19については、数人しか選手の顔と名前が一致しなかった。後日、各種大会のパンフレットで調べてようやく何となく分かってきた。
小原選手と山崎選手を確認して、なでしこチームの方へ移動。
なでしこチームにチャレンジから上尾野辺選手が入っていた。個人練習では全く遜色ない動きだった。
身体も暖まってきた頃に、11対11の練習試合。
宿舎側のピッチでは「なでしこ VS U-19」、真ん中のピッチでは個人練習、向こう側のピッチでは「チャレンジ VS U-19」が行なわれた。
身体は一つしかないので、手前の「なでしこ VS U-19」を見学。
この組み合わせなら選手の名前も分かるので、練習試合とは言え楽しめた。
一番見やすい位置に陣取ったら、その直ぐ手前にはJFAの幹部の皆さんもいた。
試合は20分×3本で、1本目と3本目に上尾野辺選手がなでしこチームとして参戦した。
U-19相手だったので、終始なでしこが押し気味だったのだが、上尾野辺選手は守備も攻撃も全く問題無しだった。おそらくそのままチームに組み込まれるであろう。貴重なレフティとして。
U-19も後藤・岩渕・熊谷などタレント揃いではあるが、やはり全てにおいてなでしこの技量に及ばない印象を受けた。
前田GKコーチがU-19のFPに動きのアドバイスをずっと送り続けていた。
さながらヘッドコーチだった。
なでしこはCBに岩清水と矢野を配した時が一番安定していて、それ以外は今一だった。その矢野が怪我で離脱してしまったので、豊田が代わりを務めるのではないだろうか?(村松監督もリーグが始まるのに大変そう。)
ちなみに結果は2-0(1-0、0-0、1-0)だった。
もう少しなでしこがゴールを決めると思ったのだが、連動性は無いので、個人技だけだとこんなもんじゃないだろうか。3本目の大野のゴールは上手かった。
この試合を見ていて感じたことなのだけど、なでしこジャパンの選手とそうでない選手の違いが一目でわかる。
『トラップが全然違うのだ。』
なでしこジャパンの選手は、足に吸い付くような確実なトラップをするのだけど、そうでない選手は一様に長い。だから囲まれてどうしようもなくなる。
上尾野辺選手はその点においては全く問題無し。
結局はクラブでの普段の練習の結果がこういう場で表れるのだと思った。
上手い選手ほど基本技術に長けている、という当たり前のことを確認させられた。
午前中の練習はこれで終わり、3時間程の休憩を取って、15時から午後の練習が始まる。
風が強くなり、気温もぐっと下がり、寒さを感じるほどだった。
U-19の選手が午前中でキャンプを終了したので、午後はなでしことチャレンジのFPがシャッフルされて2組に分かれ、それぞれピッチ1面を使って練習。GKは一番向こうのピッチで練習していた。
まずは個人技の練習。言われたことが直ぐにできる選手となかなか動きを理解できない選手がいたのがはっきりと分かった。
さすがになでしこはスムーズに動けていた。オフのトレーニングを怠らなかったのだろう。
元TASAKIの選手達が一様に身体が重そうだった。
大石選手も動きは本来のものとは遠く及ばないのだろうけど、終始ニコニコしていて、サッカーがやれる喜びを身体中で表現していた。
本当に続けられて良かったね。
GK練習はゲーム形式で面白かった。もともと天野は常盤木学園高校ではエースFWなので、ばんばんゴールを決めていた。状態はほぼ皆同じように見えたが、山根は基本的な捕球等から相当頑張らないと厳しいだろう。でも、あの身長は他とは比べものにならないので、期待度は一番。(身長だけを見ると山郷をはじめとする160c台のGKはバレーボールだと世界最小クラス。山根の190cm台なら欧米のセンタープレーヤーレベルだ。)
身体が暖まってきたら、今度は守備の決め事のグループ練習。
と言っても、攻撃側がボールを振り、守備側がスペースを埋めていくというもの。
2つのピッチで、ほぼ同時に始まった。
真ん中のピッチでは、佐々木監督が丁寧に丁寧に主旨を話すのだが、理解しているとは思えない選手もいて、その都度動きを止めて確認をしていた。
宿舎側のピッチはもっと大変で、あまりにもグダグダだったので、一度止めて、各チームでミーティングをさせていた。
岩清水がリーダーシップを発揮して動きの意見を述べるのだけど、それに対して言い返せるメンバーが少なく、遠目で見ると岩清水と大石の2人で意見交換している感じだった。
ミーティング後は、前よりも全体がスムーズに横方向へ動けるようになった。
そして最後はなでしことチャレンジをシャッフルしての紅白戦。
安藤がDFをやったり、FWをやったりしていた。
佐々木監督は彼女らに2手・3手先を読んだ動きを要求していたが、できない人がたくさんいた。いわいるボールウォッチャーになってしまって、初動が遅れる人だ。
代表合宿というのは、要するに自己表現の場なんだな。
入学試験みたいなもので、受験勉強にあたる練習は自分のクラブでやってきて、合宿は試験問題を解く場なんだね。
代表合宿で学ぶことも多いだろうけど、一番大切なのは普段のトレーニングの質。
どれだけ基本技術を正確に行なえるか、そして、試合の流れをどれだけ先が読めるか、そんな練習をしているクラブの選手が選ばれるのではないだろうか?
ベレーザだから選ばれるのではなくて、ベレーザの練習の質が高いから選ばれるんじゃないかと思った。当たり前のことなのだけど。
奥山監督が行なっているアルビレックス新潟レディースの練習は、そういう意味では代表の方向性と合致していると思う。
奥山監督も村松監督のように自分の目で確認しに来ればよかったのにね。
全体練習終了後、ベレーザの永里優季のシュート練習を眺めていたけど、すごいシュートだった。無回転シュート。
厳しいコースにビシッと曲がる曲がる。ブレ球だし。
アルビレディースの選手もあんなシュートが撃てるようになったらいいな。
練習終了後、スタッフがおっさん・おばさんサッカーをしていた。
怪我のないように。
午後の個別練習で選手の相手をしている女性が目茶苦茶上手いなと思ったら、倉麻子コーチだった。当然だな。
照明塔に灯が点いた後も、選手個々のダウン・トレーニングは続いていた。
この日、最大の収穫は、JFAにとって一番注目している若手選手(期待している選手と言い換えてもいいのだろうか)はJFAアカデミー福島の菅澤優衣香選手だということがわかったこと。
今後、彼女を預かることになるアルビレックス新潟は相当責任重大である。
そんなことを話されていることを知る由も無い当の菅澤優衣香選手は、JFAアカデミーの一員として「なでしこカップ」の受付のお姉ちゃんをやっていた。
寮への帰り道で彼女を見かけたのだが、元気そう(高校3年生なのだから当然と言えば当然)だった。いつもの明るい菅澤ちゃん。
じっくり身体作りをして、暖かくなったら大ブレークしてほしいな。
JFAのおじ様方は8月のアジア予選には出場してもらいたいと思っているらしい。
まあ、そんなこと思われているなんて本人は知る由も無いのだが。
今回やった70人以上の大合宿って、大変効率的で良いアイデアだなと思った。
また、機会があればなでしこの練見に来たいね。
U-19は5月末招集らしいから、その時までに顔と名前をしっかりと一致させるかな!